ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#168

2019-05-28 12:00:12 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第168話『ぼんぼん刑事登場!』

(1975.10.3.OA/脚本=小川 英&杉村のぼる/監督=竹林 進)

私が最も入れ込んだ七曲署刑事=ボン(宮内 淳)の登場編です。

テキサス(勝野 洋)を殺人犯だと思い込んで手錠を掛ける、城南署のおっちょこちょいな新米刑事=田口 良。

殺人の証拠を掴むためテキサスにつきまとう内、その人柄と刑事魂にすっかり心酔し、自ら七曲署勤務を志願するという変わり種。自分で転勤先を決められるとは、なんておおらかな世界観!w

しかし、その人懐っこさと素直さは視聴者の共感を呼び、歴代新人刑事の中でも屈指の人気者となり、番組の黄金期を支える存在にまでなっていきます。

実際、ボンが七曲署に在籍した4年間は、視聴率的にも『太陽にほえろ!』の絶頂期でした。そしてボンが抜けた直後の急降下。ちょうどTVドラマ(で描かれる内容)の転換期だったせいもあるでしょうが、ボンのファンが離れた影響の方が、もしかすると大きかったかも知れません。

だって、ゲイでもない私がとことん惚れ込んだワケですから、よっぽど魅力的なキャラクターなんだと思います。演じた宮内淳さんが俳優としては短命だった理由も、最初に演じたこのボン刑事があまりに当たり役すぎたせいじゃないか?って書かれてるブロガーさんもおられました。確かにそうかも知れません。

最初の1年は頼りない感じが強調されますが、スコッチ(沖 雅也)のサポート期を経て独り立ちし、ロッキー(木之元 亮)の先輩になってからはクールな側面も描かれ、どんどん魅力を増していきます。

歴代刑事の中でもボンほど著しく成長を遂げたキャラクターは他におらず、その過程を見届ける楽しみも「ボンがいた4年間」の隠し味になってると思います。

もちろん、後輩を得てより頼もしくなったテキサスの成長ぶり、大人の色気を増していくベテラン刑事たち、そして更にクオリティーを高めたドラマ内容の充実ぶりも見逃せない『太陽にほえろ!』4年目のスタートです。

PS. この第168話では、テキサス&ボンが相当な長距離を延々と全力疾走させられてます。編集で残ってる分だけでも長いですから、カットされた分も足せばとんでもない距離でしょう。

撮影直後、犯人役の俳優さんと宮内さんがゲロを吐いてる横で、1年間シゴかれて来た勝野さんだけが平然としてたんだとか。

なんか、全てが尋常じゃないですよねw
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『警視庁捜査一課9係』シリーズ '06~'17

2019-05-28 00:00:26 | 刑事ドラマ HISTORY









 
テレビ朝日系列・水曜夜9時の刑事ドラマ枠で2006年4月クールからスタートし、2017年4月クールまで(『相棒』等と交互に)全12シーズンが放映された、テレビ朝日&東映の制作による人気シリーズ。

主演の渡瀬恒彦さんが急逝され、一旦ピリオドを打った後も井ノ原快彦主演『特捜9』としてリニューアル、2019年春現在シーズン2まで放映されており、まだまだ続きそうな勢いです。

このブログで刑事ドラマの歴史を振り返って来て、現在の刑事ドラマは完全に原点回帰してるんじゃないか?って思えて来ました。

1972年に『太陽にほえろ!』が登場する迄の刑事ドラマは、あくまで事件の顛末を描くものであって、主役は犯人や被害者だった。刑事はドラマの進行役であり解説役に過ぎなかったんですね。

それを逆転させ、初めて刑事の心情や成長をメインに描いたのが『太陽にほえろ!』であり、それ以降は『太陽~』の作劇スタイルから人情ドラマの部分を掘り下げた番組や、アクション面を強化した番組など、あくまで『太陽~』を原型にした(つまり刑事こそが主役になる)ドラマの時代が長く事になります

その流れを25年目にしてようやく変えたのが、1997年に登場した『踊る大捜査線』です。これ以降、刑事のプライベートはほとんど描かれなくなり、警察上層部と現場の対立を軸に、組織内のゴタゴタをリアルに描くドラマが主流になりました。

