ヴァンサン・ダンディ著(佐藤浩訳)『セザール・フランク』を読みました。
ヴァンサン・ダンディはフランクの弟子で「フランスの山人の歌による交響曲 」が有名ですね。
本著『セザール・フランク』は1906年に出版されたようです。
2022年はフランク生誕200周年にあたりましたので
それに合わせた企画物のCDは気にかけていたのですが本は盲点でした。
1953年(昭和28年)に出版された本の加筆・復刻版になります。
最も近くでフランクに接していた人による伝記であり作品の解説・評論です。
近すぎるが故の多少の"身贔屓"もあるとは思いますが、やはり説得力がありますね。
フランクについて書かれた評伝等はあまりありません。
ですのでフランク自身についてはCDのライナーノートや
ポケットスコア(楽譜)などに書かれたものが数少ない情報源でした。
でもそれらで知っていたこと、例えば
交響曲について同時代の作曲家グノーに全否定されたがフランク自身は「思った通りのいい音楽だった」と満足げだった
弦楽四重奏曲の初演は珍しく大成功で「ようやく私の音楽が理解された」と喜んだ
などのエピソードは、全てこの著書が原典であったことがわかりました。
著書の中盤は
第1期(1841~1858)
第2期(1858~1872)
第3期(1872~1890)
に分けた、かなり専門的な作品解説なので正直難しいのですが
弟子だったからといって全ての作品を盲目的に褒めるのではなく
特に第1期などは(晩年の斬新さ崇高さと比べて)かなり厳しい意見も述べています。
ただ、その第1期の中で以前にも紹介した、晩年の特徴である"循環形式"を用いた
「ピアノ三重奏曲嬰へ短調」については
当時のフランス音楽界に現れた「音楽史上の一重大事件」として高く評価しています。
「訳者あとがき」で佐藤浩さんは、この著書がフランクの研究書として「比類ない意義を持つ」
と書かれていますが、それは「フランクの直弟子が書いた」というだけではなく
フランク、ダンディともにカトリック信者であった点に注目しておられます。
純粋な器楽曲以上に
第1期:聖書による牧歌「ルツ」
第2期:交響詩「贖罪」
第3期:オラトリオ「至福」
という宗教音楽作品が各時代の代表作品として取り上げられています。
フランクが、作曲家、教育者であると同時に
カトリック信者、教会のオルガン奏者として生涯を過ごしたことは知ってはいましたが
改めて宗教作品ももう少し聴いてみようと思います。
ヴァンサン・ダンディはフランクの弟子で「フランスの山人の歌による交響曲 」が有名ですね。
本著『セザール・フランク』は1906年に出版されたようです。
2022年はフランク生誕200周年にあたりましたので
それに合わせた企画物のCDは気にかけていたのですが本は盲点でした。
1953年(昭和28年)に出版された本の加筆・復刻版になります。
最も近くでフランクに接していた人による伝記であり作品の解説・評論です。
近すぎるが故の多少の"身贔屓"もあるとは思いますが、やはり説得力がありますね。
フランクについて書かれた評伝等はあまりありません。
ですのでフランク自身についてはCDのライナーノートや
ポケットスコア(楽譜)などに書かれたものが数少ない情報源でした。
でもそれらで知っていたこと、例えば
交響曲について同時代の作曲家グノーに全否定されたがフランク自身は「思った通りのいい音楽だった」と満足げだった
弦楽四重奏曲の初演は珍しく大成功で「ようやく私の音楽が理解された」と喜んだ
などのエピソードは、全てこの著書が原典であったことがわかりました。
著書の中盤は
第1期(1841~1858)
第2期(1858~1872)
第3期(1872~1890)
に分けた、かなり専門的な作品解説なので正直難しいのですが
弟子だったからといって全ての作品を盲目的に褒めるのではなく
特に第1期などは(晩年の斬新さ崇高さと比べて)かなり厳しい意見も述べています。
ただ、その第1期の中で以前にも紹介した、晩年の特徴である"循環形式"を用いた
「ピアノ三重奏曲嬰へ短調」については
当時のフランス音楽界に現れた「音楽史上の一重大事件」として高く評価しています。
「訳者あとがき」で佐藤浩さんは、この著書がフランクの研究書として「比類ない意義を持つ」
と書かれていますが、それは「フランクの直弟子が書いた」というだけではなく
フランク、ダンディともにカトリック信者であった点に注目しておられます。
純粋な器楽曲以上に
第1期:聖書による牧歌「ルツ」
第2期:交響詩「贖罪」
第3期:オラトリオ「至福」
という宗教音楽作品が各時代の代表作品として取り上げられています。
フランクが、作曲家、教育者であると同時に
カトリック信者、教会のオルガン奏者として生涯を過ごしたことは知ってはいましたが
改めて宗教作品ももう少し聴いてみようと思います。