’80年代アイドル特集第17弾は、中山忍さん。すでにスターだった姉=中山美穂さんを空港へ見送りに行ったときに事務所スタッフの眼にとまり、ドラマ『オトコだろッ!』で女優デビューされたのが'88年。
アイドル歌手としても活動されたけど美穂さんほどは注目されず、平成『ゴジラ』シリーズと平成『ガメラ』シリーズの両方でヒロインを演じるなど女優としてのキャリアを着実に積み上げ、いまや美穂さんより息長く活躍されてるのが、デビュー時から拝見してる我々世代としては感慨深いです。
しかしこの『刑事貴族3』に出られてた頃は、言っちゃ悪いがとっても素人臭く、姉の七光りみたいに言われたのも仕方がないと正直思います。それで相当悩まれたそうだけど、よく乗り越えて来られました。まさに継続は力なり!
刑事ドラマは『はみだし刑事情熱系』シリーズにも’98年のPART3から山口さくら刑事役でご登場、翌年のPART4までレギュラー出演。ゲストとしては『科捜研の女』や『おみやさん』『ハンチョウ』『遺留捜査』『相棒』『ダブルス』『警視庁・捜査一課長』等々、2時間サスペンスも含めるとキリが無いほど出演されてます。すごい! ハズキルーペ!
『刑事貴族3』は1992年の4月から12月まで、日本テレビ系列の金曜夜8時枠で全26話が放映された、日テレ&東宝制作による『太陽にほえろ!』の伝統を受け継いだ刑事アクションドラマ。
舘ひろしの個性を活かしたハードボイルドタッチの第1シリーズを郷ひろみが引き継ぎ、第2シリーズ以降は水谷豊が主演を務めることによりコメディータッチへとシフト。若手メンバーを中心とした小劇団チックな独自の世界観が構築されました。
新宿界隈が所轄の代官警察署刑事課に勤務する、主人公の本城刑事(水谷 豊)と、その「相棒」となる機会が多い藤村刑事(寺脇康文)。息が合いすぎるし、顔と顔の距離も近くて気持ち悪いですw
原田刑事(田中 実)、村木刑事(宍戸 開)、吉本刑事(彦摩呂)の若手トリオ。みんな本城のノリに引っ張られて、特に彦摩呂くんはまるで水谷さんのモノマネをしてるみたいだし、細くて気持ち悪いですw
女性刑事の芝夏美(鳥越マリ)と、内勤員の田辺しのぶ(中山 忍)。この番組で唯一、気持ち悪くないコンビ。
そしてベテランのタケさんこと武田刑事(地井武男)と、ボスの宮本課長(松方弘樹)。松方さんの粘っこい芝居が気持ち悪いですw
とは言えやっぱり、地に足の着いたベテラン勢の芝居を見るとホッとします。
昨今の若手俳優は皆やけに上手い(それはそれで気持ち悪い)けど、当時はまだ年相応に未完成。ひとりの新人を皆で育てる構図なら良いんだけど、未熟者どうしで軽妙な掛け合いを(ウケてると思って)してる様を観ると、私はどうにも落ち着かない。それが気持ち悪さに繋がって来るんですよね。
今回のエピソードは特に、ゲスト側も若手ばかりなもんで気持ち悪さ倍増。それでも当時としてはまだ上手い人たちが選ばれてるから、マシと言えばマシなんだけど……
☆第10話『若者たち』(1992.7.3.OA/脚本=大川俊道/監督=原 隆仁)
サラリーマンがカラオケBOXの駐車場で射殺され、本城たちはそれを通報して来た若い女=美香(関口めぐみ)を探すんだけど、なかなか足取りが掴めない。
で、事務仕事に退屈したしのぶがギャルに変装し、美香とチョメチョメな仲らしいツッパリ青年=陽平(山口祥行)に接近します。
ところが自分がデートに誘われそうになり、警察手帳を見せてこの一言。
「婦警ナンパすんなよな」
ザッツ’80年代! いや、もう’90年代に入ってるんだけど、アイドルにこういうセリフを言わせたがるのは’80年代の名残り。気持ち悪いですw すぐに身分を明かすなら変装する必然性もなく、単にこのセリフを忍さんに言わせたかっただけですよねw
で、なんとか美香を見つけるまでは良かったけど、目の前で彼女が若いチンピラ2人組(日野弘基&小沢一義)に撃たれ、しのぶ大ショック! 内勤員ゆえ初めての経験です。
残念ながら美香は助かりませんでした。撃った2人組はサラリーマン殺しの犯人で、口封じに彼女も消したワケです。
「最近の若いヤツは……人の命を何だと思ってるんだ!」
憤るタケさんに、若手の原田が言います。
「俺たちにだって解りませんよ、ああいう連中は」
そりゃそうですよね。私もツッパってる連中の気持ちは若い頃から全然解らなかったし、解りたくもなかった。世の中を舐め、大人たちに甘えてるだけにしか見えなかったし、実際そうなんでしょう。
「ここで好きなだけ泣けばいい。その代わり、みんなの前で泣き顔見せるんじゃない。いいな?」
可愛い部下であり、姪っ子でもあるしのぶを慰め、激励する宮本課長が相変わらず粘っこく、気持ち悪いですw
2人組の行方を追い、若い連中から情報を集める刑事たち。
「意外とマトモなんだよな、1人1人は。どうして集まると悪い事するのかな」
甘っちょろいことを抜かす原田に、夏美がビシッと真実を突きつけます。
「要するに1人じゃ何も出来ないって事でしょ? 臆病者なのよ。大人がね、つらい事や苦しい事に立ち向かう強さを教えなかったからよ」
その通り! どうせ悪さするなら1人でやれ! 自分で責任を取れ! それが出来ないのはやっぱり、甘やかされたり放ったらかしにされて育ったからでしょう。
今回の犯人たちも、いかつい風貌しながら四六時中べったり一緒で、ほんと気持ち悪い。わたしゃこういう人種が一番嫌いです。是非ともぶっ殺して欲しい!
残念ながら殺しはしなかったけど、しっかりクソ野郎の足に弾丸をぶち込んでくれました。撃ったのは本城と、細すぎて誰だか判んない吉本=彦摩呂くんです。
途中、藤村や村木もチンピラをボコボコにしてたし、ホント素晴らしい時代でした。そういった実に正しい描写も、やがてフィルム撮りのアクションドラマが絶滅するのと同時に見られなくなっちゃいます。この『刑事貴族3』の後番組『はだかの刑事』あたりが最後じゃないですか?
ラストはしのぶがツッパリの陽平から「ドライブに誘われちゃった」との事で、親代わりの宮本課長が粘っこくハラハラして見せてジ・エンド。
無軌道な若者の暴走とか、遊び感覚の犯罪はずっと以前から描かれてますから、特に時代を反映してる感じも無く、ほんと中山忍さんのコスプレだけが見どころの回と言わざるを得ません。
それがアイドルって存在なんですよね、きっと。小難しいことさせても仕方がないんです。少なくとも当時は。
そう考えると、本当の意味でのアイドルも、アクションドラマと一緒に絶滅しちゃったのかも知れません。今どき、こんな内容じゃ番組が成立しないでしょうから。
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