がんぼのぶらり紀行

北海道オホーツク遠軽で、昭和時代のお茶の間みたいな食堂 やってる おばちゃんです。

山婆ァ?

2011年11月06日 23時07分50秒 | 仕事/作業

M氏より声がかかり、色染めに使う材料を取るため、朝から山へ入ることになった。

私たちの仕事は撮影がメインだが、集まるメンバーが少なく、やはり同行する以上、何もせずにいることはできない。

午前10時現地集合、すでに他のメンバーは全員揃っていた。

さっそく作業を開始。

枯れ枝を集め、山道の側溝にトタン板を複数枚敷いた上に置いて火をつける。 燃やしきって灰汁を取るのだ。

しかし、大丈夫なんだろうか。 山に炎が移る心配はないのだろうか。 消防署に連絡はしているのだろうか。 (-_-;) 

やはり、火事の危険性を捨てきれず、不安を抱え込む。

 

「がんぼちゃん、行くぞ!」  

M氏に呼ばれ、女性陣に火番を頼み、 <  私は『女性陣』には含まれないのか。(泣)

同僚と共に車でさらに山の上へ、M氏の車を追って登っていく。

 

距離的にはそれほどないが、坂道は急に角度を増し、私の車は2度ほどハンドルの切り返しが必要であり、またギヤをローに入れないと力が出ず、登っていけない角度だった。

目的地に到着後、M氏とK氏は電動ノコをかついで歩き出した。 私と同僚も急ぎ追いかけるが、まさに道なき道であり倒木が至るところにある。

倒木も腰の高さにあり、またぐこともくぐることもできないものや足の踏み場に困る状態になった場所など、枯れかけた木の枝が顔を叩くなど、まさにお楽しみアスレチックフィールドである。

 

同僚は途中で挫折。 デジカメを持ち、ビデオカメラを預かり、私もやっとのことでスタスタと先を行くM氏・K氏を追いかける。

 

写真は、まだまだ序の口の 開けた場所。

この後、左右から木が覆い迫ってくる中を歩く。

踏み出す場所を探して足を置く場所を探して足元ばかり気にしていると、左右から張り出した枝で顔を叩かれる。

目の高さを気にしていると、地面に倒れた倒木に足を引っかけて前のめりに倒れ手をついた先には細い木の枝があり危うく刺さるところ。

 

M氏、K氏は慣れた足取りでどんどん先へ進み、またたく間に姿が見えなくなってしまった。

 

 

追いついて慌ててビデオを回し始め、同時にデジカメで撮影。

この直後、足の踏み場が悪く、後ろのめりにしりもちをついた。(-_-;)

 

 

 

 

 

切り出した 「キハダ」

樹高は10m~15m程度で、20m以上になるものもある。5月末~7月初旬にかけて、円錐花序の小さい黄色い花が見られるようになる。樹皮はコルク質で、外樹皮は灰色、内樹皮は鮮黄色である。この樹皮からコルク質を取り除いて乾燥させたものは、生薬黄檗(おうばく、黄柏)として知られ、薬用のほか染料の材料としても用いられる。
カラスアゲハミヤマカラスアゲハの幼虫が好む食草である。 (ウィキペディアから)

 

 1mほどの長さに切ったものを、2~3本ずつ肩にかついで車のところまで降りる。

1本の太さは直径10cmほど。 それほど重くはないが、足場が悪いため途中で2度ほど転びかけ、担いだ樹木を落としてしまった。

 

 

 K氏は自分で運んだ樹木をトラックに積んだのち、途中まで降りてきたM氏を迎えに行き、M氏の担いだ樹木を受け取った。

よく働く人である。 見習わなくては。

 

 

降りて女性陣と合流したところ、灰汁を取るために燃やしていた焚き木が思ったより炎が高く上がり、不安になったところへ町から消防車や救急車の音が聞こえてきて、怖くなって「どこかに隠れようか」という話にまでなったそうだ。(笑)

救急車等は実際にこちらへ来ることはなかったが、その後、炎は落ち着きはしたものの怖かったと話していた。

 

 

 

 

 

 

切り出したキハダの外皮を剥ぎ落とし、さらに内側の黄色い地肌部分をそぐ。

これを鍋に入れ根気よく煮出して色を抽出する。

 

 

 

 

 

 

 ナタでできる限り黄色部分をそぎ落とす。 

少しでも無駄にするにはもったいない。

 

 

 

 

 

 

外皮と染料に使う部分を剥ぎ落した芯部。

きれいな黄色だ。

 

 

 

 

 

 

剥いだ外皮と内皮。

これらを鍋に入れ根気よく煮出して、

オヒョウニレやシナの糸を漬け込み染める。

 

 

 

 

 

 実際に煮出して色の染みだした液に、オヒョウニレの糸を漬け込んだ。

ガスコンロでじっくりと沸騰させる。

 

 

 

 

 

 

午前10時から始めた作業はこの時点でお昼になった。

買い出し部隊が動き、ジンギスカンとおにぎりが昼食として用意された。

ジンギスカン肉、長ネギ、それにM氏の山に自生するクレソンをその場で摘んできて鍋に投入。 

実は私、クレソンってあまり食べたことがなかった。

レストランなどで肉料理などにはあしらうことがあるし、そういった料理の時には添え物の野菜などは残らず食べる方なので、たぶん一度や二度は口にしたことはあると思うのだが、「これがクレソン」という意識がないままに来ていた。

初めて 「いざ、クレソン! 勝負!」 じゃないが、これがそうだと確信して食べさせてもらった。

 

そのまま食べると、少し苦みがかっているがすっきりして美味しい。 熱を加えると苦みが消え彩りもよくまた美味しかった。

これとてスーパーで買えば、今投入した半分の量で300円近くするのだ。 決して安くはない。

 

冗談半分に

 「そのうち、(山へ)頂きに来てもよろしいでしょうか?」 

と聞いたら、

「生えてる量が減ったらがんぼちゃんが取っていったと思えばいいな」 (笑)

 

無断で持っていく輩もいるそうで、ですがまだ私、無断で取りに来たことはございません。(^_^;)

怖くて無断じゃ持ってけないわな(笑)

 

食事後、作業に戻る。

先に枯れ木を燃やして残った灰汁を、

糸を漬け込み煮込んでいる煮出し汁に投入する。

 

煮ているだけでは色が固定されないのだが、灰汁を入れることで染めたい色に 『色止め』 ができるそうだ。

 

 

煮込んでいた糸をいったん取り出し・・

 

 

 

 

 

 

 

 

灰汁を紙コップ3杯ほど投入し、よく混ぜて 糸を戻しさらに煮込む。

さらにこのまま数時間煮込めばよいらしいのだが、ボンベのガスがなくなり、今日はここまでとなった。

 

液に漬け込んだまま丸一日放置し、絞り、干してみるという。

 

この後の作業は織物先生 I 先生にお任せすることになる。

 

夕方は今日の作業を振り返りM氏事務所にて食事会。

 

大した仕事をした記憶もないのだが、翌日しっかり全身筋肉痛。(~_~;)

どうやら木(キハダ)伐採を追いかけて行って撮影し、切り出した樹木を担いで降りてきたのが堪えているらしい。

たった一回の往復で影響が出るって、体力なさすぎだろ、それ。


内容掲示

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