「ボランティア」って職業?

 いつものようにビールを飲みながら神奈川新聞眺めていて「?」と思った。それは投書欄、投書された方の職業。「職業」と言うよりは、通常、職業が記されるであろうところに書かれていた「ボランティア」という語。

 すぐにここ数日分の新聞をめくって件の箇所に何と書かれていることが多いのか確認してみました。「主婦」と言うのが圧倒的に多いですね。通常職業として一番多そうな「会社員」は案外少なく「学習塾経営」なんてのが意外と多かったりするのも面白いわけですが、要するに「職業」が書かれている訳です。

 しばらく前に目にした記事(勿論神奈川新聞です)ですが、投書欄の常連さんのミーティングみたいなものがあるんですね。投書そのものにも「神奈川新聞への投書が私の生き甲斐です」みたいなものが時々登場します。所謂常連さんに支えられての投書欄ということなのでしょうか。

 かく言う私も一度投書し、掲載された事があります。本物の月見草の写真を添えて「道端で咲いている黄色いのは待宵草(マツヨイグサ)あるいは大待宵草(オオマツヨイグサ)であって、月見草ではありません。これは、太宰治がおそらくは待宵草を見て『富士には月見草がよく似合う』と富岳百景に書いたのが間違いの元のようです」と言うような内容でした。掲載されると記念品として1000円分くらいの郵便切手が送られてきます。こんなにもらっても今どき使わないのに、ってね。ちなみに「本物の月見草」に興味を持たれた方はこの画面右側の検索窓で「月見草」をキーワードにしてサイト内検索をかけてみてください。

 話しが逸れてしまいました。投書欄の職業の話でした。そう、「ボランティア」が職業かどうかと言うことなんです。職業は、生計を立てるための仕事のことですよね。辞書を引くまでもありません。それであえて広辞苑を引けはやっぱりそのように書いてあるし、新明解にだってちゃんと同じような事が書いてありますね。

 職業とは生活の糧を得るための仕事です。それじゃボランティアは。「無料奉仕」です。ボランティアはいくらやっても無料。つまり収入を得ることは出来ません。奉仕の対価として賃金を得たとすれば、それはその時点でボランティアではなくなるわけです。

 つまり、ボランティアは職業ではない。職業欄に「ボランティア」と書くのは変だと言うことになります。だとすればどうやら職業を書くらしい欄に何とかけばいいのか。時々「年金生活者」なんてのを見かけますけど、これなんかは実にその生活の実態を表していていいのではないでしょうか。なまじ「元教員」なんて書くよりは100倍潔い感じです。

 ただ、「元教員」ってのも、なんだか分かる気はしますね。つまり、永年教員をして来た方だからこんな意見を持たれたのだなと、納得したりもするわけです。ご本人としても、何の裏づけもなくこんなことを書いているわけではないのです、永年の教師経験から申し上げているのです、結構正しい意見ですよと、暗に(明に)主張しているわけですね。

 まっ確かに、あんな意見こんな考えを披露されている方の社会的属性を知る手がかりがあれば、その投書の内容にも深みが出てくるような気もします。その意味では職業と同時に性別も大きな手がかりとなるわけですが、薫さんや和美さんが、果たして女性なのか男性なのか、カッコ書きされた投書を見た事がないのは、考えてみると不思議な気もしますね。

今日の1枚は、そろそろ花期が終わる木香薔薇(モッコウバラ)。
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