大村正次著「春を呼ぶ朝」―御手―
検温器の憂鬱
祈るがごと
恐ろしきごと
検温器をのぞきこむ母の顔
今日も青白く曇れる
吾すこし快しとて母の誠に背き
抜け出でて秋の濱風にあたり
盛り返したる病熱は
痩身の體に喰ひ入りて
今日もとれじ
起き上がる
おゝ母を思へば
かなしめる母を思へば
石にしがみついても生きねばならぬと
家の中
握りこぶしをかため
ふと真夜中に起ちあがりたる。
検温器の憂鬱
祈るがごと
恐ろしきごと
検温器をのぞきこむ母の顔
今日も青白く曇れる
吾すこし快しとて母の誠に背き
抜け出でて秋の濱風にあたり
盛り返したる病熱は
痩身の體に喰ひ入りて
今日もとれじ
起き上がる
おゝ母を思へば
かなしめる母を思へば
石にしがみついても生きねばならぬと
家の中
握りこぶしをかため
ふと真夜中に起ちあがりたる。
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