猫じじいのブログ

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『形骸化する国会審議』こそ民主主義の危機、きょうの朝日新聞の耕論

2022-09-17 22:17:52 | 政治時評

代議制民主制では、国会審議が国民の代表によってまじめに行われるのが前提である。ところが、きょうの朝日新聞《耕論》は『形骸化する国会審議』をテーマにしていた。

「形骸化」が事実なら、とんでもない話である。国民の代表という国会議員に任せておけない。直接民主主義の出番である。デモだけで十分でないかもしれない。エリツィンやトランプにならって国会襲撃も必要かもしれない。民主主義の危機である。

《耕論》では、3人の論者がともに「国会審議が形骸化している」ことを事実と認めている。私も ときどき国会中継を聞いてきたが、安倍晋三は、首相のとき、まともに野党の質問に答えていなかった。質問に関係なく自分の持論を繰り返すだけで、討論になっていなかった。

私はBBCテレビでときどきイギリスの国会中継も見ていたが、イギリスの首相は野党議員と討論を行っていた。驚くのは、事前通告制がなく、質問する議員を議長がその場で次々と選ぶ。そして、首相や大臣は、メモや役人のサポートなしに、矢継ぎ早にでてくる質問や意見に答える。質問や返答に議場から拍手とヤジがとんでくる。いかにも国会審議らしくて、見ていても楽しい。

論者の只野雅人、野中尚人は、ともに、日本の国会審議の形骸化は与党の事前審査制に原因があるとしている。法案の作成段階の非公開事前審査で、政府、官僚、与党のボス議員、圧力団体の利害調整が行われる。法案が国会に提出されれば、絶対に修正に応じない。応じる場合があっても、事前審査で「政権よりの野党」に花を持たせる約束があっての芝居である。

したがって、首相をはじめとする大臣は、事前に通告された質問に、役人が用意した回答をメモにそって読み上げるだけである。安倍元首相は、自分がイデオロギストとの自負からか、質問に返答するというより、共産主義や社会主義をバカにした持論を繰り返すことが多かった。

野中は、国会審議の形骸化は、戦前にもあったという。いっぽう、戦後の憲法案審議のNHKの再現ドラマではちゃんと討論になっている。GHQの法案がそのまま通ったというより、国会議員の真摯な議論によって修正されていったように見える。1955年の保守合同で自民党が誕生して以来、多数派が法案の事前審査を行い、国会では妥協なく法案を通すという慣習(55年体制)ができあがったと野中はいう。

2009年の民主党政権の出現で「55年体制」が崩れたと思われたが、安倍晋三はそれを復活した。岸田文雄は、安倍晋三の「国葬」の閣議決定で、「国会審議の形骸化」の完成を祝いたいのだろうか。安倍晋三が殺害されたことよりも、これこそ、まさに「民主主義の危機」である。



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