2014年の夏シーズン、日本テレビ系列の水曜夜10時「水曜ドラマ」枠で全10話が放映された科学捜査ドラマ。
今野敏さんによる警察小説『ST/警視庁科学特捜班』シリーズを原作とし、2013年に単発スペシャルとしてドラマ化した作品の連ドラ化。2015年には続編となる劇場版も公開されてます。
巷に溢れ返って見分けもつかない謎解きドラマ群の中にあって、本作は現代ならではの切り口で刑事たちの個性をユニークに描いており、また実力派を揃えたキャスト陣の魅力も相まって面白かったです。
法医学のスペシャリストだけど対人恐怖症の捜査官・赤城(藤原竜也)と、責任感は強いけど気が弱いエリート警部・百合根(岡田将生)の頼りないコンビが難事件を解決する、いちおう科学捜査ドラマではあります。
「いちおう」って書いたのは、科学捜査を謳いながらプロファイリング物の色合いが濃いのと、社会人としては問題だらけな刑事たちの成長を描くドラマになってるから。私はそこが気に入りました。
科学捜査チームを変人の集まりみたいに描くのが昨今の流行らしく、それは現実の科学捜査に携わる皆さんに失礼じゃないかと思うんだけどw、本作に登場する「ST」チームの面々は全員、変人を通り越してほとんど「病人」ですw
志田未来さんは優秀なプロファイラーだけど秩序恐怖症だし、芦名 星さんは聴覚がずば抜けてるけど閉所恐怖症だし、窪田正孝くんは武術の達人だけど先端恐怖症で自閉症だし、三宅弘蔵さんは僧侶と兼業だしw
当時プライベートで多部未華子さんのカレシだったらしい窪田くんには、さらに「警察犬並みの嗅覚」まであってw、『デカワンコ』と同じ日テレの刑事ドラマだし、こりゃ偶然とは思えない設定ですよね。(後に窪田くんは多部ちゃんに捨てられ、『東京スカーレット』の水川あさみさんと結婚する事になります)
ほか、STの監査役を務める理事官に瀬戸朝香、岡田くんの同僚である捜査一課の刑事に田中哲司、柴本 幸、林 遣都、そして元参事官でSTの設立者だけど、今は転職してカフェのマスターになってる渡部篤郎、といったレギュラーキャスト陣。
岡田くん扮する百合根は捜査一課のキャリア警部なんだけど、不本意ながらSTの「キャップ」として問題だらけのメンバーを束ねて行かなきゃいけない立場。
特に藤原くん扮する赤城は天才なんだけど(だからこそ?)他者とのコミュニケーションがすこぶる苦手で、相手の気持ちを思いやる事が出来ない。そういう先天的な病気、と言って差し支えないかと思います。
だからトラブルを起こし易く、いつも誰かがそばについてフォローし、人との接し方を教えてあげなきゃいけない。初回でも赤城が人の気持ちを理解出来ないが為に、被害者があやうく殺人を犯しそうになり、怒った百合根は赤城の頬を叩きます。たぶん、そこまで親身になって赤城と向き合おうとする人間は、これまでいなかった。
それで赤城は「慰謝料を請求するからな」とか言って強がるんだけど、そのあと独りになってから、自分がいつも現実逃避の道具にしてたユルキャラの着ぐるみを、こっそり処分するんですよね。
たぶん赤城は、初めて「自分は変わらなくちゃいけない」って思ったんでしょう。それを観て私はちょっと、ウルっと来ちゃいましたw
私にも赤城と似たような性質があるもんで、悪気はないのに人を傷つけたり、それで自分も落ち込んだりするような事がままあるんですよね。だから赤城のツラい気持ち、引きこもりたくなる気持ちがよく解ります。私はちっとも天才じゃないんだけど。
単に天才の変人刑事が突っ立って謎解きするだけのドラマなら、もう見飽きてますから1話でリタイアした所だけど、本作は違ってました。
藤原くんはこの手の曲者をやらせると天下一品だし、そんな彼を文句タラタラ言いながら放っておけない岡田くんもハマり役です。アニメキャラっぽい志田未来さんには萌えるし、芦名星さんも柴本幸さんも瀬戸朝香さんも、好きですw
屈強な相手には全く歯が立たない主役コンビのヘタレぶりも可愛いし、そういう場面になると急に活躍し始める窪田くんがまたカッコいいです。多部ちゃんが気の迷いで惚れたのも、まぁ仕方がないw
メインはあくまで謎解きゲームなのが残念だけど、同じ謎解きでも見せ方に工夫を凝らせばちゃんと面白くなるっていう、これは良いお手本になる作品かと思います。
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