ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『オクトー/感情捜査官 心野朱梨』2022

2022-07-10 22:00:10 | 刑事ドラマ HISTORY

2022年夏シーズン、日本テレビ系列の木曜深夜「木曜ドラマ」枠でスタートした、読売テレビ&AX-ON制作によるオリジナル企画の刑事ドラマ。

オクトー、すなわち人間が持つ「喜び・信頼・恐れ・驚き・悲しみ・嫌悪・怒り・期待」という8つの感情を、8つの色として識別できてしまう女性刑事=心野朱梨(飯豊まりえ)が、その特殊能力を活かして容疑者や事件関係者の感情を読み解き、難事件を解決していきます。



心野が勤務する神奈川県警・東神奈川署の刑事第1課強行犯1係に警察庁から異動し、彼女とコンビを組むことになるエリートの風早警部補に、浅香航大。



そして2人の上司となる課長代理=雲川警部に山中 崇、同僚の南条刑事にニシダ・コウキ、北村刑事に日比美思、警察庁の平安次長に船越英一郎、精神科に入院してる心野の姉=紫織に松井玲奈、その主治医=甲本に臼田あさ美、といったレギュラーキャストの顔ぶれ。



ひと昔前、特殊能力を持った刑事や探偵が事件の謎を解くドラマのブームがありましたけど、久々にまた登場しましたね。人の本音(心の声)が聴こえちゃう設定のドラマもちらほら復活してるし、ブームってのは何度でも繰り返されるワケです。昔に比べると周期がずいぶん早い気はしますが。

他者の感情が形として見えちゃう設定も過去にいくつかあったけど、8種類のカラーで識別するっていうのはユニークかも知れません。

例えば第1話の容疑者は未成年のギャル(本田望結ちゃん、熱演!)で、殺人容疑が掛かって取調べを受けてるというのに、彼女の眼からは何故か「期待」を示すオレンジ色のオーラ(?)が見えるワケです。



誰が真犯人だの裏切者だのっていう謎解きにはウンザリだけど、殺人容疑を掛けられた少女がいったい何を「期待」してるのか?っていう謎には興味を引かれました。

本心がそのまま見えるんじゃなくて、本心から滲み出る感情の「種類」だけが見えるってのが意外と面白い。考えてみれば誰もが持ってる「人の顔色」を伺う能力なワケで、それが過敏であるがゆえに他者と接するのが苦手な人って、たぶん無数にいるはず。

私もその1人だと思ってます。だからこの主人公には共感しやすい。彼女は決してスーパーウーマンじゃなく、過敏であるがゆえに悩んでる仲間の中でも、特に重症な人ってことで同情さえしちゃう。



で、容疑者のギャルが密かに期待してたのは、インターネットで「バズる」ことでした。彼女はSNSで予告した上でカレシと飛び降り心中をやらかし、自分だけ生き残ったもんで殺人容疑が掛かったワケだけど、殺意なんて無かった。ただただ、世間から注目されフォロワー数を増やしたかっただけ。

そんなアホな!と言う方もおられるでしょうが、私は充分あり得ると思いました。昨今の通り魔事件とかテロ事件に共通するのは、強い恨みでもなければ政治的メッセージでもない、いわゆる「承認欲求」でしょうから。

安倍元総理を撃ち殺したヤツは完全に狂ってるとしか思えないけど、たとえば駅のホームに財布を落とし、非常停止ボタンを押して駅員さんを激昂させた話題の人は、こっそり動画を撮りながら相手を挑発してるところを見ると、ネットで「バズらせる」のが目的だったとしか思えません。

その件が犯罪に当たるかどうかは分からないけど、承認欲求から起こる事件やトラブル、自殺なんかも今後どんどん増えてく事でしょう。私は断じて、絶対に、死んでも、そんなバカやアホの巻き添えにだけはなりたくない!

「動画を観てる人たちはあなたを認めてるワケじゃない。確かに衝撃的な出来事は、多くの人たちの興味を引きつけます。ですが、それは一時的なものに過ぎません」



どうやら心野自身も、15年前に両親が殺された事件で世間から注目を浴び、好奇の目に晒され、その尋常ならざるストレスが特殊能力の目覚めに繋がったみたいです。

「その感情は、あっという間に消えていきます。新しい事件が起きれば、彼らはすぐに離れていく。たとえ労りや、励ましの言葉をくれたとしても、彼らは決して、あなたを見てはいないんです。あなたが俊介さん(心中相手)を見ていなかったのと同じように」

そう諭されたギャルの眼からはパープル(後悔)の色が滲み出るんだけど、現実世界のそういった人種たちは、これほど簡単には自分の過ちを認めないでしょう。

いや、他人事みたいに言ってる私自身にも当然、承認欲求はあります。こんなブログを何年もせっせと書いてるんだから、人一倍あるに決まってます。だから、うっかりヘンな方向に行かないよう気をつけなきゃいけません。



現在ならではのテーマで色々と考えさせてくれた初回は、見応えがありました。このクオリティーを保ってくれるなら継続して観たいと思ってます。

ただ、作風がちょっと暗いのと、例によってわざとらしい過去や秘密の「謎」設定が散見されるのが、どうにも好ましくありません。

15年前の事件についてはまぁ、心野の特殊能力に直結する設定だから仕方ないけど、彼女とバディを組む風早警部補が実は、何やら警察庁からの密命を背負ってる(たぶん特殊能力の利用価値を探ってる)なんていう、いかにも「何かもう1つ謎を作っとこうよ」ってな感じで後付けされた(ようにしか見えない)設定が、ホントあざといだけで面白くも何ともない! 邪魔! うざい! めんどい! おっぱい!

テレビ屋さんたちって、ホントつくづく病気だと思う。そういう謎を設定しなきゃ視聴者がついて来ないと思い込んでる。いや、実はそうじゃないと気づいてるのに、数字しか求めない会議室の偉い連中からGOサインを貰う為に、ただ義務としてやってるだけかも知れない。けど、いずれにしたって病気です。

もし、本当にそういう設定が無きゃ連ドラを観続ける気になれないとしたら、視聴者たちの方こそ深刻な病気ですよ。もう末期です。末期でぇーす!!



ドラマや映画は、ゲームとは違う。断じて違う。ただその時だけ楽しめりゃいいってもんじゃない。この『オクトー』第1話の面白さは、先に書いた通り、いま現実社会で起こってる出来事とのリンクにこそある。

後付けの謎とか秘密なんか、それこそ「一時的なものに過ぎません」「彼らはすぐに離れて行きます」ってなもんです。なんでそれが解らないのか? 解ってるのにやり続けるしかないのか? なんて無力な連中なんだ!

……って、こんなとこで怒鳴ってても仕方ないんだけど、ストーリーの内容が良かったからこそ、余計な要素が気になっちゃうワケです。新番組が始まるたびに同じこと書いてる気がするけど、絶えず主張し続ける私は真のハリソン・フォードであり、最近は西島秀俊くんや斎藤工くんにも似てきました。

セクシーショットはもちろん主役の飯豊まりえさんと、妹役の松井玲奈さん、そして北村刑事役の日比美思さんです。

 


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