ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『風の刑事・東京発!』#11

2023-05-21 15:55:53 | 刑事ドラマ'90年代


☆第11話『特急あさま 高原に消えた恋人』(1996.1.10.OA/脚本=小木曽豊斗/監督=村川 透)

風間警部補(柴田恭兵)と二人暮らしする父親=良輔(西村 晃)が、ふらっと出かけたまま数日が経ち、どうせいつもの放浪癖が出たんだろうと思ってたら、その良輔が「すぐに保険証を持って来てくれ!」と電話で泣きついて来たから驚いた!



どうやら良輔は長野県の雪山で負傷し、妙高高原のペンションに身を寄せてるらしい。

さすがに慌てた風間は特急あさま号に飛び乗り、そのペンションへと駆けつけます。



するとそこには、若くて可愛い女の子2人に囲まれ、満面の笑みを浮かべる良輔の姿があるのでした。

「何やってんだよ、オヤジ!💨」

「おお、大輔。来たか」



どうやら良輔は、フィッシング旅行中に雪で滑って足を捻挫しただけ。ちょうどクルマで通りかかったペンションの若きオーナー=浅岡智美(若林志穂)に拾われ、手当てを受けて世話になりまくり、智美の妹=愛(石橋けい)ともすっかり仲良くなったご様子。

もちろん、主役の刑事が来たからには、ここで事件が起こらなきゃ話になりません。翌日、ペンションから少し離れた関川渓谷で変死体が発見され、その身元が東京から来た片桐康彦というサラリーマンであることが判明します。

そしてその片桐はかつて、ペンションオーナーの智美と大学時代にチョメチョメな関係だった!



地元警察は転落事故と断定するんだけど、風間は胸騒ぎを覚えます。遺体が発見された場所も、そして死亡推定時刻も、負傷した父が智美に拾われた場所と時間にやたら近い!

この前レビューした回(第9話)では尊敬してやまない恩師を、そして今回は父の命を救ってくれた恩人を、殺人容疑者として疑わなきゃいけない刑事の仕事……っていうか刑事ドラマの主人公という立場のやるせなさ。

「もうウチには泊まらないで下さい! お姉ちゃんを疑うような人、顔も見たくないです!!💢💢💨」



当然、妹の愛はハイパー激怒し、風間を全力で排除しようとします。主人公はつらいよ!

けれど調べれば調べるほど、死んだ片桐と智美は切っても切れない「共依存」の関係だったことが分かって来ちゃう。事件当日、片桐は借金返済で追い詰められた状態だったし、智美は銀行でキャッシュを下ろしてる。

刑事ドラマに出てくる女の人って、なんでそんなロクデナシにばっか惚れちゃうでしょう?

「智美さんになんてこと言うんだ!」



事実を確認しに来た風間に、良輔の控えおろうビンタが炸裂します。

「お前は、状況だとか動機だとかを見て疑うんだろうが、肝心なあの人自身を見ていない。あの人をよく見てみろ。人を殺して黙っていられるような人じゃないだろ!」



風間だって、智美にはシロであって欲しいに決まってます。けれど、真相はもっと残酷なものでした。



「お姉ちゃん、私がいるからいいじゃない。ずうっと私がそばにいてあげるから……だからお姉ちゃんもどこにも行かないで」

愛がそう言うのは、片桐との関係をズルズルと引きずってきた姉が、そのせいでさんざん苦しんでるのをよく知ってるから。

「じゃあ、愛と2人でお婆ちゃんになるまで、此処をずうっとやってくワケかぁ」

「イヤ?」

「ううん、イヤじゃないわよ」



そう言いながら翌朝、智美は自殺未遂をやらかしちゃう。そして、見舞いに来た良輔に言うワケです。

「息子さんの言う通りなんです。片桐さんを殺したのは、私です」



これにて一件落着! ……いやいや、だったらなんで今まで隠してたの?って話です。智美は前夜、愛との会話で事件の真相を悟ったんでしょう。

サスペンスドラマを見慣れた方なら、もうとっくにお気づきかと思います。もし本当に智美が犯人なら、妹の愛がまったくの無駄キャラになってしまう。ストーリーに存在するからには、必ず何らかの役割を担ってる筈です。



「お姉さん、助かったよ。キミを守るために、命まで捨てようとしたんだ」

「……アイツがいたら、お姉ちゃんは幸せになれないの。だから、別れさせようと思って……」



そう。あの日、片桐が智美にカネをせびりに来ることを知ってた愛は、先にヤツと密会し、姉との縁を切らそうとしたんだけど叶わず、画になる渓谷で突き落とした。それを悟った智美は、自分が自殺する(つまり罪を被る)ことで幕引きを図ったのでした。

「お前には、情けってものが無いのか?」

第9話で田島主任(柄本 明)に言われたのとまったく同じセリフを、今回は自分の父親から浴びせられちゃう風間大輔。ホントにまったく、主人公はつらいよ!


