ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『遠の眠りの』

2020-11-05 23:07:33 | 
 「ホンマでっか!?」でブラマヨの吉田さんが、関ジャニ∞の安くんとご飯を食べて、トイレに行っている間に安くんがお会計を済ませていたという話をしていた。さすが、安くん。

『遠の眠りの』 谷崎由依 集英社
 大正末期、貧しい農家に生まれた少女・絵子は、農作業の合間に本を読むのが生きがいだったが、女学校に進むことは到底叶わず、家を追い出されて女工として働いていた。ある日、市内に初めて開業した百貨店「えびす屋」に足を踏み入れ、ひょんなことから支配人と出会う。えびす屋では付属の劇場のため「少女歌劇団」の団員を募集していて、絵子は「お話係」として雇ってもらうことになった。ひときわ輝くキヨという娘役と仲良くなるが、実は、彼女は男の子であることを隠していて――。
 跡継ぎの弟とは食事の内容も違うし、絵子は勉強をしなくてもいいと言われる。男と女では違う。といって、絵子が困難を乗り越え成功するのではない。障壁はあるが、地道に前へ進もうともがく名もない女の子のお話。戦争が終わり、一歩を踏み出そうとするラストの絵子に、希望を感じた。
 絵子の脚本<遠の眠りの>で描こうとした「あたらしい時代は、すぐそこまで来ている。それはいまだ眠っている。けれども半分目覚めてもいる」 運動家の朝子が「生き延びましょう」「わたしたちが、わたしたちのいられる世のなかが訪れるまで」と絵子に語る場面。印象的。
 福井に実在した百貨店を下敷きに、百貨店の夢のようなフロアや少女歌劇に人々が熱狂する熱のようなもの。福井に近い、ポーランドの孤児やユダヤ人がロシアを経由して上陸したという敦賀港。疲弊した農村と浮き沈みのある工場が入り混じった地方都市である福井。福井という地の利を得た物語だとも思った。

 本を読んで思い出したこと。
 私が大学に合格したとき、電話で祖父に伝えた。私は、てっきり「おめでとう」と言われるのだと思っていたら「お母さんに代わりなさい」と言われた。母と祖父の話から「なんで、女の子なのに大学に行かせるのだ」「行けるから、行かせるんだ」ともめているようで、驚いた記憶がある。
 やはり伯父に合格の電話をした時も「女の子なのに?短大ではなくて?なんで4大に?」と驚かれた。私の周りは、ほとんどが4年制大学に進学したので、「えっ?今時、そんなこと言う?」という感じだったが。昭和の終わりの頃でも、「女の子に学問はいらない」という地域はあったのだ。

コメント
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