唐松林の中に小屋を建て、晴れた日には畑を耕し雨の日にはセロを弾いて暮したい、そんな郷秋<Gauche>の気ままな独り言。
郷秋<Gauche>の独り言
イッキ乗り

久しぶりの本の紹介。「イッキ乗り」というタイトルだけでは、最新のクルマのインプレッション集かと思われがちだがさにあらず。「いま人間は、どんな運転をしているのか?」というサブタイトルを見ればクルマ好きならずとも興味が沸いて来る、か?
本書は、クルマをハードとしてではなく社会の一要素としてソフト面から捉える月刊誌「NAVI」に連載された記事を単行本としてまとめたものである。対象となったものは、重ダンプ(空車重量80t、100t積み、エンジンは35,000cc、12気筒ディーゼル・ターボ)やボンネットバス(1964年製、いすゞBXD30型)など、自動車と呼べるものもなくはないけれど、盲導犬、稲刈り機、パワースーツ、原子力発電所、鵜飼!と言った、通常乗り物とは考えないものの運転(?)も含まれている。
いまあげたのは、あえて奇を衒ったものばかりだけれど、新幹線、モーターグライダー、シールドマシン(シールド工法のトンネル掘削機だ!)、ゆりかもめ、一人乗りヘリコプターといった、乗る物好きなら思わず身を乗り出したくなるような乗り物の「運転」についても、もちろん書かれている。
それぞれの記事はどれも質の高い写真を含め6~9ページにどれも実に要領よくコンパクトにまとめられている(時に読み足らないとこともあるけれど、それは月刊雑誌の連載ゆえに諦めるしかないが)。何よりも、盲導犬や鵜飼を「運転」と捕らえる視点がユニークである。
「イッキ乗り – いま人間は、どんな運転をしているのか?」
下野康史(かばた・やすし)著
株式会社二玄社 2007年3月23日発行
四六判/カラー+モノクロ 256ページ
定価1,680円(税込み)
ISBN 978-544-04348-8
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