ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『大奥~誕生』#03~#05

2018-11-27 00:05:14 | 多部未華子









 
2012年の秋シーズンにTBS系列の金曜夜10時枠で放映された「歴史改変SF」ドラマです。(脚本=神山由美子/メイン演出=金子文紀/全10話)

正式タイトルは『大奥~誕生/有功・家光篇』で、二宮和也&柴咲コウ主演『大奥』と堺雅人&菅野美穂主演『大奥~永遠/右衛門佐・綱吉篇』という、2本の映画を繋ぐポジションに位置する作品。

奇しくも、この『大奥』(よしながふみ原作)シリーズにおける共演がきっかけで、多部未華子&窪田正孝(すでに破局?)、そして堺雅人&菅野美穂(結婚!)という、2組のカップルが生まれてしまいました。私は当時、堺さんと多部ちゃんがもしかしたら……って思ったのにw

レビューするにあたって第3話~第5話を選んだのは、多部ちゃんが堺さん相手に初めて濃厚なラブシーンを演じた上に、窪田くんと運命の出逢いを果たしてしまうという、我々タベリストにとって非常に心乱される場面が目白押しの3話だから。

と同時に、多部ちゃんが清純派のイメージを返上し、本格女優としての存在感を世間に知らしめた、これはターニングポイントと言っても過言じゃない、重要な作品だったと思うワケです。

実際、堺さんと多部ちゃんの演技は高く評価され、この年の「ツイッターで盛り上がったドラマ」第5位にランクイン、私が当時やってたブログのアクセス数も驚異的に跳ね上がりました。

同じ役者や似たような企画を使い回すばかりで、いよいよ氷河期に突入した感のある連ドラ業界だけど、ほんの数年前にこんな野心的かつハイクオリティーな番組が製作されてたんですよね!

視聴率はそれほど高くなかったようですが、今こそ再評価して頂きたい作品だし、多部ちゃんと窪田くんの初(そしてたぶん二度と無い)共演作としても要注目です。

舞台は日本の江戸時代だけど、謎の伝染病により男子の数が激減しちゃったパラレルワールドの江戸時代。

徳川の三代将軍・家光も疫病により急死、その事実を隠蔽する為に春日局(麻生祐未)は、家光が町娘を強姦して産ませた娘である千恵(多部未華子)を拉致し、男装させて将軍の小姓に仕立て上げます。

で、千恵に将軍の血を引く男子を産ませる「種馬」として選ばれたのが、公家・万里小路家の三男=有功(ありこと、堺雅人)。正常なドラマ版『大奥』では瀬戸朝香さんが演じた「おまんの方」にあたるキャラクターです。

本作でも、有功は千恵から「おまん」と呼ばれます。(苗字が万里小路だから)有功は千恵から「おまん」と呼ばれるのです。「おまん」と。

僕らの多部ちゃんが堺さんに向かって、あの澄んだ声で「おまん」を連呼するワケです。おい、そこのおまん!って。おまん、この野郎!って。

否応なく大奥に連れ込まれ男装させられ、ただ世継ぎを産む為に飼われてるような境遇の千恵は、自らの運命を呪い、家来を使って町娘たちの髪の毛を切らせ、コレクションするという荒みよう。

春日局はじめ周囲の人間はそれを黙認してるんだけど、有功は放っておけずに苦言を呈します。

「上様。人は皆、己にはどうにも出来ぬ定めを受け入れ、生きているのでございます。ご自分だけが辛い想いをしているとお思いなら、それは大間違いや!」

これは我々視聴者の身にも染みて来る台詞です。思えば有功自身も、千恵と同じように否応なく大奥に連れ込まれ、世継ぎを作る為に飼われてる存在なんですよね。だからこそ言えた台詞なんでしょう。

唯一人、真っ直ぐに、真正面から自分を諫めてくれる有功に、千恵は惹かれて行き、有功もまた、想像以上に過酷な千恵の生い立ちを知り、考えを改めます。

「なんで気づかんかったのか……私が救えるのは、たったお一人やったんや。私が救わなければならないお方は、ずっと目の前におられたんや。目の前で、こないに、私にすがって、もがき苦しんでる方が、たった一人おられるやないか!」

第3話のラスト、有功が女性用の着物を千恵に、何も言わずに羽織らせる場面には泣かされます。毎回の事だけど、絶妙なタイミングでMISIAさんの主題歌『DEEPNESS』が流れるんですよね。

そして2人は結ばれ、心から愛し合うようになります。第4話でキスシーン、そして第5話ではついに多部ちゃん初のベッドシーン(布団だけど)が披露されました。

セックスそのものは描かれないけど、熱いディープキスだけで我々タベリストは全員卒倒したもんですw

もしかしたら処女なんじゃないか、いや処女に違いない、処女であって欲しい!っていう切なる願いも虚しく、あの清純派の多部ちゃんが慣れた様子でレロレロ、チュバチュバですからねw おまん、この野郎ーっ!!