セクシーショットは智美役の若林志穂さん。’80年代にアイドル歌手としてデビューされ、女優としてもTBSドラマ『天までとどけ』等で注目されました。

刑事ドラマは石原プロの『ゴリラ/警視庁捜査第8班』#42と『代表取締役刑事』#20、そして『はぐれ刑事純情派』シリーズに4回と『はみだし刑事情熱系』クリスマススペシャル(’03)等にゲスト出演されてます。

ちなみに妹の愛を演じられた石橋けいさんも『さすらい刑事旅情編』『はみだし刑事情熱系』『刑事追う!』『科捜研の女』『相棒』『踊る大捜査線』『警視庁・捜査一課長』等にゲスト出演されており、現在まで息長く活躍されてます。


 

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「仕事が決まりました。」

2023-05-19 18:18:15 | 日記

父の相続手続きと法事が一段落し、庭の手入れや部屋の整理整頓も済ませ、押入れに眠ってたプラモデルも全部組み立てて、やることが無くなって仕方なく、職探しを始めました。

焦る必要は無いんだけど、やることが無くなるとさすがにプータローはきつい。もう生きててもしょうがないやん、って気になって来ちゃう。

長引けば長引くほど社会に出るのが怖くなっていくだろうし、手遅れになる前に動かなきゃと、重い重い腰を渋々上げました。



で、自分では一番性に合ってると思う配送業をメインに探してみたけど、なかなか良いのが見当たらない。

なぜ配送業が性に合うかと言えば、まずクルマの運転が好きで、配達に出てしまえば基本1人で仕事できるのが有難いし、時間に追われるからあっという間に仕事が終わる。そこも大きなポイント。

配送業以外で基本1人で出来て、専門的な技能を求められない仕事と言えば、あとは工場員とか警備員ぐらいしか思いつかない。どっちも若い頃にバイトで経験してるけど、気が遠くなるほど時間が長く感じて、精神的に耐えられなかったです。

それでハローワークに通って求人情報を検索するだけの日々がしばらく続き、やっと「これだ!」と目をつけたのが介護施設の送迎ドライバーの仕事。これなら配送業と自宅介護の経験が両方活かせる!



送迎ドライバーの募集は以前から複数件あったけど、どれも朝2時間とか夕方2時間のパートワーキングばかりで、両方合わせても4時間分しか稼げない。高報酬は求めないけど、さすがにそれだけじゃ食って行けない。

ところが今回見つけた介護施設はフルタイム勤務。ちょっと場所が遠い(クルマで約20分。前の勤め先は5分で行けた)のがネックだけど、前職で担当してた配達区域に近い=周辺の地理をよく知ってるのも強みになるかも知れない!

ってことで面接を受けに行きました。



そしたら、ズラリと並ぶ5人の面接官と対峙する、想定外に本格的な面接で、とっても緊張しました。面接を受けること自体が15年ぶりだし!

受ける質問の量も予想外に多く、別に嘘はつかないけど言わなくていい事までポロポロ言ってしまい、こちらとしては最悪の出来でした。

だからなのか、あるいは既にドライバー枠は埋まってたのか、介護職員をやってみる気は無いか?っていう話になってきた。

このブログには今まで書かなかったけど、私は15年前、実家に戻って宅配業に就いてからすぐ、ホームヘルパー2級の講座を受けて、資格だけ取ってるんです。

けど、それはあくまで介護がどういうものかを知り、両親を安心させる為だけの目的であり、職業にするつもりは毛頭ありませんでした。

その理由は色々あるけど、一番は「常に人間と関わる仕事」だから。出来るだけ人と関わりたくない性格の自分には絶対ムリだと思ってました。

けど、施設の人たちは「向いてそう」だとおっしゃる。「優しそう」で「人が好きそう」に見えるからと。

優しそうに見えるのは単に気が弱いからだし、自分では「極度の人間嫌い」だと思ってるんだけど、そう言えば2年前からお世話になってるケアマネージャーさんにも「向いてると思う」って言われたことがある。プロの人たちがそう言うなら、そうなのか? いや、だけど私のことは私自身の方がよく知ってるし。

