2018年新春に公開された『マジンガーZ』完全新作による劇場版アニメです。監督=志水淳児、脚本=小沢高広、音楽=渡辺俊幸、オープニング主題歌=水木一郎! エンディング主題歌=吉川晃司!
正直、それほど期待はしてませんでした。TVシリーズにおけるリブート作『真マジンガー/衝撃!Z編』が完全に失敗作だったもんで、昨今のアニメ製作者さんたちを私は信用してませんでした。
が、実際観てみたら驚きました。面白かった。めちゃくちゃ面白かった! 良かった! 感動した! 創り手たちのハンパない熱量、オリジナルへの愛とリスペクトがダイレクトに伝わって来ました。これは傑作です!
いや本当に、見事な出来映えだったと思います。旧作アニメの世界観とテイストをそのまま残しつつ、ガンダム以後の常識となったリアリズムも違和感なく取り入れ、現代ならではの『マジンガーZ』を見事に成立させている!
何より嬉しかったのは、思い入れの深いキャラクターたちが皆、ちゃんと魅力的に描かれてること。『真マジンガー~』はそこが全く駄目でしたから。
今回は旧作アニメ版の10年後を描くって事で、兜甲児(声=森久保祥太郎)や弓さやか(声=茅野愛衣)があの頃より大人になって、関係もそれなりに進みつつ、だけど根っこの部分は変わってなくて、確かにこれは10年後の彼らだと納得出来る人間味がありました。
自分で自分に驚いたのは、甲児やさやか以上に、コメディーリリーフのボス(声=高木渉)が登場した時に涙が出ちゃったこと。子供の頃はむしろ邪魔に思ってたキャラクターなのに、今は誰より懐かしい存在になってました。
ボスと、子分のヌケ&ムチャ、この3人だけが昔と全然変わってないからかも知れません。経営するラーメン店も昭和テイストのボロ屋で、時代に取り残されたような姿に哀愁があるんですよね。だから、水を得た魚のようにボスボロットを動かす姿にも感動しちゃう。
もちろん一番泣かされたのは、さんざん焦らした上でのマジンガーZ出撃シーンと、そこで流れる名曲「Zのテーマ」の新アレンジバージョン。映像も音もめちゃくちゃカッコいい!
兜甲児は10年前の激闘が終わってからマジンガーZのパイロットを引退し、祖父や父と同じ科学者の道を歩んでたんだけど、悪の権化・Dr.ヘルが謎の復活を遂げ、今も現役で戦ってるグレートマジンガーとそのパイロット・剣鉄也(声=関俊彦)が囚われの身となり、彼を救うべく遂に立ち上がるという流れ。
Dr.ヘルを倒さないと人類が滅亡しちゃう危機でもあるんだけど、そこに「グレートマジンガー&剣鉄也を助ける」という使命を付け加えた作劇に、我々マジンガー世代は燃えずにいられないワケです。何しろかつてマジンガーZが悲惨な敗北を喫した時、神のように現れた救世主がグレートマジンガーですから。
兜甲児がそれまでマジンガーZに乗らない理由や、Dr.ヘルが(今回は世界征服ではなく)人類を滅亡させたがる理由にもちゃんと説得力があり、大人の観賞にも耐えうるドラマと、今の子供たちも楽しめるエンターテイメントが見事に両立してます。
そして最新鋭のアニメ技術で創造された、スピード感溢れるロボット・バトル! こんなマジンガーZが観たかった!っていうファンの想いを十二分に叶えてくれてます。ロケットパンチや光子力ビーム等、ちゃんと武器の名前もいちいち叫んでくれます!w
兜甲児の声はオリジナルの石丸博也さんでないと成立しないんじゃないか?(真マジンガーの声優さんは全然イメージが違ってた)ってことを私は心配してたんだけど、それも杞憂でした。今回の森久保祥太郎さんは大人になった甲児を見事に表現されてて違和感無かったです。(石丸さんは軍の司令官役でゲスト出演されてます)
これだけ愛をこめて創ってくれたら、多少のツッコミ所はあっても文句は言えません。貶そうと思えばいくらでも貶せるでしょうけど、せっかく観るなら素直に楽しんだ方が絶対トクです。
1つだけクレームをつけるなら、劇場パンフレットが初日で売り切れてて買えなかったこと。全国的に売り切れなんだそうです。何をやってんだ、東映さん!?(オークションで倍以上の値段で買いましたよ。アホかっ!)
あと、ひび割れしてるみたいなマジンガーの装甲デザインは正直残念なんだけど、オリジナルのシルエットのまま自由自在に動かすには、ああしないと物理的に成立しないワケですね。ロボットをCGで破綻なく動かす為にも、そこのリアリティーは無視出来なかったんでしょう。
だけど、大画面で実際に動き回るマジンガーZやグレートマジンガーを観たら、そんな細かい部分は全く気になりませんでした。なにせ動きが速いですからw
音楽も格好良かった! 担当された渡辺俊幸さんは、オリジナル版の渡辺宙明さんのご子息です。そして水木一郎さんの新録音によるオープニング主題歌、マジンガー世代ど真ん中の吉川晃司さん(実際に大ファンだったとか)によるエンディング主題歌にもシビれました。
そんなワケで、私は大満足です。これはホントに嬉しい誤算でした。やっぱジャパニメーションは凄い! 世界に誇れるコンテンツなんだってことを、今更ながら思い知りました。
こうなると、また続きが観たくなります。グレンダイザーやゲッターロボ、鋼鉄ジーグ等の永井豪(ダイナミックプロ)作品も世界中で人気がありますから、それぞれが劇場版で復活し、スーパーロボット版アベンジャーズで集結する「東映まんがまつり」リブートも決して夢じゃない筈。是非やって欲しい!
本当に幸せな時間が過ごせました。やっぱり、男はいくつになってもスーパーヒーローが大好きなんです。卒業する必要などありません。
かつて『マジンガー』シリーズに夢中になった方は絶対に必見だし、そうでない方でも充分に楽しめる作品です。大画面、大音響で味わうことをオススメします!
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