GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

ひとり外食術 お一人様へのガイド本

2017-02-03 19:12:47 | BOOK/COMICS
面白そうな本を見つけた。ひとり外食術。
キャッチコピーは「好きなときに好きなものを好きなように食べる」。
というわけで、前回一人飲みについて書いたが、今回もお一人様について。

著者は「ひとり外食力向上委員会」となってるのだが、外食力って何?
女子力とか目力とか、やたら最近「力」をつけるけど、外食にも力が必要なのか?ひとり外食術ならまだわかるのだが、さらにパワーアップした外食力。それを向上させる委員会?これはライザップより手ごわい団体なのかもしれない。

まぁ、内容は最近増えてるお一人様に君もならないか?みんなと行くよりひとりで食を楽しむのも悪くはないぜ!と、ひとり飯を推奨する本。
そんなに気合いをいれないでも今時、家族団らんで必ず晩御飯食べるとか、今日も会社の仲間と飲み会だとか、週末は彼女と夜景の見えるところでディナーだという人は減っている。よほどの外資系ビジネスマンでもなければ、朝食で会議を兼ねたパワーブレックファーストなどしてないだろうし、OLみたいに「ランチどこにする〜?」などと楽しんでる人は少ないだろうさ。
ひとり飯、ぼっち飯の人が増えている。

朝飯は食わない人も増えている。
家で食わないけど喫茶店でモーニングを食ってるよというやつも減った。モーニングやってる店に学生や会社員はいないなぁ。朝飯を食ってないとパワーも出ないし集中力も散漫になるけどなぁ。
学生が特にひどいらしい。芸大をはじめいろんな大学が安くで朝飯を学食で提供してるのは、これの防止らしいから。

昼だって、定食屋で「アジフライ定食」とか中華料理店で「青椒肉絲セット」などを頼む人は少なくなっている。マクドとか牛丼とかラーメンとかのファストフード。コンビニ弁当やおにぎりとカップラーメン、サンドイッチを一人で食べるらしい。
店は夜に飲みに来てくれたり食べに来てくれることを想定して、昼はランチメニューで安く提供してくれてるところ多いんだけどね。寿司屋とか居酒屋とかレストランとかね。ちょっと洒落たレストランでも、昼は1800〜3000円でコースが食えたりする。でも、夜に使うということを想定から外してるからか、男客は少ない。

夜に接待も少なくなったし、職場の上司と部下が飲みに行くことも少なくなった。誘っても断られるし、無理に誘うとアルハラ受けたと訴えられるし厄介だもの。
職場の女の子や取引先の女子を飲みに誘おうものなら、セクハラだとか言われかねない。
それなら一人飲みだが、最近の若いやつは酒も飲まなかったりする。

夜ご飯を独身男性・女性はどうしてるかというと、やはりコンビニ弁当やデパ地下の惣菜だったりする。
うーん、そう考えるとひとり外食力向上委員会ってのもあながち必要かもしれないな。

まぁ、本の内容は既に一人飯、一人飲みをしてるものかりゃすりゃ当たり前のことしか書いてないんだが、これからデビューする人やしたい人、コンビニ弁当ばっかりたべてて「毎晩こんな食生活してたらメタボや体脂肪が気になるなぁ」って人にはいいかもしれない。

笑えるのは食べログやぐるなびなどの食紹介サイトの使い方まで丁寧に書いてあること。
俺は絶対、事前にこれらのサイトを閲覧してから行くことはない。人の舌と俺の舌は違うし、味の評価などは書く人によって違うだろうって思ってるからね。事前情報は邪魔なだけだと思ってるが、「行ってみたいけどどんな店なのかな?」とか「料金はどれくらいなの?」って不安に思う人にはいいかもしれない。

俺は朝や昼はもちろん、夜でもお一人様で外食・一人飲みできる人だが、それでも「一人はちょっときついなぁ」っていう店もある。
ラーメン・蕎麦・うどん、そして丼やハンバーガーなどの炭水化物店は何も意識せずに入れるが、夜はこれだとちょっと寂しい。(まぁ夜は食べるより飲むだけどね)

「ここはちょっとお一人様にはきついなぁ」と思わせるのは、やはりレストラン系。
フレンチ、イタリアンなどは一人で入ろうものなら「こいつ待ち合わせの女にすっぽかされたな」なんて、給士やウェイトレスに思われる気がするので無理。大体こんなところは一人で食べても美味しくない。バローロ・ヴィニエット・アルボリーナ・エリオ・アルターレという舌をかみそうな長い名前のワインを飲みながら「うーん、アルド・コンテルノ・バローロとは違った風味が楽しめていいねぇ」などと言うようなやつじゃなければダメだろう。

