ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#167

2019-05-24 12:00:13 | 刑事ドラマ'70年代





 
☆第167話『死ぬな!テキサス』

(1975.9.26.OA/脚本=長野 洋/監督=竹林 進)

全国のファンから助命嘆願書が殺到し、ワンパターンを避けたい制作側の意向もあり、テキサス(勝野 洋)はもう1年、生き延びる事になりました。

本エピソードは予告編から「殉職」の匂いをプンプン漂わせ、早とちりしたファンをハラハラさせて、ちゃっかり高視聴率を稼ぎましたw

以来、歴代新人刑事は丸1年経った時点で「死ぬ死ぬ詐欺」の道具に使われ、必ず殉職寸前の危機に直面する羽目になります。

特に、最も演出が過剰だった(つまりクサかった)テキサス時代に制作された本エピソードは、今観るとこっ恥ずかしいというか、どうせ死なない事が分かってるだけに、失笑しちゃう場面も少なくありません。

特にクライマックス。絶体絶命のテキサスを救いに現れたボス(石原裕次郎)が、ライフルを構える犯人に向かって、丸腰で颯爽と歩いていく場面。

小学生時代、親戚の兄ちゃんと一緒に、夕方の再放送でその場面を観てて、ボスが腕を撃たれてぶっ倒れた瞬間、兄ちゃんが爆笑したんですよねw

ええカッコして結局撃たれてるやん!って事だと思うけど、番組に思い入れの無い人はこういう場面で笑うんやなあって、当時すでにドップリ『太陽』フリークだった私には新鮮な驚きでした。

そのせいで、私もこの場面を観ると、つい笑いが……w ボス、すみません!

『西部警察』でも渡 哲也さんがよくやってましたね。で、判で押したように必ず腕を撃たれてぶっ倒れるw たまには脚とかにすればいいのにw

ストーリーは、テキサスに追われて事故死した強盗犯の兄弟たち(尾藤イサオ&黒部 進)が、復讐のためにテキサスを襲撃してくるという、最終回『そして又、ボスと共に』の原型とも思える内容でした。

テキサスが握ってる拳銃は、MGCハイパトのゴリさんカスタム(M15マスターピース風)を更にコンパクトにした、テキサス専用タイプ。

銃身が2インチ位に切り詰められ、グリップも一回り細いサービスサイズに改造された、けっこう手の込んだプロップガンで、確か本エピソードが初登場だった筈。

初代ウルトラマンが撃ちまくるM16ライフルも、ちゃんとカートリッジを排莢してるのが確認出来ます。こうしてあらためて振り返ると、意外と『太陽にほえろ!』は銃器描写がマニアックな作品なんですね。
 
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『太陽にほえろ!』#166

2019-05-24 00:00:06 | 刑事ドラマ'70年代





 
☆第166話『噂』(1975.9.19.OA/脚本=土門鉄郎&小川 英/監督=児玉 進)

ゲスな記事ばかり書くルポライターの金子が自宅マンションで殺され、第一発見者の管理人(江幡高志)による証言で、看護婦の雪江(上村香子)が犯行時刻あたりに金子の部屋を訪れていたことが判明します。

第一発見者を演じてるのが江幡さん、という時点で真犯人はすぐ予想出来ちゃうけどw、それはともかく、雪江は金子の部屋には行ってない、顔も知らないと言い張ります。

山さん(露口 茂)は雪江を第一印象で「人を殺せる女性じゃない」と直感したにも関わらず、彼女が同じ病院に勤める賄い婦=はつ(吉川満子)から三百万円もの金を受け取っている事実を知り、疑惑を抱きます。

やがて、容疑者の雪江と被害者の金子が、共に新潟県出身である事を突き止め、新潟に飛ぶ山さん。そして彼女の暗い過去を知ります。

故郷でも看護婦をしてた雪江は、とある噂が原因で病院にいられなくなり、逃げるように上京して来た。

その噂とは、雪江が難病の母親を安楽死させたという、実は何の証拠もない話なんだけど、それを嗅ぎ付けた金子が彼女を恐喝していたとしたら……

さらに、彼女に三百万もの金を支払った賄い婦のはつが、癌を患っていることも判明。もしかすると、はつは雪江に、その金で安楽死を依頼したのではないか?

