ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ルート225』考察その1

2020-11-07 11:40:03 | 多部未華子









 
2006年公開の日本映画『ルート225』(中村義洋 監督/林民夫 脚本) は、多部未華子さん扮する14歳のヒロイン=田中エリ子が、天然キャラの弟=ダイゴ(岩田 力)と一緒にある日突然、両親がいないパラレルワールドに迷い込んで、二度と帰って来られなくなっちゃう不条理SF。

2020年11月現在、多部ちゃんの最新主演映画である『空に住む』を観て、その内容に『ルート225』との共通点が多いことに気づいたのは、前回の記事に書いた通り。

で、どっちの多部ちゃんも両親を突然失ったことをキッカケに異世界へと放り込まれ、かけがえない相棒まで失って否応なく、そして逞しく自立していくワケだけど、その異世界が『空に住む』の場合はイケメン俳優が住む豪華タワーマンション、かたや『ルート225』はパラレルワールドだったりする点に、主人公が大人であるか子供であるかの違いが表れてるのかも?みたいなことも書きました。

それはつまり、タワーマンションもパラレルワールドも主人公が見た夢か幻覚……もうちょい具体的に言えば、両親を失った現実から逃避するための妄想かも知れない……とまで考えだすとややこしくなるから、前回はそこで筆を置きました。スマホで書いてるけどw

まあ、いくらなんでも『空に住む』にそんな仕掛けは無いと思うけど、一応SFである『ルート225』なら有り得なくはない。注意深く見ていけば、それを裏づけるようなヒントが隠されてるかも?! と思って、今回あらためて観直した次第です。

そもそも『ルート225』には、どうしても説明のつかない大きな疑問点があるんですよね。エリ子とダイゴが迷いこんだ異世界には、元の世界と同じ隣人やクラスメイトや有名人が(微妙に太ってたりはするけどw)存在するのに、なぜか両親だけがいない。で、元の世界ではどうやらエリ子とダイゴだけがいないらしい。

周りの人たちはみんな両方の世界に存在するのに、なんでエリ子のファミリーだけが片方の世界にしか存在しないのか、映画ではいっさい説明されません。(どうやら原作でもそうらしい)

まあパラレルワールド自体が不条理なもんだしって、ムリに納得しようとするんだけど、観るたびにそこだけどうしても引っ掛かっちゃう。

でも、パラレルワールドが実は主人公の空想だとしたら……いや、むしろ逆で、元の世界こそが(願望から生まれた)空想だとしたらどうでしょう? 両親が行方不明になっちゃった現実を受け止めきれないエリ子とダイゴが、ここはパラレルワールドなんだ!と思い込むことで精神バランスを保ってる。そう考えれば最大の謎はすんなり解けちゃいます。

なので今回は、その仮説を裏づけるような証拠がどこかに隠されてないか、眼を皿のようにして観ました。

けど、そんなものはどこにも見当たりませんでしたw う~ん、やっぱり考え過ぎだったか……

とは言え、今までほとんど気にしてなかった部分が、今回は妙に気になったりしました。

それは何かと言うと、元の世界でエリ子が抱えてた悩みが親友の大久保ちゃん(小南千秋)と最近ギクシャクしてるというw、些細と言えば些細なことなのに対して、ダイゴが抱えてた問題がけっこう深刻であること。

クラスでイジメの標的にされてたのもそうだし、それ以上に美少女のクマノイさん(市川春樹)が死んじゃったことを(たぶん勘違いだけど)自分のせいだと思ってるのはかなり深刻。

で、パラレルワールドに来てから、姉のエリ子がイジメっ子に復讐してくれるわ、死んだはずのクマノイさんが生きてるわで、ダイゴが切実に抱いてたであろう願望が叶ってるんですよね! これは何か意味がありそうじゃないですか?

それでふと思い出したのが、押井守監督の傑作アニメ映画『うる星やつら2/ビューティフル・ドリーマー』です。学園祭準備の1日がなぜかエンドレスで繰り返され、その異変に気づいた主人公たちが原因を探っていくと、その世界は学園祭が終わって欲しくないヒロイン=ラムちゃんが見てる夢の中だった!っていうお話。

つまり『ルート225』のパラレルワールドも、現実から逃れたい願望の強いダイゴが創り出した世界で、エリ子はそれに巻き込まれちゃったのかも?……なんて思ったりもしてw

二人がパラレルワールドへ入る直前に、そこにある筈のない海が出て来るんだけど、黄昏時の海って、ちょっと不気味にも見えるんですよね。なんとなく、死の世界の入口みたいな……

もしかすると、ダイゴはイジメを苦にして自殺……するタマじゃなさそうだけど、死ぬ予定だった。そういう運命だった。ところがエリ子が迎えに来たことで運命が狂った。迎えに行くよう促したのはお母さん(石田えり)だから、ひょっとして両親は2人の身代わりになって向こうの世界へ行っちゃったのかも?

……って、そこまで行っちゃうとメチャクチャですかね?w でもそう考えると、お母さんがエリ子に傘を持たせた意味も分かったりしませんか? その時はぜんぜん降る気配のなかった雨が、異世界に来てからここぞ!って時に降りましたよね?w あのお母さんのひたすら天然っぽいキャラって、なにか超越したものを持ってそうな感じがするしw

そして「ダイゴと離れたくないの!」って言うエリ子と、「ふたり一緒に来たのには、絶対理由がある筈なんだよね」って言うダイゴ……

以上、私の『ルート225』考察その1でしたw

なんの結論も出なかったので、今、原作(著・藤野千夜)のコミカライズ版(著・志村貴子)を取り寄せてますw それを読んでも新たな発見が無ければ、その2はありませんw
 


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2 コメント

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Unknown (gonbe5515)
2020-11-07 19:31:51
ハリソン君の記事を読むと、この映画をもう一度観たくなってしまっていけません(実は嬉しい)。

興味深く読ませていただきました。続きがあればいいなあ。。。
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Unknown (harrison2018)
2020-11-07 21:46:11
観れば観るほど不思議な映画ですよね。だからタベリストに愛されてるんでしょう。答えが無いからこそ深くて面白い。カルトですよね。
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