最近、昭和ドラマのレビューばかり続いてるのは、義務感や使命感に駆られたワケじゃなくて、現在放映中の連ドラに全く興味が沸かないから。
以前からモチベーションの波はあったけど、今季ほど観たい番組が見当たらないのは前例が無かったと思います。
内容がつまらないとは言いません。なにせ観てないから評価のしようがない。新番組の初回は一応ひと通り録画してるんだけど、再生ボタンを押すこと無く消去しちゃうパターンがずっと続いてます。
刑事物の『24JAPAN』『相棒』『科捜研の女』だけは初回を観たけど、結局2回目以降は観てません。その3本はそれこそ義務感と使命感で初回を観た……というよりチェックしたに過ぎません。
何故こんなに興味が無くなっちゃったのか? 思い当たる理由は2つ。(追記:実は3つ目もありました。それは最後に書きます)
まず1つは、贔屓にしてるスターが今季は出ておられないこと。そしてもう1つは、観ても大したサプライズが無いのが目に見えてるから。ちょっとした驚きはあるにせよ「たかが知れてる」ってワケです。
女優さんはどうせ脱がないし、新しいものや規格外のものも出て来ない。最近レビューした昭和ドラマ『大激闘』や『大捜査線』みたいに、主演スターが命懸けでスタントに挑むなんてことも有り得ない。もしあったとしたらCGの嘘っぱちです。
もはやそういう作品を生み出せる環境じゃないから、期待するだけムダってことです。
もし作品のためなら脱いでもいい、たとえ死んでも構わないっていう気概を持った俳優やクリエイターがいたとしても、リスクを回避することしか考えないテレビ局やタレント事務所、スポンサーの偉い連中(つまりクリエイターでも何でもないサラリーマンたち)が壁になって、やらせないし無難なものしか創らせないワケです。
前季に私が絶賛しまくった刑事物『MIU404』にしたって例外じゃありません。カーチェイスや疾走シーンに「感激して涙が出た」って書きましたけど、冷静に考えればなんでその程度のことで泣かなあかんねん?って話ですw 昭和ドラマじゃ毎回フツーにやってたことです。
勿論そのクオリティーの高さには文句のつけようがありません。他の番組にしたって昭和ドラマより格段にクオリティーは高いです。映像技術にしろ俳優さんの演技にしろ。
けど、サプライズがない。心を揺さぶられない。2011年の刑事ドラマ『デカワンコ』における多部未華子さんの演技を、初めて目にした時の衝撃を超える作品には、あれ以来出逢えてません。
そうは言っても、刑事物なら『CRISIS』や『刑事ゆがみ』、その他なら『家政婦のミタ』『半沢直樹』『それでも、生きてゆく』『大奥/誕生』『リーガルハイ』『デート』『重版出来!』『逃げるは恥だが役に立つ』等々、ワクワクさせられ泣かされた作品は(全体数からすればごく僅かだけど)あります。
今季の連ドラにはそういう匂いも全くしないんですよね。どれもこれも二番煎じや劣化コピーに感じてしまうし、恋だの家族だの自分探しだのと、テーマがどんどん小っちゃくなってる気がしてなりません。そういう作品を否定はしないけど、そればっか並んでるとウンザリしちゃう。
その原因は前述の通りコンプライアンスとやらに取り憑かれたサラリーマンたちが、無難に数字を稼ごうと女性視聴者の顔色ばかり伺ってるから、だろうと私は思ってるけど、他にも深刻な問題(例えば若手の育成をサボって来た結果、優れた人材がついに底をついて来たとか)があるかも知れません。
観ればそこそこ面白いんだろうけど、そこそこ面白いだけじゃブログのネタにならないから私は観ない。かえって超絶につまんない方がネタに出来る。そのつまんなさすら中途半端なんですよね。
片桐竜次さんや志賀勝さんがあの顔でレギュラーの刑事役をやってる! 杉良太郎さんが何がなんでも見せ場を独り占めしてる! それだけでネタになるんですよ昭和ドラマは!w
連ドラに限らず、日本映画の記録をすべて塗り替えそうなあのアニメにしたって、私の琴線に触れるものがあるとは到底思えません。観ればそこそこ面白いだろうなっていう、その程度のもんに時間を割くぐらいなら『大激闘』を観て片桐さんのアドリブに失笑したいですw
そう、失笑するくらいの脱線とか破綻とか、そういうところに真の面白さがある。なにしろ予測がつきませんから。
最初からそれを狙って、計算ずくで脱線や破綻を生んでる作品も(たとえば浜崎あゆみさんの伝記ドラマとか)あるけど、そういうのはまた違います。計算してる限りは予定調和ですから。
……と、ここまで書いたところで執筆をいったん中断し、とある映画を観に行って来ました。その劇中で出版社の編集長さんが、こんなことを仰ったんですよね。
「人は本当のことを知りたがる。本当のことが書いてあれば、人は読むよ」
それを聴いて「あっ、こっちだ!」と思い直しましたw 私が真に求めてるのは脱線とか破綻とかじゃなく、創り手の本音なんだと。
コンプライアンスに合わせて作られたドラマの中に「本当のこと」など見つかるワケがない。女性客の機嫌を取るために書かれた脚本に「創り手の本音」など込められてるワケがないんです。
だったらドキュメンタリーだけ観てろよって声も聞こえそうだけど、ドキュメンタリーだって創り手の思惑次第で右にも左にも偏っていく。実話かどうかなんてどーでもいいんです。要は、そこに作者の魂がこもってるかどうか。
今季の連ドラには、魂が感じられそうな作品が1本も見当たらない。そういうことなんです。
勿論それは私個人の嗜好であって、魂なんかどうでもええねん、謎解きとかどんでん返しが観たいねん、とおっしゃる方を否定する気は毛頭ありません。たぶん、今はそういう視聴者が圧倒的多数なんでしょう。だからそんな番組ばかりになっちゃった。
この傾向がずっと続いていけば、私は新しいドラマを本当に観なくなっちゃうかも知れません。淋しいからそうはなって欲しくないけど、多分ならざるを得ないでしょう。満を持しての、破滅です。
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