前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

R・シュトラウス:4つの最後の歌(習志野フィル)

2025-02-11 19:10:25 | クラシック音楽
チケットを頂いたので習志野フィルハーモニー管弦楽団の
第104回定期演奏会を聴きに行ってきました。



チャイコフスキー:幻想序曲『ロメオとジュリエット』
リヒャルト・シュトラウス:4つの最後の歌
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調
指揮:湯川紘惠
独唱:中江早希(ソプラノ)

所謂アマチュアオーケストラ(市民オーケストラ)ですが、
今年創立55周年の伝統あるオーケストラで想像の10倍上手かったです。

チャイコフスキーの2曲はコンサートで何度も聴いたことがありますが
リヒャルト・シュトラウスは初めてです。

『4つの最後の歌』
第1曲:春
再2曲:9月
第3曲:眠りにつくとき
第4曲:夕映えの中で

リヒャルト・シュトラウスの『4つの最後の歌』は熱狂的ファンの多い曲です。
クラシック音楽の中でも「最も美しい歌」などと言われることがありますが
正直、独唱曲はあまり好きではないので
CDで聴いてもあまり心を動かされることはありませんでした。

ですが、生で聴いて考えが改まりました。
なんと美しい歌なんでしょう。

第1曲の途中から、涙が溢れてきました。
というよりも4曲を通して、ほぼ号泣。
何も考えず目を閉じて、只々美しい音色に酔い痴れました。
まさに天上の美しさ。

今更ながら、こんなに感動できる曲に出逢えるとは思っていませんでした。
思い出に残るいいコンサートでした。
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シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調(庄司紗矢香)

2025-02-02 18:42:40 | クラシック音楽
You Tubeでシベリウスのヴァイオリン協奏曲を聴きました(観ました)。

ヴァイオリン:庄司紗矢香
指揮:ラハフ・シャニ
イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
2022年10月、テルアビブでのライブです。


https://www.youtube.com/watch?v=d388O4WxOD4

庄司紗矢香さんには「若手ヴァイオリニスト」のイメージがあったのですが
1983年1月生まれなので、この演奏の時はすでに39歳だったのですね。

以前にCDで聴いた時は、正直あまり印象に残っていなかったのですが
このライブでの演奏は本当に素晴らしい。

最初は髪をピンで留めていましたが、終楽章の時には外れてしまったのか(外したのか)
俯き加減で髪を振り乱してヴァイオリンを弾く姿はに鬼気迫るものがあります。
小柄な体躯からは想像できないダイナミックな、何かが乗り移ったような神懸った演奏です。

私は楽器は全く演奏できない聴くだけの素人ですが、
ヴァイオリン曲を聴く時に注目するのは、音量と弓(ボウイング)の速さです。

You Tubeで他の人のライブも併せて色々聴いた(観た)のですが
この演奏は(少なくとも女性ヴァイオリニストの中では)圧倒的な名演だと思います。
特に終盤(33:00~辺り)、重音をグリッサンドで奏でる部分は鳥肌もので涙が溢れてきます。
グッと身体を捩じるところがカッコいいんですよね。

是非、生演奏を聴いてみたいです。
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『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024』

2024-05-05 22:51:56 | クラシック音楽
『ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2024 』に行ってきました。




ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲*
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 **

ピアノ:ナタナエル・グーアン*
ピアノ:マリー=アンジュ・グッチ**
指揮:キンボー・イシイ
東京21世紀管弦楽団



ナタナエル・グーアン

パガニーニの主題による狂詩曲はご存知の通り、パガニーニの「24の奇想曲」の主題が変奏されるのですが
改めて聴くと、グレゴリオ聖歌の「怒りの日」のモチーフも結構何度も出てくるんですよね。
「怒りの日」好きとしては、そっちを期待してしまいます。

