2014年は、例年にも増して謎解き系の連ドラが多数放映される年となりました。ここで取り上げるのは主人公が刑事の作品だけで、探偵、弁護士、検事、監察医などの異業種は省いてるのに、それでもウンザリするほどの本数です。
もちろん中には面白い作品もあるんだけど、それはほんのひと握り。9割はつまんないか、可も不可もない無難な作りの番組ばかり。それでも、刑事ドラマが完全に絶滅しない限り、私は記事を書き続けなければなりません。理由は、ハリソン・フォードだからです。
で、先陣を切ったのはこの作品。なぜか巷では人気があるらしく、2019年現在まで3シリーズが放映されてる『緊急取調室』です。
第1シリーズは2014年の冬シーズンに全9話、第2シリーズは2017年の春シーズンに全9話、そして第3シリーズは2019年の春シーズンに全10話が、テレビ朝日系列の木曜夜9時「木曜ドラマ」枠で放映され、まだまだ続きそうな勢いです。2015年秋には単発スペシャルも放映されました。
簡単には落ちそうもない厄介な容疑者を、可視化設備の整ったスペシャルルームで取り調べるエキスパートたち、通称「キントリ」こと「警視庁緊急事案特別取調班」のメンバーが毎回、一癖も二癖もある容疑者たちと向き合い、殺人事件の謎を解いて行きます。
特殊犯捜査係=SITから抜擢された主人公=真壁有希子警部補に『BOSS』シリーズの天海祐希が扮するほか、でんでん、大杉 漣、小日向文世らがキントリのメンバーを演じ、さらに管理官の田中哲司、捜査一課刑事の速水もこみち、鈴木浩介、キントリの創設者である刑事部長の草刈正雄(第1シリーズのみ)、その後釜の大倉孝二といったレギュラーキャスト陣が絡みます。
また2018年に急逝した大杉漣さんに代わり、第3シリーズからは塚地武雅さんがキントリに加わりました。
刑事ドラマのキャスティングがすっかり地味になってしまった昨今、売れっ子俳優をズラリ揃えた本作の華やかさには大いに期待した反面、取調室をメインにした刑事ドラマが果たして面白いの?って、最初から懐疑的にも私は見てました。
なにしろ「ただ突っ立って殺人事件の謎を解く」ミステリードラマの氾濫ぶりに辟易してる中、ただ突っ立ってどころか取調室の椅子に「ただ座って会話しながら謎を解く」、躍動感ゼロの紙芝居みたいな刑事ドラマのどこが面白いの?って、アクティブさを求める私としてはどうしても斜めに見ちゃうワケです。
で、実際に第1話を観て、その時は失望しました。思った通り躍動感は皆無だし、最新鋭の設備を備えながら最終的には人情の「泣き落とし」で一件落着って、それじゃ『太陽にほえろ!』の時代と何も変わんないどころか、山さん(露口 茂)が1人でやってたことを大袈裟にチームでやってるだけやん!って、当時やってたブログにはボロクソ書きました。
ただ、それは刑事ドラマにまだ期待を抱いてたからこその不満で、もはや諦めた今となっては「いやいや、ただ座って会話するだけで毎週1時間もたせてるドラマって、逆に凄いやん」ってw、皮肉も半分ありつつ認めざるを得なくなっちゃいました。
考えてみれば、激しい場面転換やアクションの見せ場があった方が、ドラマを面白く見せるにはラクなんですよね。ひたすら同じ部屋で座ってるだけのドラマを面白く見せる方が、よっぽど難しくてチャレンジングなワケです。
それを実現するには芸達者な俳優たちの力も必要で、その為のオールスターキャスティングなんだと納得も出来ます。ワンセットで撮影できる=少ない日数で撮影できる=売れっ子揃いでも何とかスケジュールを確保できる=シリーズ化も可能っていう、実によく練られたシステムとも言えます。
誰が真犯人か?よりも、いかにして容疑者を心理的に追い詰め、自白に導いていくか、その過程こそが見せ場になるのは到叙ミステリーに近いものがあり、その点でもハードルが高いことに挑戦してるんですよね。
そう考えると、ただ座って会話してるだけだからと言って「つまんない」と決めつけるワケにはいきません。続けて観てみるとやっぱりエピソード毎のクオリティー差が激しいんだけど、うまくいった時は通常の謎解きドラマより大きなカタルシスが得られるんですよね。
そこにシリーズ化へと至った人気の秘密があるんだろうと思います。毎週観ようという気にはやっぱり私はなれないけど、凡百の謎解きドラマよりは面白いと認めざるを得ません。
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