ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『キイナ/不可能犯罪捜査官』2009

2019-06-14 00:00:06 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2009年の冬シーズン、日本テレビ系列の水曜夜10時枠で全9話が放映された、日本テレビ&トータルメディアコミュニケーションの制作による謎解き刑事ドラマ。

超常現象が絡む不可思議な事件のみを担当する、警視庁捜査一課・強行犯係の「ベッパン」こと特別班に所属する刑事=春瀬キイナ(菅野美穂)の活躍が描かれます。

キイナ1人だけの特別班に不本意ながら配属される新人キャリアに平岡祐太、キイナの良き理解者である情報管理担当婦警に小池栄子、クールな係長に沢村一樹、温厚な管理官に草刈正雄、主任に金田明夫、そしてキイナの元カレである科捜研技官に塚地武雅w、といったレギュラーキャスト陣。

あからさまに『ガリレオ』と『相棒』を足して二で割ったような企画で、しかも主人公キイナは「瞬間記憶能力」の持ち主という設定。つまり刑事や探偵が特殊能力を駆使して事件の謎を解く、当時流行りだしたパターンもさっそく取り入れた、なんとも欲張りな番組。

主人公がその能力を駆使する場面ではバックに文字や数式を踊らせるCGを合成し、それを特撮ヒーローの変身シーンみたいに毎回のお約束にするパターンもこの時期に定着して来ました。わざとらしい決め台詞や決めポーズが入る刑事ドラマもこれからどんどん増えていきます。

そんなよくあるフォーマットを忠実になぞらえた番組ではあるけど、主人公を極端な変人には設定せず、特殊能力を除けばお菓子が大好きなごく普通のアラサー女子として描いてる点に好感が持てました。それを菅野美穂さんがとてもチャーミングに演じておられます。

ただし、キイナの相棒役=平岡祐太くんの演技があまりに凡庸で、菅野さんとのバランスが全然とれてないのが残念。ドラマを引っ張るコンビの掛け合いが面白くないんですよね。

それより元カレとキイナのよそよそしくも温かい関係が絶品で、塚地さんを相棒役にした方がよっぽど良かったんじゃないかと私は思うんだけど、女性視聴者を食いつかせる保険として若いイケメンを選んじゃうんですよね、今のテレビ屋さんたちは。平岡くんにせめて瑛太くんぐらいの味と実力があれば、このドラマはもっと面白くなってたと私は思います。

なのに、そんな平岡くんを主役にしたスピンオフドラマ『タケル/新人捜査官ファイル』も同時期にネット配信されてましたからワケが分かりませんw

『キイナ』で描かれる超常現象ネタは同じ日テレ系で菅野さんが出てたバラエティー番組『特命リサーチ200X』や『ザ!世界仰天ニュース』で取り上げられた実話を基にしており、『タケル』はその元ネタを紹介する内容だったそうです。

キイナの「瞬間記憶能力」も恐らくその内の1つで、そう言えば驚異的なスピードで本を読破しちゃう速読名人の存在が当時話題になってた記憶があります。本ぐらいゆっくり読みなはれって私は思うけどw、捜査活動には確かに有効な能力ですよね。

ちなみに第1話で描かれたのは、自殺したとされるドナーの心臓を移植された患者が、実は殺されてたドナーの記憶までも受け継ぎ、その証言からキイナが犯人を突き止めていくストーリーでした。これも実話が基になってるんだから驚きです。

そんな世界仰天ニュースをドラマを通して見せてくれるワケで、まぁ「それならバラエティー番組の再現ドラマでええやん」って声もありそうだけどw、ありきたりな謎解きだけで終わらせなかった創り手たちの工夫、その貪欲な制作姿勢は素晴らしいと思います。

いろいろ文句も書きましたけど、このあと爆発的に量産されていく謎解き刑事ドラマ群の中では、見所ある作品の1つに挙げられるんじゃないでしょうか。
 

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