1月20日、これから、3時間後にジョー・バイデンのアメリカ大統領就任式が行われる。しかし、就任式の行われる首都ワシントンは2万人の州兵によって厳重な警戒が行われ、バイデンを祝福する人たちが まだそこにいない。会場の観客席には、星条旗がはためいているだけだった。
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1月6日、トランプ支持者たちが選挙結果を認めないという集会を首都ワシントンで開いていた。アメリカ議会での選挙結果承認を妨害する意図をもって、トランプが議事堂に向かって行進するよう呼びかけ、そのことで、議事堂内への乱入を招いた。そして、警備員に乱入したトランプ支持者4人が撃ち殺された。
これ自体はアメリカの分断の大きさをうかがわせる事件である。集会に参加した人数は何人で、乱入した人数は何人で、この事件の世論調査の結果はどうだったか、私は調べていない。
しかし、アメリカ議会は、共和党を含めてこの事件を許されないことと判断し、また、軍隊上層部やFBIなどはアメリカの憲法と民主制に忠誠を示し、議事堂乱入事件は暴徒による不法行為として扱われた。したがって、アメリカの民主主義は守られたはずである。160年前のリンカーン大統領のときのような内乱にならないはずである。
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しかし、これから行われるアメリカ大統領就任式に、ジョー・バイデンを祝う民衆はどこにいるのか。レディー・ガガが米大統領就任式で国歌を独唱しても、パレードもなく、ジョー・バイデンを祝福する群衆の集まりが少ないと、アメリカの民主主義の健在を私は実感できない。
ちょうどいま、テレビ朝日『報道ステーション』は米軍基地で行われるトランプの退任式をライブで放送している。退任式を終えたら、フロリダに大統領専用機エアフォースワンでいくのだという。
私は、約2万人の州兵が警戒に動員されているというだけの大統領就任式をみたくない。バイデンは身の危険があっても、多数のアメリカ国民に支持されているという演出をすべきではないか、と思う。
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いま、日本時間で深夜の1時45分ごろに、ジョー・バイデンの就任宣誓とスピーチが始まった。招待された人たちだけの奇異な就任式だった。祝福する群衆の代わりに、観客席では多数の小さな星条旗だけが風に吹かれ、はためいていた。まるで、激戦の後の荒廃した町のようだ。
しかし、バイデンのスピーチはよかった。Democracy、Unity、Constitution、Healing、Togetherを繰り返す、単純なものだが、物静かな、そして、説得するような声の調子が良い。Hear me clearlyなどのフレーズもはいり、教会での祈りを聞いているような感覚だ。
国民の深刻な分断のなかで、新型コロナで荒廃したアメリカが、バイデンのような静かに心から語る老人を、必要としているのだという気がしてきた。
彼の言葉が、コロナと分断のアメリカの国民を助けることを、祈る。言葉が、すさんだ心を癒やすよう、祈る。
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