正直、人間社会の中で生きていくことに、ほとほと疲れ果ててしまいました。どこか違う世界に行きたいです
まあ、やることをやってからね。
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ユリ科の話
Streptopus タケシマラン属 扭柄花属
ユリ科、あと2回です。
狭義のユリ科は、これまでに述べてきた、ユリ亜科(ユリ連とツバメオモト連)のほか、2つのマイナーな亜科で構成されています。北米大陸にのみ繁栄するCalochortus属(約70種)から成る亜科Calochortoideae。タケシマラン連とホトトギス連からなるタケシマラン亜科Streptopoideaeです。
Scoliopus属、Prosartis属(ともに北米大陸)、Streptopusタケシマラン属から成るタケシマラン連も、日本列島を中心に繁栄するホトトギス属単独属から成るホトトギス連(次回紹介)も、“ユリ”のイメージからはかなり遠い植物です。
ホトトギスがユリに比較的近縁ということは、APG分類が確立する前から、それとなく知ってはいました。しかし、ぱっと見は、どう見てもAPG分類で“科”の段階で異なるイヌサフラン科のホウチャクソウ属や、“目”の段階で異なるアスパラガス科のアマドコロ属(ともに以前の分類システムでは同じ「ユリ科」に含まれていた)と同じ仲間にしか見えないタケシマラン属が、狭義のユリ科に属するとは、思ってもみませんでした。
他の多くのユリ科植物に比べ、花は極めて小さく華奢、対照的に色鮮やかな熟果が実ります。
タケシマラン属Streptopusは、ユーラシア大陸~北米大陸に10種が分布。日本にはタケシマランS.streptopoidesとオオバタケシマランS. amplexifolius。前者は周日本海地域からシベリアを経て北米西部、後者は全北区(ヨーロッパ‐アジア‐北米)に分布します。他に北米に固有の1種、中国には(日本産2種を含む)5種。大半の種では花弁が強く外側に巻きますが、中国西南部産の2種は花冠が鐘型です。うち四川省産は花がより小さく(径1㎝弱)、花被弁地色が白で紅色を帯びず、葯が短めであることなどからS.parviflorus小花扭柄花と同定しました。
非常に小さな花ですが、近寄ってよく見れば、なるほどユリに似ています。上記した2パターンの花型は、ツバメオモト/メデオラの場合同様に、花冠がテッポウユリのように受け咲きか、ヤマユリのように反り返るか、の違いですね。
*日本産2種は手許に花の写真が無く果実だけ、逆に中国(ベトナム)産2種は花だけしかありません。写真が見つかるまで、このまま仮アップしておきます。
Streptopus parviflorus小花扭柄花
四川省ミニャゴンカ海螺溝(氷河下の冷温帯原生林内)alt. 3000m付近. Jul.2,2009
Streptopus simplex 脇花扭柄花
雲南省南部と紅河を隔てたベトナム最高峰ファンシーパン山頂から数100m下った熱帯雨林。Jun.25,2017
花被弁が強く背方に反り返らない2種のうち、四川省西南部~雲南省産S. parviflorusより花がやや大きく(花冠径1㎝以上)、花被弁地色が淡紅色を帯びる傾向があり、葯が長めの、雲南省南部‐インドシナ半島北部‐ヒマラヤ東部に分布する集団を、脇花扭柄花S. simplexとした。
*写真は左右が2分割されて表示しています。
タケシマランStreptopus streptopoides 果実
北アルプス蝶ケ岳 Aug.26,1999
タケシマランStreptopus streptopoides 果実
八ヶ岳美濃戸 Aug.1,1984
オオバタケシマランStreptopus amplexifolius 果実
北アルプス白馬岳 Aug.23,1993