そう考えれば全て辻褄が合うんだけど、何しろ、第一発見者が江幡高志さんですw 第一発見者でなくても、江幡さんがマンションの管理人をやってる時点で怪しいw 当然ながら、彼が真犯人なワケです。

けど、雪江と金子には接点があった。江幡さんが犯人なら、なぜ彼女が嘘をつく必要があったのか? それはやはり、母親を安楽死させた罪を隠す為じゃなかったのか? 山さんは、追及の手を緩めません。

「隠せば隠すほど、我々はあなたを追い込むことになる」

ところが、はつがハッキリと証言します。例の三百万円は、障害児を抱えるシングルマザーである雪江を、ただ援助したかっただけだと。そして自分に残された時間を、彼女と一緒に、穏やかに過ごしたかったんだと。

確かに雪江は、金子に脅され、口止め料を支払っていた。でも、それは彼女が本当に母親を安楽死させたからじゃない。

「真実が何よりも強いなんてウソです。私は噂だけで、故郷を追われました。今もその噂が追って来て私を苦しめるんです。私を捕まえて罰を与えようとするんです!」

証拠もなく人を疑い、よってたかって吊し上げるような連中にとって、相手がシロであろうがクロであろうが知った事じゃないんですよね。

何度でも蒸し返しますけど、私も以前、ネット上で全くの濡れ衣を着せられ、吊し上げられた経験があります。『太陽にほえろ!』というドラマを愛する、同じ仲間だった筈の連中に!

ああいう連中には、何をどう釈明しようが通用しません。真実なんかどうでもよくて、ただ誰かを犯人に仕立てて糾弾した方が、連中は楽しいワケですから。こちらが必死になればなるほど格好の餌食です。

「お金を払って黙ってもらう以外に、一体どんな方法があるって言うんですか!?」

あの山さんにまで判断を誤らせた、噂というものの恐ろしさ!

山さん自身、母親を癌で亡くしており、その苦しみを分かち合う家族の苦しみを、人一倍解ってた筈なのに……

「なのに私は、そういうあなたを追いつめ、いっそう苦しめた。ただ三百万という金ひとつの為に……」

確かに、はつが雪江に支払った三百万円という金額に、刑事たち全員が惑わされ、踊らされちゃいました。

「刑事になってこのかた、私は、こんなに恥ずかしい想いをした事はない。……許して下さい」

山さんは自らの過ちを認め、真摯に謝罪しました。雪江が母親を安楽死させてない証拠も無いんだけど、最初の直感を信じたワケです。

私を吊し上げた連中は筋金入りの『太陽』マニア(全員、匿名)ですから、このブログの『太陽』レビューをチェックしてるヤツが一人や二人は絶対いる筈なんだけど、謝罪は一切ありません。

雪江は山さんを許したけど、匿名で、集団で、いきなり人を「お前」呼ばわりして勝手な正義感を振りかざす、卑怯で傲慢なあの連中を、私は絶対に許しません。

粘着質なヤツと思われるでしょうが、それだけ、どうしょうもなく傷ついたという事です。何しろ『太陽』ファンが集うサイト、私にとってオアシスだった筈の場所で地獄を味わったんだから。

それはともかく、噂というものの恐ろしさを真正面から捉え、尊厳死の問題にまで切り込み、完全無欠の刑事に見える山さんの失敗まで描いて見せたストーリーが素晴らしいです。

脚本でクレジットされてる土門鉄郎さんは、『太陽』以外に『青い山脈』『中学生日記』『ウルトラマンレオ』等のドラマで1~2本ずつしか担当されておらず、これは数少ない執筆作品の1つみたいです。

雪江を演じた上村香子さんは、当時29歳。水沢有美さん、金沢 碧さんと同じく『俺たちの旅』にこの直後レギュラー出演されます。『太陽にほえろ!』は第250話『民芸店の女』にもゲスト出演、再び山さんと絡むことになります。

旦那さんは『進め!青春』で主役を務め、後年『太陽』でロッキー刑事(木之元 亮)の兄を演じられる、浜畑賢吉さんです。
 
コメント (1)
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