ある現場に呼ばれた4人。
私、A、U、素朴なMちゃん。
…ひとりだけ、重要な役、あとは、それなりな役と、通達を受けた。
「ま、そんな感じでしょうね。」…と、つぶやいたのは、A。
普通、重要な役は、オーディションなどですでに決まっているはずなんですが、何か事情があったのでしょう。
詳しくはわかりませんが、決まっていた人が降板したり、具合が悪いなど…なにやら、トラブルがあったのかも知れません。
子役時代から活躍していたAは、俄然張り切りました。
その昔以来、いま一つ大役とは縁が遠のいていましたから。
「重要な役を決めるのに、どうするのかな?オーディション?」
Mちゃんは、不安でいっぱいの顔。
「オーディション、するのかもね。」
Uは、いつも落ちついている。
「どうしよう…、オーディションなんてしたことない💦」
Mちゃんは、泣きそうだ。
「私、いいですって、辞退したら?」
Aは、臆病なMちゃんにイライラしている様子だった。
「Mちゃんがここに呼ばれた理由わかる気がする。このドラマの雰囲気にMちゃん、合ってるもの。」
私は、何となく作り手側のイメージを考えると、Aでも、Uでも、もちろん私でもなく、素朴なMちゃんがぴったりな気がしたんです。
あ、もちろん、役柄によっては、合わないこともあるのでしょうが、ドラマの全体的な空気感がMちゃんの空気感と合ってる気がしたんですね。
だけど、私のこの言葉が悪かった。
「アンコに何がわかるの?!Mにどんな魅力があるのよ?!」
私が、余計なとこを口走ったものだから、Aの怒りに油を注いでしまったようでした。
「Mちゃんは、魅力的だよ!どうして、Mちゃんをバカにするの?!」
Uも、語気を強めて参戦して来ました。
「Uまで、何よ!Mの味方?!」
「敵とか味方とかじゃないでしょ。仲間でしょ。」
「この世界、仲間なんていないから❗」
私とMちゃんは、あたふた…。
「仲間なんていないんだよ。みんなライバル。そんなのんきなこと言ってると、いつまでもいい仕事貰えないよ。」
「そういうの寂しくない?」
「寂しくないよ。これが現実。だから、Mみたいに『私はいいよ』なんて言うタイプ、一番イライラする。絶対この世界に合わないから❗」
Mちゃんは、泣き出しそうだ。
撮影の待ち時間で、突然揉め出して、突然の言い争い…。
…と、言うより、Aの独壇場。
Aは、気持ちがおさまらないらしく、顔が真っ赤だ…。