豊郷小学校の正門前に着きました。劇中そのままの旧校舎の外観が望まれます。一気にテンションが上がってきました。やっぱり自分も「けいおん」シリーズのファンなのだなあ、と改めて感じました。
正門の門柱にはめこまれた校名プレートの旧字体が時代を感じさせます。かつては新字体のプレートがはめ込まれていましたが、保存のための改修工事の際に、昭和12年建立時の状態に復元されたということです。
正門をくぐってすぐ左手に、上図の施設案内図があります。今回見学する建物は「旧校舎群」と呼ばれます。その後ろに平成16年から運用されている現校舎群があるからです。
旧校舎群は、戦前の日本にて多くの西洋建築を手がけたアメリカの建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計になります。ウィリアム・メレル・ヴォーリズの紹介はこちら。
外観は、そのまま「けいおん」シリーズの各シーンに頻繁に登場します。アニメの制作にあたった京都アニメーションは、劇中に登場する桜が丘女子高校のモデルであることを何故か否定しており、公式ガイド類でも豊郷小学校への言及がありません。その一番の理由は、京都アニメーションが取材したのが、平成20年からの耐震および改修工事を実施する前の状態であったからでしょう。
つまり、厳密に言えば、耐震および改修工事を終えた現在の旧校舎群と、劇中に登場する校舎群とは、いくつかの差異があるわけです。
ですが、この旧校舎群がモデルになっていることは既に広く知られており、「けいおん」聖地巡礼のトップとして著名です。現にこの日も、土曜日であったためか、約100人ほどの見学客を見かけました。放送からもうすぐ10年になろうというのに、人気があまり衰えていないことが伺えます。最近にNHKBSで再放送されたこともあって、それを観てファンになった層もかなり居るようです。
本館の前庭には噴水があり、向かって左側には酬徳記念館があります。現在は「けいおん」関連の寄贈展示は酬徳記念館にまとめられており、俗に「けいおん」ミュージアムなどと呼ばれているそうです。
噴水中央の石像は鯉をかたどっていますが、劇中のは改修工事前の石像を描いています。その旧石像は、昭和56年の卒業生が卒業制作品として作った「イルカと少年の像」で、現在も小学校の倉庫にて保管されています。現在の旧校舎群と、劇中に登場する校舎群との差異の一つですが、あまり気づかれていないようです。
石像を撮影していると、鯉たちが私の方に集まってきました。餌を期待したのでしょうか。
旧校舎群の建設を志して私財を投げ打った古川鉄治郎の胸像です。古川鉄治郎は豊郷小学校の卒業生で、のちに丸紅の専務取締役になった人物です。古川鉄治郎の紹介はこちら。
この銅像は劇中でも頻繁に登場し、季節ごとの扮装をまとっているのが楽しいです。この像をバックに記念撮影するファンも少なくありません。恐らく、いまの日本で最も有名な銅像の一つではないでしょうか。
旧校舎群は、平成25年に国の登録有形文化財に指定されています。指定名称および範囲は「二代目校舎」(旧豊郷小学校校舎)、講堂(旧豊郷小学校講堂)および酬徳記念館(旧豊郷小学校酬徳記念図書館)となっています。
旧校舎へは、中央玄関口から出入りします。玄関口から入って正面の空間は展示室になっており、豊郷小学校の沿革や創設当時の設計図および写真などが展示されています。
この展示室は、もとは職員室であったため、「けいおん」シリーズでも山中さわ子らが居る職員室のモデルになっています。室内の構造などがそのまま劇中でも見られます。
旧校舎群の全体模型です、後ろの広い空間が、現校舎群のグラウンドになります。
展示室を一通り見て旧校舎群の概要と全体像を把握した後、「けいおん」の舞台巡礼に移るべく階段に向かいました。 (続く)