今回のアメリカ大統領選を見ていて、自分がアメリカ国民でなくて本当に良かったと思う。アメリカの政治制度の貧困さをまざまざと見た。アメリカを見習うのは終わりにしよう。
第1に、アメリカは大統領選や議員選挙に有権者登録制度を導入している。州あるいは地方政府に、投票することを事前に登録しないと、投票できない。有権者登録率は7割前後である。有権者登録制度を通じてマイノリティの投票を抑制している。
第2に、予備選挙制度である。州政府の実施する予備選挙制度で各政党の大統領選や連邦議員の候補者を決定する。
第3に、大統領選は州単位で選ばれる代議員による間接選挙である。しかも、ほとんどの州では総取り方式である。1票でも多い政党がすべての代議員を取るのである。今回、トランプが50.9%の票をとり、ハリスが47.6%の票をとったが、代議員はトランプが295代議員をとり、ハリスが226代議員をとった。
第4に選挙にどれだけお金を使おうが問題にされない。お金をかけて作られた扇動的なテレビ広告やネット広告がどんどん流れる。個人献金の額にも制限がない。今回、イーロン・マスクがトランプ陣営に少なくとも1億1900万ドルの献金を行った。それだけでなく、マスクは選挙期間中、自身が設立した政治活動委員会「アメリカPAC」が掲げる請願書に署名した激戦州の有権者を対象に「毎日誰か1人に100万ドルを配る」とした。
これらが、総じて2大政党を有利にしている。
ウソをつきまくるトランプも嫌だが、ガザやレバノンに侵攻しているイスラエルに軍事援助を行うハリスも嫌だとすると選択先がなくなる。ハリスは民主主義の危機という「正義」を旗印にしたが、すざましいインフレ下での経済的困窮の解消を約束しなかった。
自分を代弁してくれる候補者を見出すためには、2大政党のいずれかに予備選に参加して、自分に近い意見を述べる候補者を勝たすしかない。本選の前に夢破れるかもしれない。
振り返って、日本やヨーロッパでの選挙では、政党の多数の選択肢がある。
今回の衆院選で、国民民主党が7議席から28議席になっただけで大騒ぎだ。過半数は233議席なのにだ。国民民主党の「手取りを増やす」という主張は、日本の政治にこれから反映され可能性が高い。日本の政治のほうがアメリカより健全である。
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