弁護士任官どどいつ集

弁護士から裁判官になった竹内浩史のどどいつ集

単純過失で 重過ぎないか? 声を掻き消す 厳罰化

2008年06月02日 00時17分43秒 | 未分類
例会ではNHKドラマ「ジャッジ~島の裁判官奮闘記~」の第4回を上映し、感想を述べあった。
大議論となったのは、量刑が重すぎるのではないかという点である。
自動車運転での単純な過失による致死傷罪(離婚して女手一つで幼児を育てている母親が園児と母親を死傷させた)なのだが、島の裁判官は悩み抜いた末に禁錮1年の実刑を宣告した。それでも法廷で遺族は「人を殺しておいて、どうしてたったの1年かい!」と大声で叫び、判決理由も聞かずに退廷してしまう。傍聴席に残された被告人の親族は「実刑は、厳しすぎる……」とつぶやく(角川文庫のノベライズ本では196~197頁)。
参加者の意見分布は(元)裁判官も一般市民も執行猶予派が多かった。
これまで、最高裁で量刑不当の上告が、実刑を破棄して執行猶予とする方向で容れられたのは、私の知る限り3件のみ。いずれも業務上過失致死罪である(2件は自動車事故、1件は航空機事故)。
最近の厳罰化の傾向からすると当分、4件目は出そうにない。