前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

メンデルスゾーン『弦楽八重奏曲 変ホ長調』(初稿版)

2020-04-11 15:20:41 | クラシック音楽
メンデルスゾーンは、正直それほどよく聴く作曲家という訳ではありません。
知っている曲といえば、ヴァイオリン協奏曲と交響曲を数曲、
あとは「真夏の夜の夢」序曲くらいでしょうか。

そんな中で、最も好きなのが『弦楽八重奏曲』なのですが、
この曲に関しては、あらゆる室内楽作品の中でもトップクラスに好き、です。

メンデルスゾーンは、38歳で亡くなった"早熟の天才"作曲家ですが
「真夏の夜の夢」序曲と同じく、16歳の時(1825年)の作品です。
私のような、あらゆる分野で"凡人"の人間が言うのもおこがましいのですが
正に"天才の閃き"という部分がたまらない魅力です。


通常演奏されるのは改訂版なのですが、今回聴いたのは「初稿版」です。
存在自体は知っていたのですが、ようやく耳にすることができました。


(ヴァイオリン協奏曲の「初稿版」も入っています)


改訂版は全く淀みのない仕上がりで
全編流れるように曲が進んでいきます。
それに比べて初稿版は、やはりところどころ
処理に苦労したような部分が感じられます。

もっとも最初にこっち(初稿版)を聴いていたら、
それはそれで好きになっていたと思いますが。


私が聴くたびにいつも"天才の閃き"を感じるのが
第1楽章コーダで他の楽器の伴奏の中、
ヴァイオリンのソロ(途中から第1、第2ヴァイオリンのユニゾン?)が
出てくるところです。

最後は冒頭主題に戻って曲が締めくくられるのですが、
曲が終わる"雰囲気"が出てきた辺りから冒頭主題に行くまでの"道筋"が、
これが唯一の「正解」という気がします。

でもメンデルスゾーンはその正解に、試行錯誤の末ようやくたどり着いた、
という感じが全くしないのです。


「まず、こう来て、それからこうで、そしたらこうで、こう、こう、こうではい、出来上がり」
というような。
「この展開以外、あり得ないでしょ」という絶対的な確信というか、
天才の赴くまま筆を走らせたらこの旋律になった、というような自然さというか。


実はこの「初稿版」、最初に聴くときこの部分がどうなっているか
少し心配だったのですが、この旋律は現在演奏される改訂版と全く同じでした。
やはりここは、16歳の天才に舞い降りた「神の旋律」だったのでしょうか。



最初に聴いたのは、こちらの
ゲヴァントハウス四重奏団とベルリン四重奏団による演奏です。
(もちろん改訂版)

癖のない、聴きやすい演奏です。
特に第4楽章の冒頭はヘッドホンで聴くのがおススメ。
チェロからヴァイオリンへと、順に楽器が移っていく様子が
手に取るようにわかります。

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2 コメント

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Unknown (Haydn2)
2022-07-07 16:40:20
シュシャヌ・シラノシアンの演奏は他でもそうですが、かなり特殊で1825年版をこれから評価するのは難しいと思います。他にもEroica Quartetのものがでていますが、演奏は平凡。
1832年版ではEnsemble Explorationsが最高!
Presto Musicなどでゲットしてください
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Unknown (Unknown)
2022-07-13 22:44:57
コメントありがとうございます。
改訂版もあまり気に入った演奏がなかったので、Ensemble Explorationsを聴いてみようと思います。
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