猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

「保母」しかいない時代に保育園で働き出した男の物語

2021-12-21 23:43:20 | こころ

きょうの朝日新聞夕刊1面のトップは『「男なのに」と言われた 保育士の半世紀』だった。高校を卒業して大手電機メーカに務めたが、なじめず半年で退職、やりたいことに悩んでいたとき、「保母募集」を新聞の求人欄でみつけ、母の勧めもあって、応募したのが始まりという。

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じつは、2年前に、大学進学するかどうかで悩んでいた高校2年生の男の子に、私は、保育士になったら、と勧めて、大いに怒らしてしまった。

幼稚園の先生になるには大学に入学する必要がある。幼稚園教育は文部科学省の管轄だからだ。いっぽう、保育士になるには、大学卒の資格がいらない。国家試験に受かれば、保育士になれる。保育園は厚生労働省の管轄であるからだ。

その子は、当時、私のいるNPO放課後デイサービス(放デイ)に来ていて、うまく、小学校の子どもたちを遊ばすことができた。テンカンの持病があり、服薬の調整のため、毎年、長期入院して中学校を休んだためか、学校の成績はよくない。また、好きな学科があるわけでない。

その子は、保育士の仕事は大変な重労働なのに、給料は安いし、世間は男の保育士をばかにしている、と私に言った。

その子は、小説家になりたいといっており、放デイに来て私のもとで小説を書いていた。私は、特別に可愛がっていたつもりである。保育士になるよう勧めた結果、私のもとを去り、受験勉強に精を出し、どの大学か、どの学科か知らないが、とにかく、大学にはいった。新型コロナで大学も開いていず、別のところの放デイでボランティアとして子どもの世話をしているという。

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48年前に19歳で保育園で働き出した若者は、赤ん坊や幼児の世話をやきつづけ、昨年、区立保育園の園長になった。人にはいろいろ言われたが、続いたのは子どもが好きだったからだと言う。しかし、給料はずっと低いままで、共働きだから、ようやく、3人の子を育てることができたと言う。

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私のただ一人の孫が九州にいる。新型コロナのため、この2年間会っていない。新型コロナの前に会ったときは、まだ、はいはいをしていて、私の顔を見て、泣いた。息子の便りでは、その孫が、ものおじせず、テレビの歌番組のをまねて踊ったり、最近は、言葉も話せるようになったという。来年からは保育園にはいるのだという。

私のもう一人の息子は引きこもっている。保育園、幼稚園で、いじめられたと言う。先生が怖かったと言う。だから、ただ一人の孫が保育園にいくことに不安がある。子どもが無垢だというのは、対人関係にまつわるいろいろな感情は生まれたときからあるのではない、という意味である。対人関係で起きる不安や恐怖の感情も、幼児の頃の体験を通じて、学習していく。だから、保育園での体験は、心の成長に非常に重要である。

私の近所には保育園がいくつもある。みんな施設が狭いから、保育士が子どもたちを公園に連れ出して遊ばす。それを観察していると、やっかいな子どもに対する、保育士の能力に大きな差がある。優秀な保育士は、問題の原因を即座に見出し、子どもを納得させることで解決する。が、無能な保育士は自分の指示に子どもが従わないことのみしか見ない。私は、無垢な子どもたちを傷つけないで欲しいと祈りながら、だまって見ている。

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幼い子どもを育てることを女の仕事だと軽くみてはいけない。単に世話をやいているだけでなく、人間の心を育てているのだ。そして、とても繊細な仕事であり、とても難しい仕事である。



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