で、それを更に進化させつつ、上質な謎解きミステリーの要素も取り入れて、ひと味違うスタイルを築いたのが2002年スタートの『相棒』です。

『相棒』以降、レギュラー(つまり刑事たち)のキャスティングは地味にして、毎回のゲスト(犯人や事件関係者の役)にメジャーな実力派俳優を呼んで、犯人と被害者たちのドラマこそをメインに描く番組が、また主流になって来たように思います。

もちろん一概には言えなくて例外もあるんだけど、全体的な流れとしては、主役が「事件」→「刑事」→「組織」→「事件」と変遷して来たのは間違いないでしょう。

そんな流れの中にあってこの『警視庁捜査一課9係』シリーズは、基本的には主流に沿って「事件」を主役にしつつも、それを捜査する刑事たちの個性をとても細かく描写することで独自の面白さを醸し出してます。それが長年続いてる人気の秘訣かも知れません。

まずレギュラーの刑事達が(あまりに個性的すぎて)ちっとも一枚岩になってないのがユニーク。そもそも係長の加納倫太郎(渡瀬恒彦)に、チームをまとめる気がサラサラ無い感じなんですよねw

いっさい指示を出さず、部下たちが勝手に動いてるのを黙認し、報告を聞いたらサッサと出掛けて自分1人で捜査してる。何を思って動いてるのか、視聴者にもいっさい教えてくれないw シリーズ初期はそれで部下たちが困惑したり怒ったりもしたけど、シリーズが続くにつれ皆それに慣れちゃってるのがまた可笑しい。

コンビの組み合わせが常に決まってるのもユニークで、一番若手の浅輪刑事(井ノ原快彦)が係長と組まされ、いつも振り回されてるw

浅輪が係長の娘=倫子(中越典子)と恋愛関係で、その成り行きがシリーズを通したサイドストーリーになってるんだけど、これも刑事のプライベートをあえて描かない昨今の作品としては珍しい。

で、小宮山(羽田美智子)&村瀬(津田寛治)が洗練されたエリートコンビで、対照的に泥臭い青柳(吹越 満)&矢沢(田口浩正)のコンビと仲が悪いw

私は特に、やたらプライドの高そうな津田さんを、吹越さんが常におちょくってる様子がツボに入りましたw 後に登場する日テレの『デカワンコ』もそうだけど、この吹越さんの尖ったユーモアが作品のクオリティーを底上げしてます。

捜査ばかりのドラマでも、捜査そのものを面白く見せる工夫が、吹越さんを中心にしたレギュラーキャスト陣の力量によって行き届いてる。だから謎解きメインでも決して退屈しないんですよね。各々のコンビが勝手気ままに動きながら、それぞれ持ち寄った成果がラストで結実し、事件解決に至る作劇にはカタルシスも感じます。

また、シリーズが続いていく中で人間関係が変化するのもユニークで、特に現場を指揮する「主任」の座が(不祥事などにより)村瀬から青柳、そして小宮山へと変遷し、上下関係がいきなり逆転したりするのが凄い。シーズン1では新米だった浅輪=井ノ原くんが『特捜9』に至っては先輩たちを差し置いて主任ですからね。

考えてみれば、10年以上も続きながらレギュラーメンバーの入れ替えが(亡くなられた渡瀬さんは例外として)いっさい無い点が何より珍しい。ずっと同じメンバーだからこそ関係の変化も見所になって来るワケです。

とはいえ9係を取り巻くサブキャラクターはそのつど補強され、シーズン4から監察医の早瀬川(原沙知絵)、シーズン10から警視総監の神田川(里見浩太朗)がレギュラーに加わるほか、遠藤久美子、畑野ひろ子、浅見れいな、金児憲史、石橋保、中村俊介、田中実、豊原功輔、誠直也、名取裕子、佐戸井けん太、野際陽子、竹中直人etc…といった人たちが歴代のセミレギュラーを務めておられます。

渡瀬さんが亡くなられた時はさすがに続行はムリかと思ったけど、そのスピリットを浅輪刑事=井ノ原くんが受け継ぎ、加納係長は新しい任務に就いた設定で『特捜9』がスタートしました。

渡瀬さんの抜けた穴はとてつもなく大きいけど、そもそも上司の命令で動く連中じゃないもんでw、係長がいなくてもチームの在り方は何も変わらず。これからも自由勝手な捜査で我々を楽しませてくれそうです。
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする