爆発だ! 爆発だ! 爆発だ! 芸術だ!
べらぼうな夢はあるか? でたらめをやってごらん
自分の中に毒を持て 自分の運命(さだめ)に盾を突け
うまくあるな きれいであるな ここちよくあるな
マイナスにとびこめ! タローマン (なんだこれはっ!?)
……というイカした歌詞の主題歌で始まる、1970年代に放映された特撮ヒーロー番組『タローマン』を、皆さんご存知でしたか? 私はつい最近までまったく知りませんでした。
第1話『でたらめをやってごらん』では、べらぼうにでたらめな怪物=飛行奇獣「森の掟」が突如出現、街の人々を「なんだこれはっ!?」と驚かせます。
するとそこに、シュールレアリズム星からやってきた巨大ヒーロー「タローマン」が降臨!
奇獣よりでたらめな動きを見せるタローマンは、街の人々を「なんだこれはっ!?」と困惑させます。
「芸術は爆発だ!」
タローマンがその場の思いつきで放った芸術エネルギーにより、特に悪い事してなかった「森の掟」は一瞬で粉砕され、地球防衛軍の戦闘機も吹っ飛ばされるのでした。なんだこれはっ!?
第4話『自分の歌を歌えばいいんだよ』では、通行人から罵声を浴びせられてた路上ミュージシャンたちの前に、梵鐘奇獣「歓喜」が出現! なんだこれはっ!?
手強い敵に見えた「歓喜」だけど、タローマンのまったくでたらめなドラミング攻撃により、あえなく粉砕!
そう、自由こそ無敵。でたらめでも何でも、自分の歌を歌えばいいんだ!
第7話『一度死んだ人間になれ』では、未来スコープを操る予知奇獣「未来を見た」が街の人々に彼らの(どうせ冴えない)未来の姿を見せ、みんなを無気力にしてしまう! こいつは悪い!
未来を予測できる奇獣だから、地球防衛軍の攻撃もスイスイ避けてしまう!
ところが! タローマンの未来だけは見ても(あまりにでたらめ過ぎて)意味が解らず、さすがの「未来を見た」も為す術なし! なんだこれはっ!?
自分の未来を知ったからってどうだと言うんだ。一度死んだつもりになって自由に生きれば何も怖くない!
負けるかも知れない相手と闘うからこそ楽しいのではないか。ただ間違いないものが間違いない結果を出したところで、退屈であるに過ぎないのだ。そう岡本太郎も言っていた!
第9話『同じことをくりかえすくらいなら、死んでしまえ』では、街に癇癪奇獣「駄々っ子」が出現し、駄々っ子のように暴れ回る!
そこにタローマンが「いつものように」現れ、街の人々は「いつものように」奇獣を倒して!と声援を送るんだけど、そこで急に戦意を失くしたタローマンは、自分で自分の攻撃を受けて倒れてしまう!
タローマンにとっては「予定調和」こそが最大の敵! だから「いつものように」奇獣を倒すルーティンがイヤになっちゃったのでした。
瀕死のタローマンに新たな生命を授けるべく、シュールレアリズム星から心強い仲間=タローマン2号が駆けつけます。ところが!
「芸術は爆発だ!」
「予定調和」以上に「自己模倣」が許せないタローマンは、駄々っ子もろともタローマン2号を粉砕しちゃいます。同じことをくりかえすくらいなら、死んでしまえ!
第12話『真剣に、命がけで遊べ』では、高速奇獣「疾走する眼」が街中を猛スピードで疾走! それをタローマンが必死に追う!
ところが、それは戦闘ではなく、ただの鬼ごっこだった! 遊びとは、真剣に、生命のすべてをぶつける行為なのだ!
第15話『美ってものは、見方次第なんだよ』では、ファッションモデルの写真を見て「こんな綺麗な顔に生まれたかったわ」とため息をつく地球防衛軍のマミ隊員(小笠原皆香)を、タローマンがいきなり拉致し、惑星ゲルダへと連れ込みます。
そこでは小型奇獣「みつめあう愛」たちが、同じように自分の容姿を嘆いているのでした。
「なに言ってんの、みんな同じ顔してるじゃない!」
第20話『好かれるヤツほどダメになる』では、すっかり人々の人気者となったタローマンが、双腕奇獣「赤い手・青い手」にまったく歯が立たず、いびつな姿に変えられちゃう。
そんな不甲斐ない姿を見た人々は、手のひらを返したようにタローマンをバッシングし始めます。なんだこれはっ!?
第23話『孤独こそ人間が強烈に生きるバネだ』では、剛腕奇獣「傷ましき腕」が有名な画家や作家ばかり誘拐し、カプセルに閉じ込めて孤立させちゃう。
ところが、それは皮肉にも彼らにとって理想的な創作環境だった! 芸術とか哲学とか思想なんてものは、みんな孤独が生み出した果実なのだ!
第25話『なま身の自分に賭ける』では、地球侵略を企てる知能奇獣「午後の日」たちが宇宙船内で会議ばかり繰り返し、保身を気にするあまり何も決められないでいる内、タローマンに爆殺されちゃいますw
自分で指一本動かさず、自分の責任において何もしない。組織の人間関係に血道を上げていないで、賭けるなら自分自身に、生身の自分に賭けるしかないんだ!
第30話『芸術は爆発だ』(最終回) ではついに、べらぼう奇獣「太陽の塔」が出現!
もちろんラスボスゆえ、これまでの奇獣たちとはレベルが違う! タローマンが真っ二つに切り裂いた太陽の塔は2つに増殖し、バラバラにすればバラバラにした数だけまた増殖してしまう!
お前のせいで災いが増えちゃったじゃないか!と、これまで護ってもらった恩も忘れてタローマンに罵詈雑言を浴びせる地球人たち。
だけど、そんなことでタローマンは悩まない。行き詰まった時はくよくよせず、さらに大きな悩みを求めて体当たりすればいい。
宇宙に飛び出したタローマンは、渾身の必殺技「芸術は爆発だ」を地球に向けて放ち、全人類もろとも粉々に吹っ飛ばすのでした。
人類全体の運命も、いつかは消える。それで良いのだ。無目的に膨らみ、輝いて、最後に爆発する。
そして平然と人類がこの世から去るとしたら、それがぼくには栄光だと思える。そう岡本太郎も言っていた。(完)
ご存知の方は少ないと思いますが、このテレビ番組は実在します。私はBlu-rayとオフィシャルファンブックを買いました。
放映されたのが1970年代、っていうのだけウソだけど、あとはいっさい改変してません。本当に最終回で地球は滅びます。主役のヒーローの手によってw
「NHKタローマン」で検索すれば詳細はすぐ判るし、いつでも視聴可能かと思います。多くは語りません。とにかく凄い作品です! なんだこれはっ!?
サイコーです!!>キャプチャー画像
サイコーです!!!>TAROMANを紹介するハリソン君の記事
こんな不条理な作品よく許可したなと(笑)
センス最高です。
最終回も最高でした!!!