ピアノのナタナエル・グーアンは写真とは違い長髪で、妻曰く「ジョン・トラボルタみたい」と大層お気に入り。



マリー=アンジュ・グッチ

ピアノ協奏曲第3番のマリー=アンジュ・グッチはN響との共演もしているそうです。
こちらも演奏時は眼鏡をかけておりラフなパンツスーツ?で登場。


個人的にはピアノ協奏曲第3番の方がよかったです。女性ですが、この難曲を軽々と弾きこなしているという感じ。
ラフマニノフの大曲2曲という、ある意味「ラ・フォル・ジュルネ」らしいお得プログラムでした。


あともう一つ「スカンディナヴィアの国民楽派」と題した
デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの作曲家(グリーグ、シベリウス、ニールセン他)の
古文学や民謡に題材を採った歌曲集も聴きました。

ソプラノ:天羽明惠
ピアノ:村上寿昭

こちらは小会議室でのしっとりとしたプログラム。メインディッシュのあとのデザートのよう。
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『神的なもの ~ピアノ作品集~』(ヨアキム・カール)

2023-12-17 19:26:22 | クラシック音楽
ノルウェーのピアニスト、ヨアキム・カールが弾く『神的なもの ~ピアノ作品集~』
というCDを聴きました。



収録されている曲は以下の通りです。

バッハ/ブゾーニ編:コラール前奏曲『われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ』
リスト:2つの伝説より第1曲『小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ』
バッハ/ブゾーニ編:コラール前奏曲『来たれ、異教徒の救い主よ』
メシアン:『幼子イエスに注ぐ20のまなざし』より第5曲『御子に注ぐ御子のまなざし』
バッハ/ブゾーニ編:コラール前奏曲『目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ』
リスト:2つの伝説より第2曲『波の上を渡るパオラの聖フランチェスコ』
バッハ/ブゾーニ編:コラール前奏曲『来たり給え、創造主なる聖霊よ』
メシアン:『幼子イエスに注ぐ20のまなざし』より第14曲『天使たちのまなざし』
フランク:前奏曲、コラールとフーガ

ノルウェー、ロフォーテン諸島のスタムスンド教会で録音されています。


コラール前奏曲『われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ』は
塚谷水無子さんの「ブゾーニ編:ゴルトベルク変奏曲」の解説によれば
「ヨーロッパの人々に最も愛されている」コラール前奏曲だそうです。
私もとても好きな曲です。

アンドレイ・タルコフスキーの映画「惑星ソラリス」で流れるのがこの曲ですが
未来?を描いたSF映画の冒頭にバッハを用いた段階でこの映画の"評価"は決まった気がします。

『目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ』は曲名は知らなくても
一度はどこかで耳にしたことのある有名な曲ですね。


リストは「超絶技巧練習曲」や「タンホイザー序曲」(ピアノ版編曲)など
派手で煌びやかな印象が強いのですが、1861年にローマに移住して以降
キリスト教に題材を求めた作品が増えていきます。

どちらも二人の聖人(フランチェスコ)にまつわる逸話を基にした曲ですが
『小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ』は小鳥たちの囀りを描写するトレモロが印象的で
神秘的で静かな風景です。

『波の上を渡るパオラの聖フランチェスコ』は荒れ狂う海をマントを広げて渡る力強い情景が描かれ
壮大なクライマックスを迎えます。


オリヴィエ・メシアンは神学者でもあったそうで、やはりキリスト教的な主題の作品も多いです。
パリのサントトリニテ教会で60年にわたりオルガン奏者を務めました。

『幼子イエスに注ぐ20のまなざし』は2時間を超える大作で"音楽語法"もかなり複雑です。
第1曲「神のまなざし」に登場する<神の主題>
第2曲「星のまなざし」に登場する<星と十字架の主題>などが他の楽曲にも現れます。
殆ど現代音楽のような曲ですが「共感覚」の持ち主で一音一音に異なる「色」を感じるメシアンには
違う情景が見えていたのかもしれません。

