古希からの田舎暮らし

古希近くなってから都市近郊に小さな家を建てて移り住む。田舎にとけこんでゆく日々の暮らしぶりをお伝えします。

田舎暮らしの大先輩はいま……。

2009年06月23日 02時14分09秒 | 古希からの田舎暮らし 80歳から
 神戸市西区神出の休耕田で『大豆畑トラスト』を立ち上げた2000年(だったかな)に、トラストの会員だったYamahiraさんを覚えておられるでしょうか。きのう彼を訪ねてきました。
 写真は彼の家の玄関です。ぶら下がっているのは電気釜の内釜四つで、客はそれをハンマーで好きなように叩いて来訪を告げます。どんなに大きい音を立ててもご近所迷惑になることはありません。谷あい入口の民家から500メートル山中に入ったところに建つ一軒だけのログハウスですから。
 場所は宮本武蔵の生地である作州の山中で、近くには武蔵が沢庵和尚に懲らしめられたとされる寺もあります。このあたりは鹿が増えてきて農作物の被害がひどく、田畑は電気柵をめぐらしたり鉄筋メッシュで防護柵をつくったりしてあります。彼の話では、夜に谷あいの入口からログハウスにたどり着くまでに15頭の鹿と出会ったことがあるそうです。真っ暗闇に二つの目がライトで光るからわかります。
 私たちと世代のちがう彼が、なにもなかった山中に家を建てて一家でエコ生活をはじめて7年半になります。子どもたちは自立して出ていく者あり、介添えの必要な親を引き取ったりと変化はありますが、ずっとここに住んで生活の地盤を築いてこられた、いわば田舎暮らしの大先輩です。山羊が五頭いて、あたりの草を食べ、その乳とチーズを賞味させてもらいました。そういえば彼は垂水区に住んでいたとき、山羊の手綱をもって街中を散歩させ、街の人たちが目を丸くしたと話していたことがありました。
 水は谷川と手掘りの井戸の水を使い、電気は来ていますが徹底したエコ生活です。ログハウスの前の畑は不耕起の自然農法です。ログハウスや物置、ゲストハウスなど全部自作ですし、素人大工としても大先輩です。びっくりするような話はいつまでも尽きませんでした。
 
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防鳥ネットを張りました

2009年06月23日 00時54分29秒 | 古希からの田舎暮らし 80歳から
 久しぶりに雨が降りそうなので、その前に大豆を播きました。今年は『サチユタカ』という品種です。去年は手作業で行う脱粒を心配して、枝豆としてたくさん消費してしまいました。しかし稲木に干した大豆は半日で脱粒できました。そこで今年は大豆の収穫を増やすことにします。
 大豆を播いた後、写真のように100坪用のネットを張りました。まず11メートル×15メートルの四隅に杭を打ち、四本の竹の柱を固定します。次に四本の柱に針金を渡し、それにネットを乗せて横に広げ、引っ張ってトンボで地面に止めます。それから縦に引っ張って止めて出来上がりです。広いネットを二人だけで張れるか心配でしたが、思ったよりうまくいきました。
 これで芽を出した双葉をハトが食べにきても大丈夫です。
 苗が育つまでのわずかな期間なのになぜそんなに厳重に網を張るのかって?
 よくきいてくださいました。大豆トラスト時代からの苦労話をきいてください。
 大豆畑トラストを立ち上げたのは10年前でした。農業をよく知らない素人ばかりの集りでしたから、大豆が発芽するとハトに双葉を食べられることをあまり知りませんでした。しかし次々とハトに芽が食べられる。そこでキラキラテープを畝ごとに張って防ぎました。
 次の年は、大豆を播いてその上にモミガラを盛ることにしました。モミの山から大豆の芽が頭を出す頃にはしっかりした苗になっていると考えたのです。そのモミガラというのは、舞鶴道の春日インターよりまだ先の市島町からわざわざもらってきました。
 次の年は、モミガラの代わりに燻炭を盛りました。モミガラは虫を呼ぶけれど燻炭なら土をよくしてくれると考えました。費用はかさみましたが。その燻炭は兵庫県西部の山崎インターの近くの知人にもらいにいき、ワンボックスカーいっぱいに積んで帰りました。
 大豆畑トラストの4年目は、連作になるのでちがう休耕田を大豆畑にしました。防鳥対策は、モミガラも燻炭も大変なのでキラキラテープに戻すことにしました。ところが大豆を播いて二週間たつのに芽が少ししか出てきません。近所のおじさんが、畑のそばの蔵にハトが住みついていて、芽を食べていたといいます。どうしようもないのでもう一度みんなで大豆を播きました。ハトは蔵の天井の穴からしっかり見ています。
 どうして防鳥しようかと思案していたときに、ナフコというホームセンターで300坪の防鳥ネットがあるのを知りました。そんなとてつもなく大きな防鳥ネットがあるなんて知りませんでした。どう張るか見当もつきません。それでもみんなであれこれやってネットを張ることを覚えました。
 農業経験豊かな人からみれば笑い話ですが、素人の集りの愚直な試行錯誤を、いまもいとおしく思います。大地と太陽と水の恵みに胸を熱くした人たちの集りを誇らしく思います。今年もいい大豆がとれて、おいしい味噌がつくれますように。
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