読書は趣味か?

 野田第二次改造内閣が発足した。防衛大臣には民間から森本敏氏が起用された。防衛庁、保安庁、警察予備隊時代まで遡っても、トップを民間から起用するのは初めてなのだと云う。戦争の端となる可能性のあるミサイル発射命令を民間人が発して良いものかと云う疑問はあるにしても、誰とは云わないが、PAC3とP-3Cの区別もつかない大臣よりは100倍ましであることは間違い。

 いや、今日の本論は森本敏氏の防衛大臣適否ではない。今日の主題は、氏を紹介する新聞記事に掲載されていた彼の趣味である。そこには「読書と旅行」と書かれていたのである。

 防衛大臣就任直前の氏の職業は拓殖大学大学院教授である。郷秋<Gauche>が云いたいのは、大学教授にとって読書が趣味となり得るのかと云う事である。断言するが、少なくとも非実験系の学部・研究科に属する大学教授にとっての読書は仕事の一部であり趣味とは成り得ない。まっ、一般的に云っても大臣や他の国会議員にとっても本を読むことは仕事に必要な知見を得るために必須の「業務」であり、到底趣味とは云えない。

 もっとも、読書対象が童話であり、子どもにとって相応しい童話の在り方について研究しているとか、フョードル・ドストエフスキーの読書と作品研究が趣味であると云うのならが、それは立派な趣味と云えるが、一般的な意味での「読書」を趣味としてあげるのは、氏の場合には適切な事ではないと、郷秋<Gauche>は思うぞ。彼があげたのではなく、「新聞が勝手に書いた」のかも知れないけれど。

 その多寡は別にしても多くの人がする読書が、先に書いた特殊な職業以外の人にとっても趣味と云えるのかどうか、郷秋<Gauche>は疑問を呈したい。何故なら、読書はテレビを見たり、寝る前に歯を磨いたりするのとほとんど同列の、誰でもがすることだからである。もし、読書が趣味であると主張したいのならば、「宮沢賢治の作品を読むのが趣味です」とか「現代ブラジル文学作品が好きでいつも読んでいます」とか「村上春樹作品の『比喩』に興味をもって彼の作品を読んでいます」とか、そこまで云えればそれは確かに趣味だろうと思う郷秋<Gauche>であるぞ。

 えっ、お前の趣味は何だって? はい、下手な写真を撮ることと、駄文を書くことですが、なにか?

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