GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

テクノポップの憂鬱

2017-02-26 05:33:19 | MUSIC/TV/MOVIE
PLASTICSの中西俊夫さんが亡くなられた。
と言っても、彼を知ってる人は少ないだろうな。
知ってるのは音楽業界の人か、80年代テクノポップが好きだった人くらいだろう。

PLASTICSはヒカシュー、P-MODELと一緒にテクノ御三家とか呼ばれてた。
日本人はとにかくこういうひとまとめにするのが好きだ。花の中三トリオ(山口百恵・桜田淳子・森昌子)とか新御三家(西城秀樹・郷ひろみ・野口五郎)とか。charと原田真二と世良公則でロック御三家とか言われてた時もあったなぁ。
A.R.B.とThe MODSとTh eRockersなど九州出身のバンドを「めんたいロック」、LIZARD、FRICTION、S-KENなどを「東京ロッカーズ」などとわけわからんネーミングで読んだり。
そういう日本の音楽業界があまり好きではない。まとめてどうしたいんだ?それぞれ似てるっちゃぁ似てるが、似てないといえば全然似てない。それをまとめていったいどうするつもりだったんだろう。未だに不思議だ

テクノポップは日本ではYellow Magic Orchestra(以下YMO)が一気に有名になって広まった。それまではデジタルポップとか、コンピューターミュージックとか、シンセサイザー何ちゃらとか言われてたが、YMOから「テクノポップ」と言うネーミングで統一され呼ばれだした。

コンピューターとシンセサイザーというものがまだ全然マイナーで高価なものだった時に、それらのみで演奏(または自動演奏)させる音楽は衝撃的。
少人数なのに交響楽団(オーケストラ)のように、幾重にも重ねられた演奏。
それを可能にする、シンセサイザーで作られた音とコンピューター・プログラミングによる演奏。

日本で富田勲さんが、クラシック音楽をシンセサイザーで演奏するスタイルを始めてたし、ドイツのクラフトワークは無機質な機械音と最小限に抑えられたヴォーカル(もちろんヴォイスはシンセ加工)スタイルを確立してた。
それらを融合させ、クラシックでもあり、メロディアスであり、そんなデジタルポップに仕上げたのがYMOだ。俺が偉そうに言っても仕方ないが本当にそうだ。

そしてそのテクノポップを世に広めたのが、江口寿史だと思ってる。
彼が当時少年ジャンプに連載してた「すすめ!パイレーツ」の扉絵や、ストーリーの中にテクノポップが描かれ、それで俺は興味を持って聞き始めた。
ドイツのクラフトワーク

アメリカのDEVO

イギリスのBUGGLES

そして日本のYMO


YMOの大ヒットで、日本のミュージックシーンはテクノ系バンドというのがポコポコ出てきた。
それが、PLASTICS、ヒカシュー、P-MODELなど。

ヒカシューは以前にも書いたが、巻上公一率いるちょっとアンダーグランドなバンド。確かにメジャーデビューアルバムや「パイク」などは、デジタルサウンドでテクノポップ。だが、「うわさの人類」以降はテクノ感はかなり抑えられている。(まぁ従ってそれ以降は売れていない)

P-MODELもデビューアルバムはこれぞテクノポップって感じ。
ジャケットもデジタルっぽくカッコイイ。
だが、元々はプログレバンド。これ以降は結構アナログ感丸出し。解散したのかどうかは知らない。

PLASTICSはオシャレでPOPだった。
正式名称はプラスチックスだが、大阪ではプラッチックスと呼ばれる。
デビューアルバムのジャケットがかっこよく、ジャケ買いしたんだが、軽い。とにかく軽い。メロディもポップ。歌詞もポップ。テクノポップはもう少し無機質で無きゃあ、なんて勝手に思ってた。だから音楽的にはあんまり好きじゃなかった。

実はPLASTICSはの立花ハジメさん(YMOの高橋幸宏プロデュースのソロアルバム(タイトル忘れた)はマニアックなテクノポップだ)しか名前覚えてない。従って今回お亡くなりになられた中西俊夫さんのことはよく知らないの。PLASTICSでは確かキーボードの人も一昨年くらいに亡くなられてるはずだ。

とにかくこの頃、テクノと名がつきゃ売れた。
日本の音楽産業の悪いところ。何でもかんでもテクノ要素を入れないとダメだ!みたいになってしまって、歌謡曲もテクノ要素満載。
沢田研二は「TOKIO」を歌い、C.C.B.とかジューシーフルーツとか、とにかく軽いポップが主流になったなぁ。いろんなアーティストの楽曲にシンセサイザーが使われ、リズムマシーンが使われだしたのもこの頃から。
テレビの歌番組で楽団による生演奏から、デジタル音源によるオケに変わったのもこの頃くらいからじゃないかな。

先述のめんたいロックの雄、シーナ&ロケッツも何故かデビューアルバムはテクノっぽく仕上げられてた。YMOプロデュースだったと思うし、レーベルも同じアルファレコード。タイトルも「真空パック」。ちょっと勿体ない。
東京ロッカーズの雄、FRICTIONもデビューアルバムは坂本龍一プロデュースで、ジャケット(特に裏面)見たらデジタルバンドかと思う仕上がり。音も本来は3ピースのストレートなパンクバンドなのに、なんかいろいろ弄られて残念なアルバムになってしまった。


まぁ、その後のMTVによる海外アーティストのポップの波で、表向きはテクノブームは消え去るんだけどさ。
そうはいってもDAVID BOWIE(デヴィッド・ボウイ)やJAPAN(デヴィド・シルビアン)はテクノの流れを組むし、DURAN DURANやTears for Fiarsなどもかなりテクノ融合だ。

TALKING HEADSやDEAD OR ALIVEなど、ダンス/ディスコミュージックはテクノ要素満載で、その後ユーロビート、ハイエナジー、そしてハウスと進化していく。


O.M.D.(オーケストラル・マヌヴァーズ・イン・ザ・ダーク)やChemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ)なんかのように、正統派のテクノミュージックを傾倒しているバンドもいる。現在のクラブシーンのビートの効いた無機質な音楽の先駆者だろうな。
日本でもサカナクションとか、中田ヤスタカのCAPSULEなんかテクノポップだなぁと思うし、もちろんPerfume、きゃりーぱみゅぱみゅなども言ってみりゃテクノポップだ。

Perfumeの新曲[TOKYO GIRL」は往年の沢田研二の「TOKIO」やYMOの「TECHNOPOLIS」と同じく、TOKYOテクノだな〜って思ってる。


なんか音楽評論コラムのようになってしまったが、テクノの後にパンクやロックが好きになった身としては、つい思い出しながら書いてたら脈略もなく長くなってしまった。

今やデジタルなんて当たり前。
音楽が使い捨てになってしまった時代に、ちょっとノスタルジックになっているのかもしれない。