とはいえ、さすがに就職面接で「極度の人間嫌いです」とは言えないから、その場は「他人様の命を預かるような仕事(それは送迎ドライバーも同じだけど)は怖いです」「でも、向いてると言って頂くと、ちょっとその気になってる自分もいます」って、ニュアンスは変えたけど正直な気持ちを表明し、面接は終わりました。



結局、自分がいかに小心者であるかを大々的にアピールしただけで、送迎ドライバーはもちろん介護職員としての採用も無いだろうと思い、やっぱり工場に行くしかないかと諦めてたんだけど、そしたら翌日、採用担当の人から電話があり、「介護職員として来て頂きたい」って。

よっぽど人手が足りてないんでしょう。こんなオッサンで、あんなに自分の弱さをさらけ出したのに、それでも来て欲しいって……

けど、いくら猫の手でも借りたい状況にせよ、まったく見込みが無い人間に「来てくれ」とは言わないはず。

そうして「人柄」を見て決めてくれたのが、めちゃくちゃ嬉しかったんですよね。前の会社は数字(生産性)しか見てくれなかったし、ましてや生き馬の目を抜く映像業界じゃ「優しさ」なんて弱点にしかならないから。

もしかすると、その弱点こそが強みになることが、介護の仕事ならあり得るかも知れないって、そう思いました。

すぐボロボロになって辞めちゃう可能性も大だけど、これこそ天職だと思える可能性も、無くはない。

少なくとも、配送業や工場で働くよりも、やり甲斐は確実にある。今回プータローになって、いかに「誰かに必要とされること」を自分が求めてるか痛感した今なら、やって行けるかも知れない。



賭けてみることにしました。もしかしたら、コミュニケーション障害?っていう最大のコンプレックスを、克服できる最後のチャンスかも知れないし。

失敗して、余計に人が怖くなったら、その時こそ工場に行けばいい。

そもそも、本当に人間が怖いなら、仲間を集めて自主映画を創るなんてことは出来なかったはず。こんなに人を笑わせるのが好きなヤツが、極度の人間嫌いであるワケがない、とも思ったり。

それ以前に、体力がついて行かないかも知れない。すでに宅配業で痛めた腰も本格的にヤバくなるかも知れない。そのへんは、整骨院に行く回数を増やしたり、スポーツジムで鍛えたりして乗り切ろう。

実は心療内科にも予約を入れて、メンタル面もケアしてもらうつもり。出来ることは何でもやる覚悟を決めました。

自宅介護の経験で、その過酷さをよく知ってるからこそビビってるワケで、何も知らずに飛び込むよりはサバイブする可能性が、きっとある。

そんなワケで、来週の火曜日から老人ホームで働きます。どうか皆さん、応援して下さい。自分なりに頑張ります。


 

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『スキマスキ』

2023-05-18 16:22:03 | 日本映画

『女の穴』『ちょっとかわいいアイアンメイデン』の吉田浩太 監督&脚本による、2015年公開の日本映画。『うさぎドロップ』等で知られる宇仁田ゆみさんの人気コミックを実写化した作品です。

なぜか「スキマの先にある何か」に強く惹かれ、いつでもどこでもスキマがあれば覗かずにいられない、アホすぎるチェリーボーイの建築科大学生=ヘイサク(町田啓太)が、向かいのアパートに住む「スキだらけ」な女の子の私生活を、ついつい覗き見しちゃう背徳な日々を送ってる。



そんなヘイサクに、同じ大学に通う心理学科の女学生=文緒(佐々木心音)が声を掛けて来て、親しくなる。向かいのアパートの子と何だか似てるんだけど、まさか?と思いながら飲み会終わりに送って行ったら、やっぱり向かいのアパートに住んでいた!



そう、ヘイサクはアホすぎて今まで気づかなかったけど、自分の部屋から文緒の部屋が見えるということは、文緒の部屋からもヘイサクの部屋が丸見えで、とっくに彼女は覗かれてることに気づいてた!

しかも、文緒は心理学科の研究レポートとして、夜な夜なヘイサクの私生活をカメラで盗撮してたのに、彼はアホすぎて全然気づいてない!



