静岡県の「クレマチスの丘」にある
ベルナール・ビュフェ美術館に行ってきました。
同美術館は、ビュフェの作品に魅せられた
岡野喜一郎氏が蒐集・設立した私設美術館ですが、
今では2,000点を超える収蔵作品を誇る
世界最高のビュフェ美術館です。
ビュフェの作品は、
一度、損保ジャパン東郷青児美術館で観ました。
太く鋭利な黒の輪郭線で直線的に描かれは風景や人物は
とても印象的で、日本でも人気があります。
暗い色調、鋭利な線、不安な表情などは
第二次大戦後の荒廃した世相を反映しているといわれますが、
作品には"反戦"や"平和への希求"といったメッセージ性はなく、
むしろ、ビュフェ個人の"不安"や"孤独"といった
自身の心象が強く反映してるのだと思います。
インタビュー記事などを読むと、
過去の偉大な芸術家にもあまり関心がないようで、
おそらく、自分自身と自分が描く絵にしか
興味がなかったのでしょう。
その意味でも、非常に「内向的」な絵といえます。
だからこそ人々の共感を呼ぶのかもしれません。
30歳の時にアナベルと結婚し、それ以降
彼女は作者にとっての「ミューズ」となります。
でも二人の写真を見ると、
とても似ているという印象を受けます。
ビュフェにとっては"二卵性の双子"、"もう一人の自分"
という存在だったのでは、と感じます。
晩年、病気を患い絵が描けなくなったビュフェは
自ら命を絶ちます。
最後まで、
"自分自身"と"絵を描く自分"しかなかったのでしょう。
それにしても、
国内でこれだけのビュフェ作品を観られるのは
本当に凄いことだと思います。
世界に誇るべき美術館だと思います。