あの頃(現場)2

2020-05-10 07:53:46 | 日記
ある現場に呼ばれた4人。

私、A、U、素朴なMちゃん。

…ひとりだけ、重要な役、あとは、それなりな役と、通達を受けた。

「ま、そんな感じでしょうね。」…と、つぶやいたのは、A。

普通、重要な役は、オーディションなどですでに決まっているはずなんですが、何か事情があったのでしょう。
詳しくはわかりませんが、決まっていた人が降板したり、具合が悪いなど…なにやら、トラブルがあったのかも知れません。

子役時代から活躍していたAは、俄然張り切りました。

その昔以来、いま一つ大役とは縁が遠のいていましたから。

「重要な役を決めるのに、どうするのかな?オーディション?」

Mちゃんは、不安でいっぱいの顔。

「オーディション、するのかもね。」

Uは、いつも落ちついている。

「どうしよう…、オーディションなんてしたことない💦」

Mちゃんは、泣きそうだ。

「私、いいですって、辞退したら?」

Aは、臆病なMちゃんにイライラしている様子だった。

「Mちゃんがここに呼ばれた理由わかる気がする。このドラマの雰囲気にMちゃん、合ってるもの。」

私は、何となく作り手側のイメージを考えると、Aでも、Uでも、もちろん私でもなく、素朴なMちゃんがぴったりな気がしたんです。
あ、もちろん、役柄によっては、合わないこともあるのでしょうが、ドラマの全体的な空気感がMちゃんの空気感と合ってる気がしたんですね。

だけど、私のこの言葉が悪かった。

「アンコに何がわかるの?!Mにどんな魅力があるのよ?!」

私が、余計なとこを口走ったものだから、Aの怒りに油を注いでしまったようでした。

「Mちゃんは、魅力的だよ!どうして、Mちゃんをバカにするの?!」

Uも、語気を強めて参戦して来ました。

「Uまで、何よ!Mの味方?!」

「敵とか味方とかじゃないでしょ。仲間でしょ。」

「この世界、仲間なんていないから❗」

私とMちゃんは、あたふた…。

「仲間なんていないんだよ。みんなライバル。そんなのんきなこと言ってると、いつまでもいい仕事貰えないよ。」

「そういうの寂しくない?」

「寂しくないよ。これが現実。だから、Mみたいに『私はいいよ』なんて言うタイプ、一番イライラする。絶対この世界に合わないから❗」

Mちゃんは、泣き出しそうだ。

撮影の待ち時間で、突然揉め出して、突然の言い争い…。
…と、言うより、Aの独壇場。

Aは、気持ちがおさまらないらしく、顔が真っ赤だ…。