お互い、相手の部屋を覗いてることを隠しつつ惹かれ合うんだけど、バイセクシャルである文緒の元カノ(中村映里子)の介入によって全部バラされちゃう。



それでも「スキ」が止まらない2人は、いよいよチョメチョメに至るのでした。



「あ……なんか、ちょっと入った」

「どこに?」

「……壮大なスキマに」

「ふふふ……さすがスキマフェチ」

「あ、いや……」



「……ヘイサクくんは、このスキマから生まれてきたんだよ。このスキマをこじ開けて、その先に何があるんだろうって……そう思いながら這い出てきたんだよ」



つまり、記憶に残るはずがないその時の光景が、彼をスキマフェチにしちゃったのかも?って話だけど、だからってどうという事はありませんw

出逢いのシチュエーションこそ変わってるけど、『女の穴』『ちょっとかわいいアイアンメイデン』で描かれた倒錯の世界&屈折しまくった恋愛に比べれば、遥かに口あたりのよい青春ラブストーリー。

劇団EXILEの町田啓太くんが主役だし、これは女子向けの映画というかメジャー志向な作品で、吉田浩太監督の広いキャパシティを感じます。



私は屈折してないラブストーリーには興味が無いんだけど、ヒロインの佐々木心音さんがとても魅力的に描かれてるし、もちろん脱いでくれてるし、町田啓太くんもEXILEにしちゃ凄く演技が達者だしで、まったく退屈せずに観られました。

吉田浩太監督は、あの城定秀夫監督にも引けをとらない、ピンク系映画の名手と見て間違いなさそうです。

セクシーショットはもちろん佐々木心音さん。豊満なおっぱいが注目されがちだけど、おしりも抜群に素晴らしいです!


 

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『女の穴』

2023-05-17 19:19:06 | 日本映画

日本におけるレズビアン映画の金字塔だと私は思ってる『ちょっとかわいいアイアンメイデン』と同じ2014年に公開された、同じ吉田浩太さんの監督&脚本によるR-15指定作品。女性漫画家「ふみふみこ」さんの短編コミック『女の穴』『女の豚』『女の鬼』が原作になってます。

つまり3つの短編を組み合わせたワケだけど、『ちょっとかわいい〜』も4コマ漫画が原作だったし、吉田監督はそういう構成力に長けた人なんだろうと思います。

この映画は2幕構成になってて、それぞれ独立したストーリーが、実は同じ高校で同時に起きた出来事であることがラストで判る仕掛けになってます。



1幕目は、なんだかブラックホールみたいに吸い込まれそうな眼をした女生徒=幸子(市橋直歩)に、若いボンクラ教師の福田(小林ユウキチ)が「私と一緒に子供をつくって下さい」と迫られる話。

それだけ聞けば少年漫画にありがちなハーレム物かと思うけど、これはなにせ女性作家さんが描かれたストーリーです。そんな都合のいい話じゃありません。

どう見ても、幸子は福田に対して異性の魅力を感じてない。ボンクラ教師でもそこんとこを見抜く眼は持ってる。

「私、17になっても処女というのがイヤで、そろそろ……」

「いやお前、それ嘘じゃん」

「……私、先生がたまらなく好きで」

「いや、それも嘘じゃん。あのさ、いい加減にしないと……」

「私、異星人なんですよ」

「…………」

「今は地球人の体を借りていて、地球人との子供をつくって来るように命令されてるんです」

「……そう来たか」

「合点がいって良かったです」

文字だけじゃ伝わらないかもだけど、この会話に私は凄くセンスを感じました。非凡だし、ぶっ飛んでるようでいて独特なリアリティーがある。

果たして、幸子はただの不思議ちゃんなのか、それとも本当に宇宙人なのか?

とりあえず福田は、幸子のブラックホールみたいな眼に吸い寄せられ、穴に挿れちゃうワケです。



「そんなにいいものでもないですね」

「…………」

「すみません、これって禁句ですか?」

「いや、別に」

ことを終えた直後の会話もリアルというか、生々しいですよね。しかも、こいつ本当に宇宙人かも?って思わせる含蓄もある。

で、もし妊娠しなかった場合は「またお願いします」と来たもんだ。

「いいもんじゃないんじゃなかった?」

「悪くもなかったです」

「…………」

宇宙人かどうかはともかく、幸子はどうやら本当に妊娠だけが目的らしく、キスだとか前戯だとか雰囲気だとかに全く興味を示さない。というか、そういうのが本当に解らないらしい。



で、幸子の穴はメチャクチャ気持ちいいのに……いや、だからこそ、セックスに感情が伴ってないことに福田はストレスを溜めていく。

一般的な男女とは立場が逆なワケだけど、もしかすると女性にもセックスに感情を求めない人がいるかも知れない。ふみふみこさん(原作者)が実はそうで、宇宙人っていうのは自虐の意味を込めたメタファーなのかも?

