カジノ誘致に反対の横浜市民が多いのに、横浜市は市民の意志を直接問うことなく、市議会議員だけの支持でカジノ設置を進めようとしている。
今年の9月28、29の両日、朝日新聞社が行った横浜市民の世論調査では、カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致の反対が64%で、賛成の26%を大きく上回った。
問題は、公明党にある。公明党は住民の福祉を唱えながら、横浜市民の意志を問わず、菅義偉や安倍晋三の進めるカジノ推進を容認している。公明党と自民党とで横浜市の議会が握られている。林文子市長は市民の意志を問わないと言う。
市民が「カジノ事業」に反対するのは、カジノが社会的モラルを崩壊させるものであるからだ。(1)ギャンブル依存症の増加、(2)暴力団など犯罪組織の参入、(3)政治家や役人の利権の拡大である。
最近、朝日新聞の横浜版で、「カジノ事業」を含む統合型リゾートを誘致して、経済的メリットがあるかについて、否定的分析を日本総合研の藻谷浩介が語っていた。全国版ではないので、ネットでそれを紹介したい。
まず、統合型リゾート(IR)にカジノを入れること自体がおかしいと指摘する。
アメリカでは、全国に支社をもつ会社は、1年に数回、全国の社員を集めてコンベンションを開き、売上優秀者などを表彰する。コンベンションの施設に、カジノが必要なわけではない。アメリカでもっともコンベンションの集客しているフロリダには、カジノ施設はないと言う。
外資系にいた私の体験からも、コンベンション会場にはカジノ施設はないのが普通だ。アメリカ人の普通の市民感覚は、カジノと対立するからだ。逆に、カジノでは集客できないから、ラスベガスは、コンベンション会場や劇場を設けたりする。
その上で、横浜市の試算する「訪問者数が最大で年4千万人」は ありえない数であると藻谷は言う。日本で大成功の東京ディズニーランドでも 2施設合わせて年3千万人である。横浜市が試算するほどの人数を山下ふ頭に運ぶインフラがないと言う。
さらに、シンガポールのマリーナベイ・サンズのような統合型リゾートをつくるほどの土地が山下ふ頭にないと言う。
さらに さらに、マリーナベイ・サンズの成功は、犯罪組織にかかわる中国人客がマネーロンダリング(資金洗浄)に利用したからで、中国政府の規制が厳しくなった現在は、儲かっていないと言う。
外国人客が期待できないとなると、カジノ業者は、パチンコ業界と日本人客を奪い合うことになる。
すなわち、現実離れした試算にもとづいて経済効果を試算している。
横浜市に際限のないインフラ整備への投資と維持費用が求められるリスクを冒していると藻谷は言う。
町のパチンコ店はすでに苦しい経営に陥っている。パチンコ店の破産は町の経済に負の連鎖を生むだろう。
建設業界、土木業界が横浜市民の税金をむさぼるために、カジノ誘致が進められているのではないか。横浜市民の意志を問うために、住民投票を行うべきである。