1985年の春から秋にかけて全25話が放映された、日本テレビ系列の刑事ドラマです。制作は『大捜査線』のユニオン映画。
放映枠は日曜夜9時で、本作の後番組が東宝制作の『誇りの報酬』、さらにその後番組がセントラルアーツ制作の『あぶない刑事』って事になります。
それらの先陣を切った番組にも関わらず、内容はドキュメントタッチですこぶる地味。その上、刑事物はまだフィルム作品が主流だった時代に安っぽいビデオ撮影とあって、当時の私は完全スルーしてました。
どれくらい地味かと言うと、例えば第1話で扱う事件はイタズラ電話w 最終的には拳銃殺人に発展しては行くものの、アクションシーンはほぼ皆無で、刑事による説得や説教で犯人が自白する展開がほとんど。
それには恐らく、テレビ朝日が『西部警察』シリーズの後番組として日曜夜8時に放映し、年輩層から支持を得た『私鉄沿線97分署』の影響があったように推察されます。『~97分署』の視聴者をそのまま9時台の『刑事物語'85』に引っ張り込もうという戦略だったのかも? あるいは『七人の刑事』あたりのレトロな刑事ドラマを再現する意図があったとか?
いずれにせよ、当時は狂犬イメージで眼つきもヤバかった渡瀬恒彦さんが主役、すなわち暗いイメージで、田口 計さんのナレーションで話が進んでいく作劇もやはり古臭く、ほとんど話題にならず消えてったような印象だし、実際そうだったんでしょう。
それが今あらためて観ると、かえって新鮮なんですよね。当時はトレンドだった軽いノリやド派手なアクションが今観ると古臭いのとは対照的に、時代に左右されない普遍的な面白さがある。
それでいて身近な社会問題を積極的に取り入れて、あの時代ならではの内容になってるのも高ポイント。第1話ではゲームセンターに入り浸る「新人類」のオタク少年が事件の鍵を握ってたりします。
そしてキャストが超豪華。警視庁・山手警察署の捜査課メンバーに渡瀬恒彦、川谷拓三、柄本 明、萩原流行、船越英一郎、堤 大二郎、佐野浅夫、課長に中条静夫、渡瀬さんの婚約者に萬田久子、堤さんの恋人に安田成美といったレギュラー陣に加え、初回ゲストが坂上忍、片桐夕子、苅谷俊介etc…(皆さん、お若い!)
レギュラーの半数が故人となられてる点に時代の流れを痛感しますが、「こんな俳優さん、いたっけ?」っていう人が1人もいないのは凄いことだと思います。
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