スペイン料理などはバルが最近は増えたからいいねぇ。立ち飲みでアヒージョとか食べれるしね。
でも、パキスタン料理とかネパール料理のお店も入りづらいな。勇気を出して入ったら、その国の人ばっかりだったこともある。まぁ、仲良くなっちゃえば勝ちだけどね。この機会だ色々教えてもらっちゃえ。日本にある店に来てる外国人は片言でも日本語理解できるし、英語なら結構話せたりする。
でもさ、言葉が通じなくてもなんとかなるもんだ。ボンジョルノ(イタリア)・ドブリジェン(ロシア)・ブエナスタルデス(スペイン)・サワディー(タイ)など挨拶語とサルーツ(スペイン)・カンペー(中国)・チアーズ(アメリカ)・ボルテサンテ(フランス)など「乾杯」の言葉さえ知ってりゃなんとかなる。後は食後にマッシソヨ(韓国)やヴォーノ(イタリア)レッカー(ドイツ)くらい言えたら問題なし。笑顔で発音を直されたりするが、それもまた良し。

焼肉屋も一人では入りにくいと言われるらしいが、俺はこれは大丈夫。っていうより焼肉は一人かせいぜい二人まで。
複数で行ってその中に「私、ホルモン系はダメなの」などという人が混ざってたら、ミノとかセンマイ、ハツは頼めなくなる。ロースとカルビばかり食いたくないから、ハラミやツラミを(色でごまかして)こっそり頼むしかない。
タンを片面だけさっと焼いて塩レモンで食ってから次は・・・といきたいのに、すでに網全体に肉が置かれてたりする。焦げるのを気にしてわんこそばのように、肉ビール肉ビール肉ビールとジョジョのスタンドのようなエンドレス連鎖に巻き込まれる。
食いもしないのに野菜を頼まれるのも嫌だ。ピーマンやニンジンなど時間のかかるものはいつまでも網の上にあり、そのうち焦げて墨のようになり取り除かれる。それならそのスペース俺にくれよ。

自分のペースで食べるなら一人焼肉だ。
一人焼肉こそ「好きなときに好きなものを好きなように食べる」ことができる。(この本のキャッチコピーはここにきてハマったな)
ご飯をいつ頼んでも誰も咎めない。俺は焼肉をタレにつけて、ご飯にワンクッションおいてタレを切り食べるのが好きなのだ。そしてそのタレがしゅんだ(大阪弁で沁みたという意味)ご飯を食うのが好きだ。ビールと肉で腹一杯になってからピビンバを食べれるほど強靭な胃袋を持ってないからね。

しかもなぜか肉は2人前皿より1人前皿の方がお得だ。料金は単純に倍々なのだが、量については2人前は一人前の倍ではない。2人前には一人前の倍は入ってない。これは昔から焼肉店の謎だ。(だから俺は複数人で行ってもいつも一人前で頼む)
一人だとニンニクやキムチの匂いも気にしなくていい。「焼肉屋にいるカップルはデキている」などと邪な噂をされることもない。

若い人もそうだけど、この「ひとり外食術」は老人にも読んでほしいなぁ。

定年退職して暇そうにしてる老人が、スーパーで弁当やパック寿司を買っているのを見ると、「なんだかなぁ」って思ってしまう。
奥さんはもう作ってくれなくなったのか、一人暮らしなのかはわからないが、老人の食生活はそれでいいのか?って思ってしまうのよ。
もちろん今更栄養価がどうのとか、健康にいいとかもう気にしちゃいないんだろうけど、あまりにも粗食じゃない?それこそ孤食だよ。

老人なら、昼下がりに蕎麦屋で板わさをひや酒でってのが似合う。そして最後にザルとか盛りの蕎麦を手繰って「ご馳走さん、お代はここに置いとくよ」とやってほしい。粋な老人・できる老人だと店員も周りの者も思うだろう。若いやつは「俺も歳をとったらあんな老人になるぞ」と憧れるぞ。

老舗の寿司屋や小料理屋のカウンターに定番の席を確保してるなんてのもいい。洋食屋の一つの席はいつもの定番ってのでもいい。料理長が若い頃や先代の頃からのご贔屓なんて素敵。
「今日は遅いね。でももうそろそろ来られる頃だ」とか「こちらお好きでしたよね。いいのが市場にあったのでちょっと旬には早いけど入れときました」なんて会話されてたら、「よし、俺も30年後はこんな客になってやる」と憧れるんだけどなぁ。

そんな老人は最近とんと見かけないがいないのか?それとも俺が知らない(気が付かない)だけで、色々なお店の片隅に存在してるのか?
悠久老人、有閑マダムなら時間と暇はいっぱいあるだろう?年金や貯金もあるだろう?持って死ねないんだからさ、使ってくれよ。