しかも、画像をよくご覧下さい。布団でイチャイチャしながら多部ちゃんが、さりげなく堺さんの乳首を小指で弄んでいる!w 処女どころか、僕らの多部ちゃんは何げに、なかなかのチクビシャンだったワケです。

そんなワケで、多部ちゃんは夜な夜な堺さんの乳首をいじりながらセックスを繰り返すんだけど、1年経っても妊娠しない。痺れを切らせた春日局が町に繰り出し、新たなる種馬として連れて来たのが、窪田正孝くん扮する「捨蔵」なんですね。

ただでさえ男子が激減した江戸で、あれだけの美青年ですから、捨蔵はモテモテのプレイボーイ。そういう男に眼をつける春日局って女も、相当なチクビシャンに違いありません。

そんな捨蔵のモテモテぶりを描いたシーンで、まだブレイク前の吉田 羊さんが遊女の1人として登場、窪田くんとレロレロ、チュバチュバされてます。

徳川家存続の為なら手段を選ばず、鬼にも悪魔にもなれる春日局は、「種馬交代」を有功自身の口から千恵に告げさせます。

「春日に逆らえば、この身が危ないと思うたか? 死ね! 死んでしまえっ! こんなウツケは死ねばよい!!」

動揺し、罵詈雑言を浴びせて来る千恵を抱きしめ、有功は静かにこう言いました。

「殺して下さい…… 殺して下さい」

ここで再びMISIAさんの主題歌が流れ、涙腺大決壊ですよw 演じてるのが堺さんと多部ちゃんだからこそ泣けるんだと思います。

「だめ……そんな事はしてはやらぬぞ、嘘じゃ有功! 死んではイヤ! こんな非道い男が、有功が好き!!」

いずれの台詞も、凡庸な男優と女優が演じたら安っぽいメロドラマとしか感じないかも知れません。役者の力ってヤツをあらためて認識させられるドラマです。

こうして、またもや否応なく、新たな種馬を迎え入れる羽目になった千恵。そんな彼女を世間知らずなお姫様と思い込み、プレイボーイ気取りで接しようとした捨蔵は、怒りの未華子キックを浴びて5メートルほど吹っ飛ぶ事になります。

「無礼者! 頭が高いっ!!」

それはまるで、後のプライベートにおける多部ちゃんと窪田くんの関係を予言してるかの様ですw

「勘違いするでない、このウツケ者が! 良いか? お前がわしを抱くのではない。わしがお前を抱くのだ!」

清純派と言われながら、かようにサディスティックな芝居がこれほどハマる女優さんって、他に見当たりませんよね。そんな多部ちゃんにメロメロになってる我々タベリストは全員、言うまでもなくド変態ですw

こうして『大奥~誕生』は、千恵と有功のロマンスをスピーディーに展開させながら、過酷な運命を受け入れ、どんどん強くなって行く2人の内面もしっかりと描いて見せます。

千恵と捨蔵の初夜には人知れず嫉妬に狂った有功も、徳川家の安泰=戦のない世の中を保つ為に世継ぎが必要であることを理解し、距離を置いて千恵を見守るようになります。

そんな有功に支えられ、春日局の死後、千恵は自らが「将軍・家光」となることを宣言し、いよいよ公式に男女逆転の江戸幕府が「誕生」するワケです。

このドラマを「2本の映画を繋ぐポジション」って書きましたが、正確には1作目の『大奥』に至るまでの前史であり、多部ちゃんは『スター・ウォーズ』プリクエルにおけるダース・ベイダーみたいな存在ですねw

けど、割とハートウォーミングな展開だった映画版より、このドラマ版の方がより残酷で、だからこそ主役カップルの絆がより強く感じられて、深い感動を味わうことが出来ました。

柴咲コウは男らしく、菅野美穂は女らしく、その両面を兼ね備えたのが多部未華子という女優であり、堺雅人という男優なんですよね。

その相乗効果というか、化学反応が素晴らしい形に結実したドラマとして、もっともっと高く評価されるべき作品だと私は思います。

春日局を演じた麻生祐未さん、その息子で家光の影武者=稲葉正勝を演じた平山浩行さん、有功の弟子=玉栄(おたま)を演じた田中 聖くん、ほか尾美としのりさん、内藤 剛さん、段田安則さん、南沢奈央さん等、充実のキャスト陣でした。芥川賞作家のピース又吉さんも何げに出てましたw

再放送の予定は無いんでしょうか? 未見の方には是非ともオススメだし、特に多部ちゃんと堺さんに興味がおありの方は必見の作品です。
 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『デカワンコ』#03―2 | トップ | 『山田太郎ものがたり』#06―1 »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
>gonbeさん (ハリソン君)
2018-11-28 00:12:19
それでもタベリストを続けていくのか?って、試されてるような感覚がありましたよね。多部未華子さんはプロの女優であり、大人の女性なんだという当たり前の現実を受け入れる試練。このドラマを経て我々はちょっと成長しましたw
返信する
Unknown (gonbe5515)
2018-11-27 13:35:08
切ない思いで見ていた頃を思い出します。
私も堺さんと多部未華子さんがくっつくものだと思っていた一人です。多部未華子さんはどなたと一緒になられるのでしょうか。。。

床の間を背負って立膝で座っているとか、窪田くんへのキックとか、子供と遊んでいるときに崩れ落ちる姿とか、見所の多いドラマでした。

とはいえ、タベリストにとっては不慣れなシーンがあるため、もう一度見るのには、少しの勇気がいります。すくなくとも私はそうです。

堺さんと結婚してくれていたら、そんなこともなかったろうになあと、思ったりします。
返信する

コメントを投稿