猫じじいのブログ

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「きょうされん」を「共産党系」と勘違いした横浜市緑区の騒動

2020-03-10 00:09:16 | 社会時評
 
古新聞を整理していたら、今年の2月21日に、横浜市緑区の区長、小野崎信之が、「きょうされん」の専務理事藤井克徳に いったん依頼した講演の講師を、ウソの理由で断ったことを謝罪した、という記事を見つけた。
 
横浜市緑区は、障害者への人権問題の理解を区民に広げようとこれまで努力してきており、私はそれを高く評価してきた。その区は、東京五輪・パラリンピックに向けた「東京2020公認プログラム」の一つで、多様性への理解を進めるための講演を、昨年7月5日、「きょうされん」を通して藤井に講師を依頼し、承諾を得た。
 
藤井は、NPO法人日本障害者協議会代表で、自身も視覚障害があり、これまで、東京都や内閣府などの諮問機関の委員を歴任し、障害者の自立支援策などを提言してきた。2014年には国連の第7回障害者権利条約締約国会議に日本代表団顧問として参加した。
 
いったん依頼した講演を区が断った事情は、2月17日の朝日新聞によるとつぎのようである。
 
講師選定の場に加わっていた総務課の係長が「きょうされん」は共産党系ではないかと思い、7月11日の区役所内の会議で、係長が「検索するとすぐに所属する団体が共産党系だとわかる」「(一部の市民から)なぜこの人を呼んだのかと意見が入る可能性もある。(他政党などの)団体系の講師の依頼を断れなくなる恐れもある」と藤井の講演に反対した。
 
三瓶一道副区長や担当課長がこの会議に参加していて、キャンセルを決めた。区は同日、「きょうされん」に講師依頼をキャンセルする連絡をした。このとき、キャンセルした本当の理由を言いにくかったため、「ダブルブッキングだった」と事実と異なる説明をしたという。
 
講師依頼をキャンセルした本当の理由が今年になって明るみに出て、いろいろな方面で怒りが爆発したようだ。
 
今年の1月31日に、事実誤認があったとした上で、三瓶副区長らが、「きょうされん」を訪ね、謝罪した。 
 
三瓶副区長は「中立性を過度に意識してしまった。安易に断らず、藤井氏側と、中立性が担保できるよう講演内容を相談するべきだった。批判があればきちんと藤井氏の実績を説明すればよかった」と話した。
 
「きょうされん」の多田薫事務局長は「選挙で特定の政党を応援することなどは一切していない。いろいろな考え方が区民の中にもある中で、自由な発言を保障することが大切。行政の中立とはそうあるべきだ」と話した。 
 
「きょうされん」は共同作業所連合の「共作連」の略称からきており、べつに共産党系ではない。障害者が働く場「共同作業所」を支援する全国組織である。養護学校の子どもたちの多くが卒業とともに、労働を通じて社会参加する場が「作業所」である。最低賃金までいかないが、自分の労働を通じていくばくかのお金を稼ぎ、社会に貢献できる場が「作業所」なのである。私がNPOで担当した子どもが何人か作業所で働いている。
 
「きょうされん」を「共産党系」と思って区が講師を断ったことが、2月17日に各紙に載ったことで、1月31日の謝罪で済まず、2月21日に、横浜市緑区の区長、小野崎信之が、「きょうされん」の専務理事藤井克徳に改めて直接謝罪したということである。
 
ここで、すっきりしないのは、もし、藤井克徳が共産党系であれば、謝罪しないつもりだったのか、ということである。また、ひとを所属で判断して良いのか、共産党系だと多様性や障害者との共生について話してはいけないのか、ということである。
 
共産党神奈川県委員会の田母神悟委員長が怒ったのも理解できる。
 
「藤井氏側と、中立性が担保できるよう講演内容を相談するべきだった」ということでは、謝罪になっていないのではないか。「多様性の理解」とは「自由な発言を保証すること」ではないのか。


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