ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『モンスターマザー』『俳句という遊び』『偽りの楽園』

2016-10-22 14:28:22 | 
『モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』 福田ますみ 新潮社
 不登校の高一男子が自殺した。かねてから学校の責任を追及していた母親は、学校に全責任があると校長を殺人罪で刑事告訴する。人権派弁護士、県会議員、マスコミも加勢しての執拗な追及に、高校は崩壊寸前まで追い込まれ、教師と同級生、保護者たちも精神的に追い詰められていく。だが教師たちは真実を求め、法廷での対決を決意した。前代未聞の裁判で明らかになっていったのは、子供を死に追い込んだ母親の「狂気」だった。
 著者の『でっちあげ』とよく似ている。声高に糾弾する母。学校が悪いことを前提に回りの取材をせずに動く弁護士やマスコミ。本当にかわいそうなのは生徒たち。自殺した生徒のことを思うと悲しい。何より、どうして母親のような人格ができたのかが知りたい。

『俳句という遊び 句会の空間』 小林恭二 岩波新書
 春爛漫の甲州に八人の俳人が会した。飯田龍太,三橋敏雄,安井浩司,高橋睦郎,坪内稔典,小澤實,田中裕明,岸本尚毅。当代一流の技量を有する俳人たちが、流派を超えて句会を開く。これはその句会録である。
 『俳句がうまくなる100の発想法』の著者ひらのこぼさんがこの本を読んで、俳句にはまったとおっしゃっていたので、私も読んでみた。しかし、初心者の私にはハードルが高かったかな。だが、二日目の多くの句からいいと思う句を選ぶのは楽しかった。良さを言葉にできない私の代わりに、小林氏が解説してくれるので勉強になった。

『偽りの楽園』 トム・ロブ スミス 新潮社文庫
 両親はスウェーデンで幸せな老後を送っていると思っていたダニエルに、父から電話がはいる。「お母さんは病気だ。精神病院に入院したが脱走した」。その直後、今度は母からの電話。「私は狂ってなんかいない。お父さんは悪事に手を染めているの。警察に連絡しないと」。両親のどちらを信じればいいのか途方に暮れるダニエル。そんな彼の前に、やがて様々な秘密、犯罪、陰謀が明らかに。
 どういうこと?どういうこと?と思いながら、一気読み!さすが、『チャイルド44』の著者の本である。しかし、ラストは「え?」という感じ。ミスリードしてしまったこともあり、ポカーンとしてしまった。だが、あれはどういう意味かと考えていくと、案外深い。トラウマ、虐待や養子の問題などが浮かび上がってくる。
コメント
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