メシアンの曲といえば、以前に聖イグナチオ教会(カトリック麹町教会)
「キリストの昇天」の第3楽章「キリストの栄光を自らのものとした魂の歓喜の高まり」を
聴いたことがあります。
コンサートが終わった後のアンコール?だったのですが
突如として鳴り響いたパイプオルガンに度肝を抜かれました。

教会のステンドグラスは、聖書の物語を分かりやすく伝える意味もありますが
教会で歌われる、演奏される音楽もまた同様です。

教会のパイプオルガンで聴くメシアンは特別なものでした。


普段はこのような「企画物」はあまり聴かない(手に取らない)のですが
バッハのコラール前奏曲『われ汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ』で始まり
フランクの『前奏曲、コラールとフーガ』で幕を閉じるという構成に惹かれてしまいました。

他の曲はどれも「標題音楽」ですが、フランクのみ「絶対音楽」です。
にもかわらず「神的なもの」と題するCDの最後に(バッハ、リスト、メシアンを経て)フランクを選ぶとは。

『前奏曲、コラールとフーガ』については
以前にも書きましたがホルヘ・ボレットの演奏が私にとっての究極の1枚です。
そのボレットには及ばないまでも、ヨアキム・カールの演奏も余計な飾りを排した
静かで美しい、この「神的なもの」の最後を飾るに相応しい響きです。


因みに本CDの原題はラテン語の「numinosum」で「神々しい」というような意味です。
心理学者ユングの自伝「思い出・夢・思想」に出てくる言葉からインスピレーションを受けて
選曲したそうです。
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マーラー:交響曲第2番『復活』(4手ピアノ版)

2023-06-25 16:42:53 | クラシック音楽
マーラー:交響曲第2番ハ短調『復活』の4手ピアノ編曲版を聴きました。


編曲はマーラーの弟子で指揮者のブルーノ・ワルターです。

編曲版ですが、独唱、合唱も入っています。
トランペットはアクセントという感じでしょうか。

グレゴール・マイヤー、ヴァルター・ツォラー(ピアノ)
アンニカ・シュタインバッハ(ソプラノ)
ヘンリエッテ・ゲッデ(アルト)
エマヌエル・ミュッツェ(トランペット)
ゲヴァントハウス合唱団
フランク=シュテッフェン・エルスター(合唱指揮)


歳をとったからか、あるいは私だけかもしれませんが
自分で新しい曲を探して聴いてみるということがめっきり減りました。

昔、コンサートによく行っていた頃は
プログラムに入っている知らない曲を予めCDを買って予習したり
いい曲だったら後でCDを買って聴き直したりすることもありましたが
最近はそれも少なくなったので。

ですから既に知っている曲、好きな曲を他の演奏者や編曲版で聴くことが多いです。
特に編曲版は、その曲の新たな魅力を発見したり
オリジナルでは聴こえなかった声部が見えてきたりするのが好きなんです。


マーラーは以前にも書きましたが
ナタリア・アンサンブルによる交響曲第5番(17人の奏者のための編曲版)
大変面白かったですね。演奏も素晴らしいですし。


今回の4手ピアノ版(2台のピアノ版)ですが
本来、大オーケストラで演奏されるマーラーの交響曲をピアノで聴くのは
正直物足りないです。

ただ、この曲の最大の聴きどころは、なんといっても第5楽章の合唱部分です。
ソプラノ、アルトの独唱のあと、男声合唱が出てきたときは鳥肌が立ちました。

ピアニッシモで歌い始めるので、通常のオーケストラ版では冒頭はよく聴こえないんですよね。

Was entstanden ist, das muß vergehen!
Was vergangen, auferstehen!
生まれてきた者は、必ず朽ちなければならない!
朽ちた者は、必ず復活するに違いない!

この部分だけでも聴く価値がありました。

ピアノを弾いているのは、ゲヴァントハウス合唱団のピアニストだそうですが
新型コロナウイルスの流行で大編成の合唱作品を上演できないことから
この少人数での編曲版を思いついたそうです。

この時代だからこそ聴くことができた、この時代だからこそ聴くべき『復活』だったかもしれません。
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