マイ・フェイバリット・モデルガンNo.2は、コクサイ社のS&W M10 ミリタリー&ポリス.38スペシャル(略してミリポリ)です。
ミリポリはなぜか日本の刑事ドラマじゃほとんど使われておらず、私の知る限りだと『太陽にほえろ!』でボギー刑事(世良公則)が短期間だけ3インチを、マミー刑事(長谷直美)がOPタイトルバックで一瞬だけ2インチOLDタイプを、『刑事貴族』シリーズで武田刑事(地井武男)が3インチを、そして映画『さらばあぶない刑事』でユージ(柴田恭兵)が2インチNEWタイプを使ってたくらい。
だから前回のCOLTローマンMk-IIIと違って、私のミリポリ好きは刑事ドラマよりも映画発信。どの映画で誰が使ったのを観て影響されたのか、それはおいおい書かせて頂きます。
上がABS製の2インチOLDタイプ(スクエアバット)、下が同じくABS製のNEWタイプ(ラウンドバット)。
これもやはり、私はOLDタイプの方が圧倒的に好きです。初めて見た時は「なんてバランスの悪い!」「古臭い!」「ダサい!」って思ったもんだけど、マニアになるにつれそれが「味わい深い!」に変わって来るんですよね。
このABSモデルは、恐らくコクサイが最後に発売したミリポリかと思われます。(現在コクサイ社は店じまいして存在しません)
最初のABSモデルは'80年代初頭に発売され、それからメタル風にメッキしたモデルやシルバーモデル、ヘビーウェイトモデル、金属モデルが一通り発売され、2010年代まで来て「一周まわって」メッキも塗装もされない黒い地肌のままの「スタンダードモデル」に落ち着いたワケです。
私自身、メタル風メッキやヘビーウェイトにそのたび魅了され購入して来たけど、結局は一周まわって「やっぱモデルガンは黒くてピカピカ光ってるのがいい!(だって刑事ドラマに出てくる拳銃はいつも黒くてピカピカ光ってたから!)」ってことで、もう何挺目のミリポリになるか分かんないのにまた買っちゃいましたw
ただし、このラスト・ABSミリポリには、かつてのABSモデルとは違う(マニアにとっては大事な)特徴が3つあります。
まず1つはカートリッジ(弾丸)がリアルサイズに変更されたこと。昔のは発火システムの都合上、カートリッジがかなり短かったんだけど、そのシステムが改良されて実物に近い長さになりました。
2つ目はこれも発火システムが変わったことにより、以前は塞がれてたシリンダー(弾倉)前面の穴が開いて、弾頭がよく見えるようになったこと。
そして3つ目は、シリンダーがそれまで(先に発売されてたM19等の)357マグナムに合わせたサイズだったのが、本来あるべき38スペシャルサイズに変更されたこと。マニア以外の方には何のことやらサッパリ分からないと思いますがw、とにかくリアルになったということです。
こちらNEWタイプの2インチはもっと前('90年代)に発売されたモデルなので、シリンダーは357マグナムサイズのまま。カートリッジも357のを入れてます。前面の穴が完全に開いてるのは、シリンダーだけエアガン(同じコクサイ製のM19)のと付け換えたから。
この2インチOLDタイプはコクサイのヘビーウェイト・モデル。MGCのSRHシリーズとよく似た仕様だけど、こちらの方がツヤがあって本物っぽいです。
最初に発売されたのは短いカートリッジのままだったけど、後にリアルサイズに変更されて再発売、私は両方持ってますw 残念ながらシリンダーは357サイズのままです。
木製グリップは本場S&W社純正の……っていう触れ込みでMGCショップで安売りされてた代物。それがホントかどうか確かめる術が無いんだけどw、コクサイ純正の木グリより確かに握りやすい!
コクサイはこのあと金属モデルや、ヘビーウェイト材をさらに研磨してツヤを出した「スーパー・ポリフィニッシュ」モデル、さらに重量を増した「メガ・ヘビーウェイト」モデル等のバリエーションを発売したけど、銃そのものは'80年代にリリースした商品のリバイバルばかりで新鮮味が無く、そのせいか数年前に店じまいしちゃいました。
こちらはコクサイの金属製ミリポリ。買ってから15年以上は経ってると思うけど、あんまりいじらないので綺麗なまんまです。なにせ金属だからリアルさでは一番だけど、私の華奢な手には重すぎるんですよね。
グリップは国内メーカー(マルベリーフィールド社だったかな?)から発売されてた木グリで、高級感があるのは良いけどコクサイのより更に太くて握りにくい!w
店じまいしちゃったコクサイの製品を引き継いで販売するメーカーが今のところ無く、この金属モデルガンのシリーズには現在かなりのプレミアがついており、オークションに出せば少なくとも5万円以上の値はつく筈だけど、売りませんw
こちらはコクサイ製ではなく、ハートフォード社が今は無きCMC製M19の金型を引き継いでミリポリに改造し、10年ほど前にリリースしたヘビーウェイト・モデル。
かつて「ヴィクトリーモデル」と呼ばれた古い時代のミリポリを再現してて、ずんぐりむっくり体型でコクサイ製より更に古臭くて、ダサいですw けど、マニアになるとそこにロマンを感じちゃう。
あんなに古臭くてダサいイメージだったコクサイのOLDタイプも、ヴィクトリータイプと並べたら洗練されてるように見えるから不思議ですw
具体的にはサイドプレートを留めるネジの本数やハンマー(撃鉄)の形状、アクション・ストロークの長さなどに違いがあり、比べることによってS&Wリボルバーの進化が学べます。
たぶんスクエアバットの2インチはヴィクトリータイプしか造られておらず、ハートフォード製の方がリアルなんですよね。シリンダーもちゃんと38スペシャルサイズになってるし。
我らがハリソン・フォードが名作『刑事ジョン・ブック/目撃者』('85) で愛用した拳銃は、このヴィクトリータイプの2インチに後期タイプのグリップ(コクサイのと同じ)を付けたミリポリでした。
ハートフォード社はこのモデルガンを1~2年前に「ゴルゴ13が愛用したリボルバー」として再発売してます。
これはコクサイのABS製ミリポリ3インチ。シリンダーが357サイズなので、M10じゃなくM13(FBIスペシャル)と呼びたくなるけど、バレルの刻印は「38 S.&W. SPECIAL」なんでやっぱりM10なのです。
この2挺はコクサイのABS製シルバーモデル。2インチがミリポリのステンレスバージョン=M64で、3インチが357マグナムのM65 FBIスペシャル。シリンダーのサイズは同じなんだけど、刻印がそれぞれ38SPECIALと357MAGNUMとに別れてます。
いずれもグリップはラバー製に換えてあります。シルバーモデルには黒いグリップがよく似合う!
