☆第94話『裏切り』(1974.5.3.OA/脚本=鎌田敏夫/監督=木下 亮)
中光産業の売上金=二億五千万を横領し、往生際悪く逃げ回った挙げ句に神奈川県で逮捕された女=高村八重(横山リエ)を、ゴリさん(竜 雷太)と殿下(小野寺 昭)が引き取り、東京へと護送します。
「女なんてのはな、殿下。可愛い顔してても、なに考えてるか分かりゃしないよ」
お人好しなゴリさんらしくない台詞ですが、実はゴリさん、交際してた見合い相手に二股をかけられてた事実を知り、極度の女性不信に陥ってるのでした。
一生を左右する結婚相手を選ぶんだから天秤にかけるのは当たり前、とはお茶汲み久美ちゃん(青木英美)の弁。言われてみれば一理あるものの、純情一直線の若きゴリさんには通用しません。
そして護送される八重がまた、自由奔放かつしたたかな女で、ゴリさんをからかい、殿下に甘え、あの手この手で逃走を図る厄介者。ゴリさんの女性不信に拍車をかけます。
そんな彼らに、若い新婚カップルが声をかけて来ます。周囲の反対を押し切って結婚した2人で、誰にも祝ってもらえないから、せめて見知らぬゴリさん達に祝福して欲しい、一緒に弁当を食べて欲しいと懇願する。
殿下は冷静に固辞するんだけど、同情したゴリさんと八重は弁当を口にし、新宿駅に着いた直後に倒れちゃう。弁当にサルモネラ菌が盛られてたのでした。
ニセ新婚カップルを送り込んだのは、八重の恋人で恐喝の常習犯=下田(山口嘉三)。八重に売上金を横領させた挙げ句に暗殺しようとしたワケです。
なんとか一命を取り留めたゴリさんと八重。迂闊に他人を信じた自分を激しく責めるゴリさんとは対照的に、下田が自分を殺そうとするなんて有り得ないと言い張る八重。
「どこまで馬鹿なんだ、お前は」
「馬鹿だっていいじゃないか。惚れた男ぐらい信じなきゃ、生きてたってしょうがないよ」
結局、病院から脱走して下田に会いに行った八重は、他殺死体となって発見されます。下田を逮捕に向かう道中、ゴリさんは殿下にこう呟きました。
「あの女は、下田に殺されるのを覚悟で会いに行ったんだ。惚れた男を信じたかったんだよ」
八重とゴリさんは、実は似た者どうしだったのかも知れません。別のエピソードで「騙されるのがそんなに悔しい事なのか? そんなに恥ずかしい事なのか?」なんて言ってたのは誰あろう、ゴリさん自身なのです。
もちろん、下田は怒りのゴリパンチを100発ほど浴び、めでたく廃人となりますw
「ゴリ。少しは女の見方、変わったか?」
ボス(石原裕次郎)の言葉に頷くでもなく、なんだか切ない笑顔を見せるゴリさんなのでした。
本エピソードは『太陽にほえろ!』が初めて視聴率30%台を記録した作品として、ファンにはよく知られてます。これと言ったトピックは無いんだけど、ゴリさんのキャラクターや番組の基本スピリットがよく分かる『太陽』らしいエピソードではあります。
また、八重を演じる横山リエさん(当時27歳)が奔放なキャラにピッタリで、とても魅力的でした。
1969年、大島 渚監督の映画『新宿泥棒日記』で主演デビューし、『銭ゲバ』や『天使の恍惚』『女囚701号 さそり』など多数の映画、刑事物や時代劇を中心にテレビドラマでもご活躍された女優さんです。
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