きょうの朝日新聞に、『中学生に袋かぶせて殴り監禁か NPO法人理事長・小学校教員を逮捕』という記事が載っていた。毎日新聞には、同じ事件に『障害児ら拘束の福岡のNPO法人 3日間の療育報酬は100万円』という見出しがついていた。
事件は子どもに対する虐待事件であり、また、詐欺事件である。福岡県警が、虐待と詐欺を行ったNPO法人「さるく」の理事長の坂上慎一と共犯者の小学校教諭の松原宏を逮捕したという記事である。
福岡県警が逮捕に踏み切ったことを評価するとともに、いまだに、このような虐待と詐欺が日本で行われているのか、と唖然とする。
いまから約40年前、戸塚ヨットスクール事件というのが起きた。ひきこもりや家庭内暴力を振るう子どもを有料で引き受け、「教育的体罰」と言う名目で預かった子どもたちを日常的に暴力を振るい、2名が死亡することで、組織的虐待の実態が明るみに出た。
今回の虐待の対象になった子どもたちは、朝日新聞によれば「発達障害児」であり、毎日新聞によれば「知的障害児」「自閉症」である。私の経験からすると、これらの子どもたちが、矯正施設に監禁され、「教育的体罰」という名の虐待を受けるというのが、私には不可解である。新聞は本当のことを語っていないと感ずる。
対象になっていたのは、不登校、ひきこもり、親に暴言暴力を振るう子どもたちであったと思われる。というのは、「発達障害児」「知的障害児」「自閉症スペクトラム症児」はみんな優しい子で、そんな子に暴力を振るう理由なんて、考えられないことだからである。
親は自分の思い通りにならない子どもたちを、お金を払って外部の暴力の導入によって、子どもを支配しようとしたのだと思われる。親はとても愚かしいことをしたのだ。暴力を使って、子どもの考え方を変えるなんてことは、絶対にしてはならないことである。
暴力をふるって考え方を変えさす行為を「洗脳」という。暴力の恐怖感から条件反射的に行動を変えるまで、洗脳対象の人間を徹底的に虐待するのである。当然、抵抗する人間は死に至ることもある。また、虐待する側は、虐待することに快感を覚えるようになり、過度の虐待をするようになる。
不登校、ひきこもり、親に暴言暴力は理由があるはずである。不登校や引きこもりには学校に問題があるからである。教師や他の児童に問題があるのかもしれない。隠れたいじめが結構ある。学校ぐるみでオカシイ場合がある。親に暴言暴力を振るうのは、それを理解してくれない親に対する抗議である。
子どもの訴えを暴力で抑え込み、親の思うように行動させるというのは、根本的な誤りである。不可能である。
私がいるNPOでの経験からすると、通常、小学校の不登校は、学校に行かさず、愛に満ちた環境に置けば、半年で自然に解決する。学校ぐるみでおかしいときは、まともな学校に転校すればよい。
家庭内暴力が生じた場合、私は、親子の和解に重点を置く。親子が対話できるようになることを目指す。
今回の福岡の事件が、社会に広く知れ渡り、子を持つ親が「洗脳ビジネス」に騙されないことを願う。
人は記憶にもとづいて動く「からくり人形」のようなものである。記憶は神経細胞のつながりによって実装される。この記憶に自ら逆らうのが知性であり、自由意志だと、私は思っている。団体や国家の暴力によって、この記憶が書き換えられるなんて、あってはならない。
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