この2挺は、コクサイが'80年代にリリースした最初期のABSモデルを'90年代にリバイバル発売したもの。
ボディーが半つや消しで塗装され、以前はケースハードゥン風の仕上げだったトリガー&ハンマーが真っ黒にメッキされてます。たぶん製作コストを抑える為の仕様変更で、バブルが崩壊する前と後の「時代」の変化を象徴してますよね。
'80年代にコクサイがリリースした、メタルフィニッシュの4インチABSモデル。いま私が所有する中で最も古いミリポリ、ただし二代目です。
最初に買ったやつは自主映画の撮影で酷使しまくってメッキは禿げ禿げ、最終的にはフレームが割れて殉職しちゃいました。
それが私の初ミリポリで、買ったきっかけは日本映画『海燕ジョーの奇跡』で時任三郎さんが使ってるのを見て「カッコいい!」と思ったから。入口は2インチじゃなく4インチだったワケです。
画像のは2000年代になってトイガンのイベント会場で購入した中古品です。未発火でほぼ新品と変わらず、これも今オークションに出せば良い値がつきそうだけど、売りませんw
これはコクサイの初代ヘビーウェイト4インチ。ABS製と比べるとフレームがややスマートになっており、実銃のスタイルに近づいてます。
グリップはつい最近リリースされたタナカ・ワークス製のミリポリに付いてたもの。コクサイ純正のよりスリムで握り易いのです。
まだあるのかよ!? って、いま自分でも呆れてますw これは'90年代にリバイバル発売されたコクサイ製 M65 ABSモデルのメッキを落とし、黒鉄スプレーで塗装してM13に無理やり仕立てたもの。映画『デビル』でハリソン・フォードが使ったヘビーバレルのミリポリを再現したかったのです。
エッジの塗装が禿げて、うまい具合に使い込んだ感じが出ており、ド素人がカスタムしたモデルガンとしては上出来じゃないかと自画自賛してます。撮影で酷使しまくった初代ミリポリに付けてた、ボロボロの木グリ(コクサイ純正)がまたイイ味を出してる!
そして真打ち。タナカ・ワークス社からつい最近リリースされたミリポリ=S&W M10・ヘビーウェイト4インチのモデルガン!
つや消し塗装なのが唯一残念だけど、スタイルのリアルさ&作動の確実さ共にパーフェクトで、これぞまさにミリポリの決定版! 文句なし!
……なんだけど、いじって楽しいのは不思議とコクサイのミリポリなんですよねw 長年の愛着ってものがあるし、古い製品ほど手作りの温かみを感じるというか……
グリップはネットオークションで入手したS&W純正(という触れ込みの)木グリ。これまで手にしたどのグリップよりもスリムで、実に握りやすい! さっきのM13もどきに付けてるコクサイ純正のと比べると、そのスリムさがよく判ります。コクサイのがまた太すぎるんですよねw
最後にまた珍品をご紹介。コクサイ製のABSモデルガン、S&W M15 コンバット・マスターピース2インチ&4インチ! 実際には発売されてない代物です。
これはコクサイのM19コンバットマグナムをベースに改造したモデルガンで、カスタム業者の第一人者=旭工房さんに格安で製作して頂いたもの。映像業界で働いた時期のコネクションあればこそです。
これを持ってるお陰で、数年前にハートフォード社がリリースしたマスターピースは買わずに済みました。が、いずれ発売されるであろうタナカ・ワークス社のマスターピースは、たぶん買わずにいられませんw その暁には、このコクサイ版と併せて詳しくご紹介したいと思ってます。
ぼくも昔はラウンドグリップ&単銃身=ダサいと思っていましたが、もちろん今は格好良く見えます。
カートが短い時代の製品しか知りませんが、素通しに近いシリンダーになったのですね。昔のはバレル側から覗くと残念な眺めで、これなら良いと思います。カートも長くスピードローダーに入れたり、側に置いても格好良いです。ダミーカートを買って一緒に飾ったりしましたw。
若い頃は発火させてナンボでしたが、実物大モデルを手元に置けるのがモデルガンですから、発火機構がなくても良いと思います。
実銃&モデルガンメーカーの歴史を紐解くようで実に興味深いです。
若い頃は火薬で撃ちますよね。自主映画の撮影では良い子はマネしちゃいけない撃ち方をさんざんしてましたw コクサイのリボルバーはバレル内のインサートを引っこ抜けることを発見したりw、それもこれも楽しい思い出です。
僕もスクエアバットの2インチはイマイチでしたが、「刑事ジョン・ブック」を観てから、カッコいいと感じるようになりました!!
最後のダンディー中尾セット!!
素晴らしいですね。