そんな幸子に、なぜか福田は惹かれていく。いつでもチョメチョメさせてくれる元カノ(青木佳音)にはちっとも欲情しないのに!



それは幸子の方が可愛いからなのか、若いからなのか、穴が気持ちいいからなのか? それとも、得られないからこそ求めてしまうのか?

そこんとこは謎のまま、めでたく子供を宿した幸子は、宇宙へと旅立つのでしたw



2幕目は、チビでハゲでおまけに真正のゲイという、三重苦を背負った中年教師(酒井敏也)に恋してしまった女生徒=小鳩(石川優実)の苦悩が描かれます。

振り向いてくれる筈のない相手を無理やり振り向かせるため、その弱みを握ってブタ扱いしちゃうサドとマゾのお話だけど、LGBTが理解されるようになってきた今となっては、むしろ小鳩の方がよっぽどマイノリティーで息苦しかったりする。

実際、先生がヤケになってゲイであることを授業でカミングアウトしたら、生徒たちが「そんなのとっくにバレてるよw」って、逆に場が和んで先生が救われ、小鳩がますます孤立しちゃう皮肉なシーンもありました。



クラスで孤立したような経験が無い人や、多数派に属することがステイタスだと思ってる人には、まったく響かない作品かも知れません。実際、アマ○ンのレビュアーたちはこの映画をどう楽しめばいいのか全然分からないみたいです。

だけど私は共感しまくりました。幸か不幸かw

いや、意外と、この映画の幸子や小鳩みたいな人は、決して少数派じゃないのかも知れません。みんな必死に隠してるか、自分はそうじゃないと無理して思い込んでるだけで。その方がよっぽど息苦しいのでは?

鑑賞後になぜか爽やかな後味が残るのは、幸子や小鳩こそがよっぽど自分らしく生きてるからかも知れません。

セクシーショットはこの映画のヒロインたち。市橋直歩さん、青木佳音さん、小林優実さんです。本物の女子高生と違うから、消すなや事務局はん。


 

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『さすらい刑事旅情編 II 』#06

2023-05-15 16:10:06 | 刑事ドラマ'80年代

これでもか!と言わんばかりに偶然が重なりまくる「ご都合主義」の極致みたいなドラマだけど、ゲストがいつも華やかだし、宇津井健さんは折り目正しいしで、このブログにとってはネタの宝庫かも知れません。

それと今回は、主役のリーゼント刑事と美人刑事にいわゆる「恋愛フラグ」とやらが立つターニングポイント的なお話だったりもします。そこは心底どーでもいいんだけどw



☆第6話『特急ひたち・送られてきた婚約指輪』(1989.11.15.OA/脚本=篠崎 好/監督=天野利彦)

鉄道警察隊の美人刑事=西園寺(高木美保)宛てに差出人不明の郵便が届き、封を開けたら驚いた!

入ってたのは手紙ではなく、福島県の湯本温泉行き特急「スーパーひたち号」の乗車券と、エンゲージリングと思わしき指輪だった!



しかし今の西園寺にそんな相手(つまり毎晩チョメチョメするパートナー)はおらず、かと言ってイタズラにしては手が込んでるって事で、よく調べてみたら指輪からルミノール反応(血痕)が検出された!

事件の匂いがプンプンしてきたもんで無視するワケにいかず、同封された切符を使って西園寺がスーパーひたち3号に乗り込み、護衛役としてリーゼント(三浦洋一)とシブがき隊(布川敏和)も同乗するのでした。



その道中、西園寺は相席となった年配夫婦(高原駿雄、小畠絹子)とすっかり仲良しに。



一方、シブがき隊は旅行中の女子大生たち=圭子(黛まどか)、みどり(森山祐子)、妙子(湯浅けい子)を見つけるやジャニーズ特権を振りかざし、速攻でナンパします。不愉快という感想しかありません。



しかしこの番組、毎回のように女子大生が出て来ますね!(で、だいたい湯浅けい子さんが混じってるw)

もちろん何の意味もなく出てきたワケじゃなく、そこから事件が生まれるシステムになってる。途中の日立駅で弁当を買いに出た圭子が、なぜか発車時間になっても戻って来ない!

