大村正次著「春を呼ぶ朝」―御手―
御 手
真夜中の 胸ぬちに
ふと触れし掌のあり
しきりに念佛を唱え
臥 やる身のねつをうかがふ―
おゝ こは母の御手
霙する今宵も寝ねず
寒き家に
ひとり看護 る救ひの御手
おのづから
つぶる眼頭 熱くして
暗がりへ顔臥せてをり
眠れる様に顔臥せてをり。
御 手
真夜中の 胸ぬちに
ふと触れし掌のあり
しきりに念佛を唱え
おゝ こは母の御手
霙する今宵も寝ねず
寒き家に
ひとり
おのづから
つぶる
暗がりへ顔臥せてをり
眠れる様に顔臥せてをり。
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