映画『ハゲタカ』を観て来ました。
2007年にテレビドラマとして放送され、高い評価を得た作品の映画版です。
徹底的な合理主義で、日本の企業を次々と買収し、「ハゲタカ」の異名をとる天才ファンドマネージャー鷲津雅彦を、ドラマと同じく大森南朋さんが熱演しています。
監督は大友啓史。
出演は他に、柴田恭平、松田龍平、栗山千明。
ドラマ版のスタッフ・キャストが勢ぞろいで、ドラマの「続編」としては面白かった♪
あと、今回日本に乗り込んで来る中国系ファンド「赤いハゲタカ」劉一華(リュウ・イーファ)役を、イケメン玉山鉄二が演じています。
まさに今起こっている「経済危機」を取り扱っていて、サブプライムローン、雇用不安、格差社会といったものがキーワードとして登場するので、「今」見ておいてよかったなと思いました。
半年後じゃもう古くなっているかも知れない…
「日本人が見失いかけている答えがここにある…」(「映画予告編より」)
舞台はドラマから四年後…
何も変わらない日本に絶望した鷲津(大森南朋)。
あきらめずにそんな日本を再生させようとする芝野(柴田恭平)。
日本の国そのものといわれる大手自動車メーカーの買収に乗り出す莫大な資産を持つ中国政府系ファンド。
相変わらず旧態依然とした日本企業の経営者。
家賃が月に何百万もするマンションに暮らす役員を見ながら、その何分の一にも満たない年収で油にまみれて働く派遣社員を前に、玉山鉄二演じる劉一華(リュウ・イーファ)がつぶやきます。
「地獄だね日本は。
なまぬるい地獄だよ」
うわぁ、うちの工場の連中に見て欲しい~
主に経済をあつかった映画にもかかわらず、なぜか涙ぐんでしまいました。
劉一華(リュウ・イーファ)の故郷である中国の大地。
電気もないような貧しい家に暮らし、日本車を憧れの眼差しで見つめる少年…
母親は血を売ってまで息子の学費を稼ぎ、苦学の末にはいあがっていく…
お金って何だろう…と思ってしまいました。
お金のために人が死んでいく。
何のために生きて、何のために働くのか。
ファミリーレストランで劉一華(リュウ・イーファ)がガツガツと食事をするシーン。
買収のかけひきに利用した派遣労働者に報酬を渡そうとして、しわくちゃになった紙幣を拾い集めるシーン。
今の自分にとって、得ることの多い映画でした。
よかった♪
中国には「紙銭」といって、亡くなった人があの世でお金に困らないために、紙のお金を燃やす風習があるそうです。
お金って不思議な存在です。
「誰かが言った。人生の悲劇は二つしかない。
一つは、金のない悲劇。
そしてもう一つは……金のある悲劇。
世の中は金だ。
金が悲劇を生む…」 (「ハゲタカ」)