仕方なく残りの2人とシブがき隊が途中下車し、先行するリーゼントたちとは湯本で落ち合うことに。



で、先に湯本に着いた西園寺は、相席した年配夫婦からの「よければ温泉も一緒に」っていう誘いを丁重にお断りしたお陰で、リーゼントと二人きりになっちゃう。

「あんなふうに夫婦一緒に歳を取れるなんて、ステキよね」

「う、うん……💦」

唐突に異性を意識し始めるリーゼントの反応が、いかにも取って付けた「作劇上の都合」を感じさせますw どうせ「やっぱ視聴率を稼ぐにはロマンスが必要だよね」って、制作会議で急きょ決まったんでしょう。



で、次の便で湯本に着いた女子大生=みどり&妙子は、駅前トイレの裏から飛び出して来た圭子と再会することに。そこにはなんと、彼女らが通ってる大学のイケメン助教授=早見の他殺死体が転がっていた!



当然、地元の刑事たちは圭子をハナから疑ってかかります。作劇上の都合です。

けど、サスペンスドラマの法則(いかにも怪しく見える容疑者は100%シロ)を熟知するリーゼントは、まず殺された早見助教授の身辺を徹底的に捜査し、東京で折り目正しく待ち構える高杉警部(宇津井 健)に報告します。



圭子は確かに、早見助教授とちょくちょくチョメチョメするチュクチュクな関係で、痴情のもつれがあったんだけど、それは彼女に限ったことではなく、早見は教え子に片っ端から手を出すシブがき隊も真っ青なスケコマシで、それを苦にして自殺した生徒までいる!

おまけに、実はみどりと妙子も早見にコマされ、同じように捨てられた被害者だった! いくら何でも「んなヤツはおらんやろう」けど、この番組の世界にはおるんやから仕方がない! 大霊界はあるんだから仕方がない!

つまり、シブがき隊の引っ掛けた女子大生3人が、共謀して早見を殺した可能性も浮上したワケで、リーゼントと西園寺があたらめて尋問するんだけど……



どうしても彼女らに人が殺せるとは思えない。どころか、女子大生と接してるうちに西園寺も、大学時代にイケメン助教授に憧れた自身の過去を想いだし、急に乙女な感じになっちゃいます。作劇上の都合です。



で、その憧れの助教授が人妻と不倫し、心中したという凄まじい過去も唐突に思い出しちゃう。そんな強烈な出来事をふだん忘れてるのが何より凄いけど、これも作劇上の都合だから仕方ない。

そこでリーゼントが気づくワケです。そう言えば早見助教授に捨てられた生徒の中に、自殺した子がいる!

調べてみると、その子の兄が湯本温泉で働いてた!w そう、あの日、懲りずに駅前で圭子と痴話喧嘩してるスケコマ助教授を「偶然」見かけた彼が、死んだ妹の無念を晴らすために殺したのでした。



こういう時、犯人が必ず「画になる名所」に逃げ込むのもサスペンスドラマの鉄則で、作劇上の都合。



というワケで一件落着。女子大生たちの容疑が晴れて、高杉警部も笑ってます。何がそんなに可笑しいっ!?

だけど、そうなると、西園寺刑事に送られて来た、あの婚約指輪はいったい何だったのか?

実は、その送り主は、スーパーひたち号で彼女と仲良くなった、あの年配夫婦だった! それまでに会った記憶は無いのに、なぜ?



実は、夫婦は数ヶ月前に西園寺と同じ「さやか」という名前の一人娘を事故で亡くしており、結婚間近だったその娘は婚約指輪を握りしめて息絶えた。だから血液反応が出たワケです。

で、たまたま東京駅でシブがき隊に「さやかさん」と呼ばれる西園寺を見かけ、そのときの会話で彼女の休日を知り、ダメ元で切符と指輪を送ってみた。つかの間でも親子気分を味わいたくて……

こうして書くとホントめちゃくちゃな話だけどw、それを雰囲気だけでイイ話っぽく見せちゃうのが人情系ドラマの方程式。視聴者がどんどん馬鹿になってく所以ですw



メインゲスト(圭子役)の黛まどかさんは、現代俳句の世界じゃ名の知れた女流俳人で、ウィキペディア情報だと女優のお仕事は大河ドラマ『武田信玄』と本作のみ。たいへん貴重なんだけど残念ながらセクシーショットは残されてません。

だから今回は二番手ゲストの森山祐子さんをクローズアップ。本格的なドラマ出演は今回が初で、2年後にSFアクション物のVシネマ『ゼイラム』シリーズで主役を張り、注目されることになります。

2004年に発表された写真集がどうやら芸能界における最後のお仕事だったらしく、その素晴らしいセクシーショットを無断で掲載させて頂きます。


 

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