シンコ役の関根恵子(高橋惠子)さんは映画出演でますます忙しく、2年目から『太陽にほえろ!』における出番が激減し、OPタイトルでは毎回クレジットされながら、実質は月に1回出るか出ないかの割合で、ほとんどセミレギュラーキャストみたいになって行きました。
そんな紅一点の不在を補うべく器用されたのが、当時20歳の青木英美さん。七曲署のマスコットガール(庶務係)第1号=永井久美としてジーパン(松田優作)と一緒に登場しました。
とても明るくアグレッシブなキャラで、捜査に口を出し、時にはボス(石原裕次郎)の代わりに無線を操作するなど大活躍。
コワモテの刑事たちに対しても基本タメ口で、ミニスカートの脚線美を下から覗かれても「せめて眼を楽しませてあげようと思って」なんて涼しい顔で言っちゃう人。
シンコは生真面目だし、ジーパンもナイーブな性格で、やんちゃなマカロニ(萩原健一)が抜けた分、もし久美ちゃんがいなかったら番組の空気が重くなってたかも知れません。
1年経ってマスコットガールは浅野ゆう子さんにバトンタッチされますが、ほとんど同じようなキャラを演じたにも関わらず、なぜか浅野さんは女性視聴者たちから猛反発を食らい、僅か1クールで降板する羽目になりました。
当時の浅野さんはまだ弱冠14歳で、単純に若すぎたせいもあるでしょうが、それだけじゃない何か、女性にしか解らない大きな違いが、青木さんと浅野さんにはあるんだろうと思います。
高橋惠子さんや、後の『大追跡』で共演した長谷直美さんも、青木英美さんのことを「とても綺麗でカッコいい女性」と評されてるんだけど、我々男性から見るとビミョーだったりするんですよねw
ファッションモデルとしても活躍されただけあってスタイルの良さにはケチのつけようが無いけど、少なくとも当時ガキンチョだった私から見た青木さんのルックスは、どちらかと言えばブサイクのカテゴリーに入ってました。
なのに、これはシンコにも言える事だけど、大人になった今観るとめっぽう魅力的なんですね。いわゆるアイドルとは違った可愛らしさがある。
そこが当時の典型的アイドルだった浅野ゆう子さんとの大きな違い。やっぱりフェロモンとか、経験値が醸し出す女性の魅力が、子供の感性じゃ判らなかったって事かも知れません。
歴代マスコットガールの中で最もキャラ立ちし、多くの視聴者に愛された久美ちゃん。ジーパン編を支えた立役者の一人と言えましょう。
青木英美さんを知ったのは、太陽にほえろ!VHSシリーズが発売されてからです。1980年代にこのルックスは古く見えたかもしれませんが、アムラー登場直前の時期では、むしろ最新の人のように見えたと記憶しています。また、基本的に一係の人に友達言葉で話すので、余計にギャルのはしりのように見えました。初期のジーパン刑事はまじめなので、マカロニ刑事の性格の一部を移したのかもしれませんね。
ただ、1974年になってからは当時はハマトラニュートラで最新だったかもしれませんが、おばさんっぽい髪型になり、残念に思います。テキサス刑事とはあまり相性が良いキャラクターには見えませんし、劇中でもあまり会話をしていないと思いますが、何かの折りに彼女が刑事を目指す設定とし、女刑事になっていたら面白かったかもしれません。しかし、ウーマンリブで強まった女性が昭和50年代で退化してしまいましたので、難しかったでしょうね。