☆第221話『刑事失格!?』(1976.10.8.OA/脚本=小川 英&杉村のぼる/監督=小沢啓一)
そして遂に、スコッチ(沖 雅也)がやらかしちゃいます。拳銃も持たない無抵抗の容疑者(長塚京三)を撃って負傷させ、本人はおろかボス(石原裕次郎)の責任、そして進退まで問われる非常事態が発生! だから言わんこっちゃない!w
スコッチは事前に、容疑者が車のサイドボックスに拳銃を隠し持ってるという情報を得ており、追い詰めた際にそれを取り出そうとしたから撃ったと主張。
ところが、実際には車のどこにも拳銃は無く、容疑者は「何もしてないのに、いきなり撃たれた」と主張。スコッチならやりかねないだけにw、警察上層部はスコッチと、現場で一緒にいたボン(宮内 淳)を懲戒審査委員会に呼び出します。
ボンは、ちょうど覆面パトカーから降りてる最中にスコッチが撃った為、容疑者がその瞬間どんな動きをしたのか見てません。
仲間を信じたいボンだけど、ただ「(容疑者が)拳銃を取り出そうとしたから撃った」としか言わないスコッチに、もしかしたらまだ若い長塚京三さんの顔があまりに憎たらしいから撃ったのでは? そもそも、この人は本当に我々の仲間なのか?……と葛藤し、苦悩します。
先に結末を書きますと、その事件が起こる直前に、別の人間が長塚さんの車から(強盗目的で)拳銃を盗み出していた事実が判明し、スコッチは謹慎&減俸処分で済みました。
現実的にはそれだけじゃ済まないだろうと思いますが、そんな事よりも重要なのは、藤堂チーム一同がスコッチの(にわかには信じがたい)主張を信じて捜査し、真実を導き出したこと。
さらに、拳銃を取り戻した長塚さんが、盗んだ相手を撃ち殺そうとした時、ボンが捨て身で長塚さんに突っ込んで行ったこと。一緒にいるスコッチが、再び長塚さんに発砲するのを阻止する為に。
「撃たせなかった! 今度こそ撃たせませんでした! コイツにも、滝さんにも!」
「……バカだ、お前は」
嬉しそうに報告するボンに、スコッチはそう言って、微かに笑うんですよね。ほんの一瞬なんだけど、スコッチが七曲署に来て初めて、本来の優しい素顔を覗かせた瞬間でした。
甘え合うことと、信頼し合うことは違う。そして人は所詮、独りではやって行けない。刑事としても、人間としても…… ゴリさん(竜 雷太)や山さん(露口 茂)の助言を、スコッチはこの時、ハートの部分で理解したんじゃないでしょうか。
少しずつながら、スコッチが変わっていく……いや、本来の姿に戻っていくキッカケになった、これは彼にとっても藤堂チームにとっても、非常にエポックな事件だったと言えるでしょう。
また、普通なら近寄りがたいキャラで先輩格でもあるスコッチに、その自宅にまで押し掛けて真正面からぶつかって行くボン、そして彼を辞めさせないために我が身の危険を省みず犯人に突進するボン等、愛されキャラ・ボンボン刑事の魅力も存分に堪能できる、これまた屈指の名作かと思います。
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