『岸辺のヤービ』梨木香歩 福音館書店
緑豊かな湖沼地帯、そこにある寄宿学校で教師をしている「わたし」は、ある晴れた夏の日、学校近くの三日月湖、マッドガイド・ウォーターに浮かべたボートの上で、ふしぎな生き物と出会う。 ふわふわの柔らかい毛におおわれ、二足歩行するハリネズミのような……。 そのとき、わたしが彼に手渡した一粒のミルクキャンディーがきっかけとなり、「ヤービ」と名乗るその生きものと、わたしとの交流がはじまる。キジバトの背に乗って空を飛んだり、水をはじくスーツを着て水中を自由自在に泳ぎ回ったり、ヤービの口から語られる水辺の生きものたちの暮らしは、穏やかだけれど、静かな驚きに満ちていた。
梨木さん風『たのしい川べ』『床下の小人たち』という感じだが、静かでとても優しい物語。ヤービがかわいい。小沢さかえさんのイラストが梨木さんの文の雰囲気とあって、すばらしい。このお話の続きが早く読みたい。
個人的に私は、本の「わたし」のように湖の岸辺にボートをうかべながら本を読む生活がしてみたい。レモネードとサンドイッチを持って。この冒頭の描写で、私の心は物語につかまれた。
緑豊かな湖沼地帯、そこにある寄宿学校で教師をしている「わたし」は、ある晴れた夏の日、学校近くの三日月湖、マッドガイド・ウォーターに浮かべたボートの上で、ふしぎな生き物と出会う。 ふわふわの柔らかい毛におおわれ、二足歩行するハリネズミのような……。 そのとき、わたしが彼に手渡した一粒のミルクキャンディーがきっかけとなり、「ヤービ」と名乗るその生きものと、わたしとの交流がはじまる。キジバトの背に乗って空を飛んだり、水をはじくスーツを着て水中を自由自在に泳ぎ回ったり、ヤービの口から語られる水辺の生きものたちの暮らしは、穏やかだけれど、静かな驚きに満ちていた。
梨木さん風『たのしい川べ』『床下の小人たち』という感じだが、静かでとても優しい物語。ヤービがかわいい。小沢さかえさんのイラストが梨木さんの文の雰囲気とあって、すばらしい。このお話の続きが早く読みたい。
個人的に私は、本の「わたし」のように湖の岸辺にボートをうかべながら本を読む生活がしてみたい。レモネードとサンドイッチを持って。この冒頭の描写で、私の心は物語につかまれた。