きのうの朝日新聞のポール・クルーグマン(Paul Krugman)の『〈コラムニストの目〉「ポスト真実」の経済 好況の事実覆う党派の願望』を読んでもよくわからない。どうも、バイデン政権の下で経済復興を遂げているのに、ミシガン大学の消費者調査(University of Michigan survey of consumers)によると共和党支持者が以前より景気が悪化しているとみていることに、彼は怒っているようである。
クルーグマンは経済学でノーベル賞をもらっている人で、以前から私は敬意を払っている。
問題とするこの記事はニューヨク・タイムズに6月24日にのった記事 “Economics in a Post-Truth Nation” の翻訳である。読んでもすっきりしないのは、共和党支持者を一方的に罵っているからのような気がするからである。彼が怒っているミシガン大学の消費者調査はTables Addenda of Political Party Variable と思われる。
現状の経済状況(CURRENT ECONOMIC CONDITIONS)の評価が、2021年6月では、民主党支持者で92.3、無党派で 86.1、共和党支持者で 77.4である。いっぽう、大統領選前の2020年10月では、民主党支持者で78.1、 無党派で81.0、 共和党支持者で100.4である。バイデン政権の経済政策が効を奏しているのに、共和党支持者が評価しないのが気にいらないのである。
《共和党員のほぼ3分の2がまったく誤って「大統領選は盗まれた」と信じており、約4分の1が世界は悪魔を崇拝する小児性愛者によって支配されていると考えているのだから。「ポスト真実」の精神状態が経済に及んでも、驚くことはないのではないか?》
《共和党支持者の景況感は、「自分は大丈夫だが、他の人々はひどい状況だ」という考えに基づいているのかもしれない。》
こう語ったあと、個々人の景況感に客観性がなく党派的になるが、昔はこれほどひどくなかったと彼は言う。
ミシガン大学の消費者調査というのは、社会のどの層の人びとが答えているのか、私にはわからない。みんなが、アンケートに答えるとは思えない。社会の特定の層が答えているのだと思う。「自分は大丈夫だが、他の人々はひどい状況だ」という言葉がでてくると、クルーグマンは、中間層の上だけがアンケートに答えていると思っているのかもしれない。
アメリカでの党派的分断が依然として進んでいること、バイデンの国民の融和政策がうまくいっていないことが、クルーグマンの寄稿から伺え、私は、何か気分が悪い。
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