後に最終回を演出される鈴木一平さんの監督デビュー作となった本エピソードで、ロッキー(木之元 亮)と早瀬令子婦警(長谷直美)が急接近、3ヶ月後には結婚することになります。
令子にはゴリさん(竜 雷太)と、ロッキーには山さんちの家政婦さん=加代子(千野弘美)とくっつく裏プランがそれぞれあったものの、あえなく破談。言わばフラれた者どうし、妥協して身を寄せ合うワケですw
いや実際、スコッチ(沖 雅也)の復帰により若手筆頭の座から転落したロッキーと、交通課婦警として藤堂チームに絡むにはネタが尽きて来た令子は、そのままだと存在価値を失ってたかも知れません。
ところが! 二人がくっつく事によって、妻帯者となり父親にもなるロッキーには長さん(下川辰平)に代わるホームドラマ担当としてのポジションが、そして令子には双子の母親にして未亡人=マミー刑事としてのポジションがそれぞれ与えられ、逆に存在感を増していくんですよね!
そこまで見越してのカップリングではなかったにせよ、結果的には大成功と言えるんじゃないでしょうか? ロッキーが結婚したからって怒る女性ファンはいない事だしw
ツッコミ上手な先輩と絡んだ時だけ面白くなるロッキーには、常に強気な令子さんが一番マッチするんですよね。
後にロッキーが殉職しても大した話題にはならなかったけど、そのお陰で未亡人刑事マミーが誕生したことを思えばちゃんと意味がある。しかも、マミーが主役の回で頻繁に回想してもらえるんだからラッキーそのもの。お前、ロッキーじゃなくてラッキー刑事だよって、ドック(神田正輝)あたりが言いそうですw(実際言ってたかも?)
ヒゲしか取り柄が無かったロッキーにとって、これはまさに起死回生。このシーズンは色んな意味で「復活」のシーズンなんですよね。
☆第407話『都会の潮騒』(1980.5.23.OA/脚本=柏原寛司/監督=鈴木一平)
交通課婦警の令子が命を狙われます。犯人の西山(井上高志)は、半年前に起こった交通事故により死亡した女性の兄。
その事故の処理を担当した令子が、被害者自身にも不注意があったことを裁判で証言した為に、加害者が減刑されたのを西山は逆恨みしてるのでした。
夢を抱いて上京したものの都会に馴染めなかった西山にとって、一緒に暮らす妹の存在が唯一、心の拠り所だった。それを奪った事故の加害者を殺しても気が済まず、今度は令子を狙ってるワケです。
「都会で独りで暮らすっていうのは、寂しいもんでしょうね。オレなんか妹と一緒だからいいけど……オレ、西山の気持ちも解るような気がするんですよ」
そう言って同情するスニーカー(山下真司)に、今回だけやけにクールなロッキーが言います。
「この東京にはさ、そういう人間が沢山いると思うんだよ。だけどみんな立派に生活してるんだ。力いっぱい生きてるんだ。オレは、西山を許せない」
そして、恨まれてばかりの警察官の仕事に嫌気が差して来たとボヤく令子にも、ロッキーはクールに言ってのけます。
「キミは、人に感謝されたくて警官をやってるのか?」
「…………」
「間違ってるよ、そいつは。警官なんてのは、人に感謝されようがされまいが、やっぱり必要なんだよ」
ただの毛むくじゃらとしか思ってなかった男にビシッと言われて、令子も今回だけやけにしおらしくなりますw
で、ダンプカーを暴走させて襲ってくる西山から、ロッキーは自分を犠牲にしてでも令子を守り抜こうとし、瀕死の重傷を負ってしまう。おまけに木之元亮デビュー曲にして最後のレコード『都会の潮騒』が1コーラス流れた日にゃあ、たとえ顔じゅう毛だらけでもメロメロにならざるを得ません。
そうして今回だけ特別待遇でカッコよく描いてもらったロッキーに、令子はうっかりハートを掴まれちゃうワケです。結婚、出産、子育て、そして死別、マミー刑事誕生へと続く波瀾万丈ドラマの、これが幕開けであったことを思うと、今だからこそ味わえる感慨深さがあります。
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