今日は、
9月の仕切りなおし以来の運命の日です。
朝から昨日頼まれた
「手術説明書」「手術承諾書」にサイン
押印し、その他言われた雑貨類を持って、一人で家を出ました。
パートナーの待つ済生会病院へ。
今日は空が高く、いいお天気
です。
風は冷たく、冬型と言っていた天気予報はどうやら当たっています。
三重県の中勢以北は雪
らしい。
それでも、伊勢は雪のゆの字も感じさせていません。
左手に明野の航空自衛隊のヘリが飛んでいるのを横目に見ながら、車を走らせます。
そういえば、
昨日の月は満月に近かった、ちょうど満ちてきているようです。良い予感がする…。
パートナーのいる病棟へと向かい、時間まで持ってきた新聞を読んだり、しゃべったり…。
昨夜鎮静剤を打ったからか?
パートナーは静かです。
いつも打っていていいかも(笑)
11:30分ぐらいから、手術に備えての点滴を打ち始めました。
そして12:00。とうとう手術室へGO。
今回、全身麻酔をする理由は、脊髄損傷で、胸から下が全廃ではあるけれど、
なにかの拍子に反射で足や身体が動いたりするといけないから…というのもあるようです。普通の方なら、局所麻酔か腰椎麻酔らしいです。
ここ済生会病院は手術中の家族控え室がないため、私はパートナーが手術室へ入っていくのを見送ると、病室へ戻ることに。
へ~、と思いながら、お昼なので、途中売店でおにぎりを購入して、しばし、パートナーの車イスに乗って、待機。
のんきにおにぎりを食べながら、パソコン
仕事したり…。
でも、やっぱりなんだか落ち着きません。
そして13:50ごろ、執刀医がやってきました。
運命の説明です。
血相は変えていなかったので、
パートナーの身になにか…?ってことはないようです。(笑)
自分がドキドキ
しているのが分かります。
何かの合格発表を直接聞いているようで、なんだか先生の前でピシッ
と立っていました。
実は、
前回の私の浅はかな考え(手術=精子がいる)を、今回は改めていたので、それなりの覚悟をしていました。
だって、手術の説明書には
「精巣生検」と書いてあった。
内容も「精巣の組織を一部採取し、検査を行います」と書いてある。
ようするに、
あくまでも検査なのです。
採取、保存目的といより、精子がいるかどうか?確かめるということ。
結果は…
医 「
手術は無事おわりました。開けてみた所、
左の睾丸は炎症していて、普通の色ではなかったので、これはどうかと思って顕微鏡で見てみましたが、やはり、
残念ながら精子は一匹もいませんでした。」
(ちなみに、この顕微鏡で見る際、ART生殖医療センターの方が待ち構えているそうです)
私 「(内心、相当ショック
を受けているが、平静を装い)そうですか、やっぱりいませんでしたか…。
以前に副睾丸炎をしてしまっていたので、それが原因ですよね、きっと…」
医 「ああ、そうですか、そんなことありましたか、それが原因でしょうね」
しかし、忘れていました先生は
「左の睾丸は」と言っていたのです。
あせっていた私は、そのことをすっかり聞き流して
「精子は残念ながら一匹もいませんでした」だけが頭に残り、先生とちゃんと会話をしているのですが、頭は真っ白
でした。
次のことが考えなくちゃ、パートナーになんて伝えよう…と考えているようで、考えられません。
(この間がとても長く感じました)
すると先生が、続けて言いました。
医 「左がダメだったので、
右のタマを出してみたら、そうそうこの色って感じのが出てきました。見た目正常でしたので、
そちらを採取してみましたら、元気な精子が普通にたくさんいましたので、そちらで無事凍結保存いたしました」
私 「え?
いました?いたんですねっ!!
動いていたのですか?」
医 「ええ、動いていましたよ、普通に」
私 「あ、ありがとうございますっ!!」
あああ、そうだ、
男性のタマタマはふたつあったのだ。(力強く!)
そういえば、女性も卵巣は二つある。
腎臓だってふたつある、手だって、足だって、結構人間って二つあるもの多い。
このときほど、ふたつあることのありがたさ
を感じたことはありません。
「天は二物を与えず」と言うけれど、それは才能や資質であって、こういった命
に関わるところには、ちゃんと、ちゃんと、
生き残る道をちゃんと残してくれてあるのです。
人間に同じ働きをするものをきちんと2つ用意し、いざというときに備えができるよう、そんな構造でつくられたのです。
どれもなにもムダなものはなかったのです。
泣けてくるよ~。
ありがとう、もうひとつ。
そしてご苦労さま、もうひとつ。
某厚生労働大臣の
「女性の機械」失言が取りざたされる今、女性に限らず人間は誰かが設計したわけでもなく、なるべくして作られた身体であることを実感。
それに、
機械では、こんな優れたものは作れません。
はい。確信できます。
そんな気分でした。
その15分後パートナーは手術室から戻り、明日の朝まで、特別室で休息
です。
今回の手術は相当、疲れたようで、戻ってきてからも、言葉は一言二言、ぐっすり寝てしまいました。
今回の全身麻酔が相当つらかったようで、その後、目が覚めるたびに
「喉が痛い」(全身麻酔中呼吸確保の管が通されていた)、
「腹減った」(朝から何も食べていません)しか言いません。
パートナーもお疲れ様でした。
パートナーが
副睾丸炎になったはちょうど1年前。
なんでも、車の乗降で、いやーな当たり方をしたと言っていました。
痛みが分からない彼には、熱が出てもしばらく原因が分かりませんで、しばらくそのままでした。
そして、今回開けてみて、やはり使い物にならなかったということ。
よくある、大人になってからのオタフクで…というのも睾丸の炎症につながるようです。
そうなる前に採取していれば、きっともっとスムーズであったかもしれません。
いや、もう片方も炎症などなる前にこうして、凍結保存できて本当にホッとしました。
周りにもたくさんいるチェアーウォーカーカップルにお願い。
こういったように、副睾丸炎などによって、採取できないことは何時起こるかわかりません。
私たちも、一年前そんなことになるなんて思っていませんでしたから。
そうなる前に、子供をつくるかどうかはその先に考えればいいとして、元気
なうちに採取をおススメします。