頼まれていた青竹を裏山から切り出したら、きのう道子さんが門松をつくりあげました。葉牡丹は畑に種を播いて、ムシに食われないよう防虫ネットをかぶせて育てたもので、裏山から松、南天、ソヨゴなどを採ってきて我が家で採れるものでつくった「自給自足門松」です。
このごろ裏山に植えた木木を見て歩くと、なんとなくうれしくなります。植えた木はどんなに長くても5年に達しませんが、それでもたくましくなっている木があります。
はじめて木を買いに行ったとき、「竹薮の竹を切って苗木を植えたい」と言ったら、植木屋のおじさんに「私ならそんなところに木は植えません。もし植えるとしても、深く大きな穴を掘って、竹の根を全部切って、枯れても惜しくないような木を植えます。おまけに下は粘土でしょ。水はけはわるいし、植えても無駄というものです」と言われてしまいました。
そうなのか。それで竹薮には他の木は育っていないのか。生えても日が当たらず枯れてしまうのか。
妙に説得力のなる植木屋さんの言葉に、意欲を削(そ)がれてしまいました。そこで「枯れて元々」と一本100円の枝ぶりのわるいサザンカや安売りコーナーの苗木を買って、つぎつぎと植えていきました。はじめは植木屋さんに言われた通り、深さ50センチ以上、直径1メートル以上の穴を掘りました。『花と野菜の土』を何袋も入れて踏み固め、その上に小さな苗木を植えました。でもそんな穴をひとつ掘ると半日かかってしまいます。そのうち深さは50センチ直径は50センチ程度の穴に植えるようになりました。それでも育っています。
木はほんとに根付くと、木の生命力・たくましさをあたりに放つようになります。例えばミモザ。3月から4月にかけて小さい黄色の花をつける木ですが、はじめは細くひょろひょろしており、無事に育つだろうかと心配しました。前の家でミモザを枯らしてしまったことがありますから。それが植えて2年目の今年、背が高く太くなり、びっしりつぼみをつけています。早春には花が咲くでしょう。
木を植えようと穴を掘っていて、地中に現われた竹の根を切るために、ツルハシを力いっぱい振り下ろしました。そのとき3年前に植えた柚子の木にツルハシが触れ、枝分かれしたところが裂けてしまいました。「かわいそうなことをしてしまった。ボンドでくっつけられるだろうか。とりあえず針金で裂けたところをくくっておこう」先日見て感激しました。半年ほどの間に傷を自分で治して、裂けたところがくっつき、太くたくましくなっているのです。
桃花姫コブシ、友禅ケヤキ、キンモクセイ、サンシユウ、ネコヤナギ、ライラック、ハナミズキ、モミジ、イチョウ、ツバキ(侘助)、ハナズオウ、ハナカイドウ、ユキヤナギ、エニシダ、レンギョウ、槙、サザンカ、桃、サクランボ、花紅梅、柿、ジンチョウゲ、アオキ、マンリョウ……。こんなにみんながよく根付くとは思いませんでした。新しい年になったら寒肥をあげて、また来年たくましくなってもらいます。