今の若い子は平等教育で育ってるから、「客を差別するなよ」とか「常連ばっかり贔屓にして」などとすぐやっかむ。でもさ、店に落とした金が違うんだよ。一見さんと常連さんが違うのは当たり前なのだよ。

でもそれは、京都の老舗が新規や飛び込みお断りとか、紹介のない方はお断りってしてるのはまた違うよ。厳選食材は提供人数に限りがあるし、新規で雰囲気とか壊されたくないし。大体お金払う段になってから「高い」とか言われたらがっかりするし。
だから京都の老舗料理店、割烹や懐石のお店はミシュランなんか認めてない。「一度来たくらいで何がわかりますのん?」とか「うちとこの料理は四季通じて楽しんでもらうものやさかい、季節ごとにお越しおくれやす」って一蹴。もっと辛辣なのになると「調査員って方がどれほどの食通なのかわかりやしまへんが、京都の味がわかりはるんやろうか」ってのもある。

でもさ、いい店は一見さんでも常連さんでも平等のサービスしてくれるからさ。
たとえあなたがホットペッパーの割引クーポン持ってきても(だいたいそんなところに載せてる店は、新規オープンじゃない限り大したことない店だが)ネットの噂でこられた客であっても、いい店なら新規の客も大切に扱ってくれるよ。

ただ、お一人様は気をつけてね。
店も緊張してるし、周りの客もなんとなく気にしてるんだからさ。「こいつは一体何者?」ってね。余所者が来た村の宿みたいなものだ。
だから粗相には気をつけてね。
間違っても料理の写真を撮るのに熱中しないでね。さっと撮るのならいいけど、何回も撮り直したり、じゃ位置変えたり。あげくにはスマホ片手に食ったり飲んだり。
料理屋なら「早く食え」、BARなら「早く飲め」って嫌われるよ。
SNSにリア充をUPするのなら、あとでやってね。

お一人様。楽しんでください。


ワカコ酒8巻 お一人様の楽しみ

2017-02-03 16:34:24 | BOOK/COMICS
新久千映さんの「ワカコ酒」最新刊8巻が出た。
アニメ化や武田梨奈主演で実写ドラマ化もされた、人気の女子一人呑み漫画だ。

昔は一人で飲んでると言えば近所の小料理屋やスナックのおっさんってイメージだったが、最近では居酒屋をはじめバルとか立ち飲みでも、女子お一人様も多い。
この漫画の主人公も独身OL(26歳)で、夜な夜な一人呑みを楽しむ。そこらのグルメ漫画のように、レシピや店紹介の漫画ではないのも良い。
俺は男だが内容も「あるある」とか共感でき、料理やお酒も美味しそうに描かれてて「うーん、これ食いてえ」と思ってしまう。この漫画はかなり気に入ってて、単行本(コミックス)以外にもタブレットにDRして入れてる。

俺も最近は一人で飲みに行くことが多くなった。
友達が減ったとか、仕事仲間に嫌われてるとかではない(と思う)。

「パワハラ」とか「アルハラ」なんて言われるご時世では、仕事関係を誘うのも気がひける。
ツレとじっくり飲むのは好きだが、東京タラレバ娘じゃあるまいし、この歳になると友達とはそんなにしょっちゅう飲みに行かない。
全国各地に仕事や講師で呼ばれ、講習後に接待で地元の隠れ家みたいなお店に連れて行かれて飲むのも嫌いじゃないが、気を使う。みんなでワイワイ飲むのは嫌いではないんだが、飲むのは一人か少人数に限る。女の子と二人きりで飲むのは好きだが、最近はご無沙汰だ(悲)

ひとり呑みも悪くない。
最近では「おひとり様」とか「ボッチメシ」とか「孤食」などと言われてるらしいが、お一人様ほど楽なのはない。

店選びも楽だ。
誰かと一緒に行くと「何食べたい?」とか「何飲む?」などを聞きかなければならないし、またそれに合わせて店をチョイスしなければいけない。
その点「さぁ今日は何を食べようか」とか「何を飲もうかなぁ」とぶらぶら歩きながら決めれる。
一人飲みは常連になってる店に行くのもいいのだが、新規開拓も楽しい。
「この店良さげだなぁ」とか、「暖簾から“美味いオーラ”が出てるぞ」とか、など、【孤独のグルメ】の井之頭五郎のように呟きながら探すのも楽しみだ。

お店の前に出してる看板やメニュー一覧を眺めるだけでも楽しい。
「ここは産地直送の魚介をウリにしてる店かぁ」(地酒と刺身で一杯も悪くないね)
「なんだ?この“地獄焼き”ってのは」(失敗はしたくないが冒険も大事だ)
「アンコウ鍋かぁ、残念2人前〜か」(さすがに一人じゃ2人前食えねぇよ)
ダンジョンに迷い込んだように
「どうしよう」「どこにしよう」「さっきの店でいいか」「いやこの先にいい店が待ってるかもしれない」と悩むのも楽しい。

オーダーも気楽だ。
「とりあえずビールでいいな」と決めつけられる事もない。
生ビールから始めるのに異論はないが、ビールに合う「唐揚げ」とか「焼き鳥」とかって時間かかるのよ。かといってすぐ出てくる「一品モノ」って、枝豆以外はほぼ日本酒や焼酎に合うモノなのよね。とりあえずと適当に頼まれた塩辛や土手焼きを肴にしながら「これは早々と日本酒にチェンジだな」と思いつつビールを飲む。しかし結局、唐揚げとかが出てきてしまうと「これには日本酒よりビールだな」と二杯目のビールを頼むハメになってしまうのよ。下手すりゃまだ一杯目を飲み終わってないのに、相方がペース早い(喉渇いてたんか?)と、一緒に俺の分の生ビール二杯目を頼まれてしまってたりする。

その点お一人様は、何を飲むか、何を肴にするか、組み立てはどうするかなどを、じっくり考えることができる。
壁のお品書きや黒板の本日のおすすめなんかを眺める。「当店自慢のカツオの塩たたき」と書かれた気合メニューや、「人気No.1!たらの白子ホイル焼き」など見つけるとそれで組み合わせを考える。「今日は焼酎のロックからだな」とすぐ決めれる時もあれば、「うーん困った、鮎の塩焼きにはビールだが、鯵のなめろうには日本酒のひやだな」とチョイスやオーダー順を考え悩む時もある。それも楽しい。

飲み物メニューをじっくり見るのも楽しい。「地酒はこんなのまで置いてるのか」とか「あれ?この焼酎は知らないなぁ」とか。
日本酒や焼酎は定番しかないが、チューハイやソフトドリンクメニューが結構充実してるところは「ここは料理に力入れてるのかな」とか考えたりね。【返し】や【ホッピー】(しかもちゃんとナカ・ソトもちゃんと記載してる)があるところは「ここは結構古くからある店なのか」などと、時間と相手を気にせずじっくり選べれる。

そして出たい時に出れる。
一人飲みなら、居酒屋で適当に食べながら飲んでる最中に、無性に「パスタが食いたい」とか「寿司が喰いてぇな」ってなった時すぐ出れる。誰かと一緒に飲んでると相手が飲み終わるか食べ終わるまで待たなければいけない。一区切りつくまで待ってるのに「追加でホッケ」とオーダーされてたり、「締めは焼きおにぎりでいい?」などとなると断りきれない。一人飲みはいつでも自由だ。

ハズレの店に入った時でもすぐ出れる。
店構えもメニューも良さげだからって入ったのに、店員の態度がめっちゃ悪いとか、常連がうるさいとか、店主がやたら偉そうとか、気に入らなければそのまま出ることもできる。
お目当のメニューが品切れだとか、黒板の本日おすすめメニューがほとんどバツがついてるとか、不味いとか(これ肝心ね)でも、ビール1杯だけ飲んですぐ退散することもできる。

一人飲みって毎回が冒険。最初にドアを開ける時に勝負は始まってる(何と勝負してるのかは知らないが)。
常連さんの凍てつく目が向けられたりするが、気にしない。どうせ他の常連が来たのかと勘違いしたとか、「ここに一人で来るとはこいつはどんなやつだ?」と思ってるくらいだ。(先日は「殺し屋が入ってきた」と言われたが・・・)こっちだって客だ。常連にビビる事はない。ただ、店主が常連とばっかり話し込んでるような店はさっさと出よう。

カウンターが空いてるとラッキー、満員だったら諦めて出る。
ちなみに一人でも二人ででも、初めて行った店でガラガラに席が空いてるのに変な場所の席に通すような店は、ダメな店の典型だ。来るか来ないかわからない4人客、常連客のために、新規の客をぞんざいに扱うような店は、何も頼まずとっとと帰ったほうがいい。

当たりの店だった時は嬉しい。
料理も酒も美味しい。雰囲気がいい。店主や女将の気遣いがいい。常連もさりげなく言葉をかけてくれる。(一人だと寂しいだろうと勘違いされてベラベラ喋りかけられると鬱陶しいが)
「この時間には無いんだけど早い時間ならあるよ」とか「夏頃なら何々(酒銘柄や料理名)は入荷してるよ」なんて言われると、「また来なくっちゃ」って思う。
いい店は「今度誰か連れて来よう」でもいいし、「ここは密かな隠れ家として愛用しよう」でもいい。

そんなわけで最近は一人飲みが結構好きだ。
決して飲み友達がいない訳ではない。